エレファンテックは4月30日、次世代AI/HPC向けの先端パッケージ材料として期待されるガラス基板における「ガラス貫通ビア(TGV:Through‑Glass Via)」のフィル用銅ナノペースト「SAphire G」を開発したことを発表した。独自の自己組織化銅ナノ粒子(SA‑CuNP)技術を用いることで、高アスペクト比(AR)のTGVにおいて、低収縮かつ高耐久な導体形成を実証しており、すでに顧客と共同評価を進めているという。

次世代先端パッケージ材料として期待されるガラス基板

AIアクセラレータの高性能化やチップレット化の進展により、半導体パッケージは高密度化・大型化が進んでいる。従来の有機基板では、パッケージ大型化に伴う熱による反りや、表面粗さに起因する微細配線形成の限界といった物理的制約が顕在化してきた。

こうした課題に対し、シリコンに近い熱膨張係数(CTE)と高い表面平滑性を持つガラス基板は、低誘電損失による高周波信号伝送特性の向上や、将来的な光電融合(CPO)との親和性の高さから、次世代パッケージ材料として期待されているが、その実用化には、基板の表裏を電気的に接続するTGVを高い信頼性を確保しつつ、低コストで形成する必要性があるとされてきた。

ボトルネックとなってきた高AR TGVでの導通信頼性

TGVの導通形成手法としては、「電解めっき(ECP)」と「ペーストフィル」の2つのアプローチが検討されているが、いずれも高アスペクトレシオ(AR)のビアに対する対応としては課題を抱えているという。

電解めっき法は、低抵抗な導通形成が可能である一方、高ARなビアの深部まで均一に金属を析出させることが難しく、ビア奥部への充填不足が導通信頼性を損なう要因となるほか、数時間単位の長タクトや継続的な液管理が必要という課題も指摘されている。

一方のペーストフィルはプロセスが簡便であるものの、一般的な金属焼結ペーストでは焼結時の体積収縮が大きく、ビア内への充填、焼結時にボイド(空隙)や隙間が発生しやすいため、高AR環境下での信頼性確保が困難であること、ならびに金属焼結ペーストの中でも比較的先行して用いられてきた銀(Ag)系材料は銅と比べて約60倍という材料コストが量産価格を考えた際の課題とされており、いずれの方法にしても課題解決が可能な最適な材料を開発する必要性があったとする。

SA‑CuNP技術を基盤とした「SAphire G」

今回開発された銅ナノペースト「SAphire G」は、同社独自のSA‑CuNP技術を基盤としたもので、15nmクラスの銅ナノ粒子がミクロンサイズの銅粒子表面に自己組織的に吸着し、全体として大きなナノ粒子のように機能する構造を採ることで、ナノ粒子含有量を約10wt%に抑えながら、低温焼結性を実現したとする。

  • 一般的な銅ナノペーストとエレファンテックのSAphireシリーズの比較

    一般的な銅ナノペーストとエレファンテックのSAphireシリーズの比較 (出所:エレファンテック)

この構造により、焼結時の体積収縮を低減でき、高AR TGV環境下においてもボイドやクラックを抑制した緻密な導体形成が可能になったという。実証では、直径50μm、厚さ0.5mm(AR=10:1)のTGVにおいて、熱衝撃試験後もクラックが発生しない高い信頼性を有していることが確認されたとする。

  • TGV断面の比較

    SAphire Gの充填、焼結、熱衝撃試験後のTGV断面と銅ナノペーストによるTGV断面の比較。ビアの仕様は直径50μm、AR=10:1、100mm×100mm×0.5mm基板に形成 (出所:エレファンテック)

経済性と量産適合性も視野

SAphire Gは、ペーストフィル手法にて導体を形成することが可能なため、電解めっきで必要となるシード層形成や複雑な液管理工程が不要となり、工数コストの削減を図ることができるほか、材料を銅ベースとすることで材料コストそのものを抑制しつつ、銀系ペーストに匹敵する導電性能のポテンシャルを確保できるため、高性能と経済性の両立を図ることができるとする。

  • SAphire Gによるペーストフィル工程のイメージ

    SAphire Gによるペーストフィル工程のイメージ (出所:エレファンテック)

こうした利点を背景に現在、同社は国内外の基板メーカーやガラスパネルメーカー、先端パッケージメーカー各社と共同評価を進めているとのことで、今後はAI/HPC向けガラスコア基板やCPO向けガラスインターポーザー用途を中心に、実用化に向けた信頼性検証を加速させる考えだ。