NTTドコモは5月8日、2025年度通期の連結決算を発表し、記者説明会を開いた。連結での営業収益は対前年2450億円(3.9%)増の6兆4581億円、営業利益は同785億円(7.7%)減の9421億円、株主に帰属する当期利益は同583億円(8.1%)減の6602億円と、増収減益だった。
設備投資は同1432億円(20.0%)増加し8575億円。EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えた利益)は同174億円(1.0%)減の1兆7431億円だった。
代表取締役社長の前田義晃氏は「この2年間は、新たな価値創造のベースとなる強固な顧客基盤の構築に取り組んだ。特に、ネットワーク品質の向上と、激化する競争環境への対応に真正面から向き合い、販促強化とネットワーク強靭化を柱に集中的にリソースを投下してきた。これらは、成長分野であるスマートライフ事業と法人事業を今後さらに成長させるために必要不可欠な土台」だと振り返った。
顧客獲得と5G投資でコンシューマ通信が減益
事業セグメント別に営業収益を見ると、コンシューマ事業はスマートライフ事業が対前年2048億円(16.7%)の1兆4327億円となった一方、コンシューマ通信が同698億円(2.1)減の3兆2846億円となり、合わせて1276億円(2.8%)増の4兆6674億円だった。法人事業は同1219億円(6.4%)増の2兆246億円だ。
モバイル通信サービスは前四半期に引き続き減収ではあるものの、ARPU(Average Revenue Per User:ユーザー当たりの平均売上高)の向上により減収幅は縮小しているという。
営業利益は、コンシューマ事業のスマートライフ事業が同691億円(29.6%)増の3027億円、コンシューマ通信が同1665億円(35.3%)減の3046億円となり、合わせて974億円(13.8%)減の6073億円となった。法人事業は同190億円(6.0%)増の3347億円だ。
2026年度は増収増益予想、通信収入は底打ちへ
NTTドコモの2026年度の業績予想は、営業収益が対前年3629億円(5.6%)増の6兆8210億円。営業利益は同9億円(0.1%)増の9430億円。EBITDAは549億円(3.1%)増の1兆7980億円となる予想だ。
営業利益は成長分野の成長によりコンシューマ通信の投資継続による減益をカバーし、前年と同水準の利益となる計画。一方で、株主に帰属する当期利益は、332億円(5.0%)減の6270億円となる見込み。
ドコモMAX拡大で高付加価値ユーザーを獲得
コンシューマ通信事業は顧客基盤の強化に対する投資が奏功し、MNP(Mobile Number Portability:番号そのままで乗り換え)がプラスに転じた。2026年度以降も引き続き顧客基盤の強化に対する投資を強化し、シェアの維持を目指す。
「短期解約を目的としたお客様の流入を抑制することで、顧客基盤の維持と獲得コストの効率化を図る」(前田氏)
顧客基盤については、単なる新規契約の獲得ではなく、継続利用につながる高付加価値ユーザーの拡大を重視する。
「DAZN」や「Lemino」と組み合わせた大容量プラン「ドコモMAX」のほか、ドコモ光やドコモでんき・ドコモガスなどの「イエナカ」、d払い・dカードなど金融サービスを組み合わせ、エンゲージメントの高い顧客基盤を構築する。
ドコモMAXは2025年度の目標としていた300万契約を達成し、2026年度は500万契約を新たな目標としている。ドコモMAXの契約者増加によりARPUも向上しており、2025年度には対前年で20円増加。これによりモバイル通信サービスの減収幅が縮小しており、2026年度には底を打つ見込みだ。
金融AIエージェントでスマートライフ事業を拡大
スマートライフ事業では、金融事業の収益を2030年度には対2025年度比で倍増させるなど、金融を中心とした成長を図る。
具体的には、金融サービスとdカード・d払いなどの決済サービスを一気通貫で提供し、預金量と決済取扱高の拡大に貢献する。また、dポイントをはじめとする会員基盤のデータを活用した金融AIエージェントを構築し、ユーザーに最適化された融資や保険、投資の提案につなげる。
加えて、7月にNTTドコモ・フィナンシャルグループが事業を開始し、銀行を中心にドコモグループの金融・決済サービスの連携を強化。機動力を高めて事業成長を加速させる。
法人事業はAIインフラとNaaSを強化
法人事業は成長領域であるインテグレーションとプラットフォーム領域が拡大し、2025年度に2兆円の収益を達成。2026年度以降も、これら成長領域については年10%の拡大を継続し、継続的な収益向上につなげる。
法人事業の主な成長戦略は「重点領域の事業強化」「プラットフォームの進化」「パートナーリングの強化」の3点。
「NTTドコモビジネスはAIソリューションからインフラまでをプラットフォーム上で統合提供できる、市場でもユニークな存在。AIネイティブインフラ『AIOWN』などNTTグループ各社の最先端技術も最大限に活用し、提供価値を高めていく」(前田氏)
今後は、NaaS(Network as a Service)を軸とした「AI-Centric ICTプラットフォーム」を高度化する。自動運転やスマートシティ、エネルギーマネジメント、スマートファクトリー、スマートエデュケーションなど、さまざまな分野の課題解決に取り組む。
5G基地局増設を加速、山手線は77%高速化速
NTTドコモはネットワークの体感品質向上のため、人口密集地を中心にSub6での設備容量確保と、4G向け周波数である700メガヘルツ帯の5G転用による通信安定化に取り組む。2026年3月に終了した3Gサービス向け周波数を4Gへ転用することで、4Gの容量も確保する。
同社は2025年度、新たに5G基地局を約6800局構築し、年度末時点で累計5万2000局以上まで増やした。2026年度以降はこの構築ペースをさらに加速し、強固な通信インフラ基盤の実現を目指す。
ダウンロードのスループットも向上しているとのことで、主要都市中心部の約96%で100メガビット / 秒を記録。主要路線における体感品質も改善し、山手線におけるダウンロードスループットは2023年度比で2025年度に約77%向上しているという。








