「次長」は、各部門における責任者やその補佐として業務を担う役職のこと。次長には、係長と課長を経て昇格するのが基本です。民間企業と行政組織によって役割が異なるため、自分の会社はどのような役職制度を導入しているのか気になりますよね。

この記事では、次長の役割や他役職との違い、また次長の年収について詳しく解説します。英語表記も紹介しますので、名刺作成の際は役立ててみてください。

  • 「次長」とは

    次長の役割や仕事について解説します

次長とは

「次長」とは、長の次の地位にあって長を補佐する役職についている従業員のことです。次長の次に上の立場となるのは「部長」です。そのため、次長は主に部長の業務をサポートする役割を担っています。

次長は業務を進めるにあたり、とりまとめる権限を持っていますが、部長のサポートを行いながら、下の役職である「課長」を引っ張っていく役割もあります。実際、どのポジションにいるのか他役職と並べてみました。

1 会長(取締役会長)
2 社長(代表取締役社長)
3 副社長(取締役副社長)
4 専務(取締役専務)
5 常務(取締役常務)
6 監査役
7 本部長(事業部長)
8 部長(室長)
9 次長
10 課長
11 係長
12 主任
13 一般社員

行政機関での立ち位置

国家公務員と地方公務員における「次長」の呼び方や立ち位置は、民間企業と異なります。代表的な役職をみてみましょう。

  • 国家公務員
1 事務次官
2 省名審議官
3 官房長、局長、政策統括官
4 部長、統括審議官
5 次長、審議官
6 官房三課長
7 課長、参事官
8 室長、企画官、調査官
9 上席○○専門官、課長補佐、専門官
10 係長、主査、専門職
11 主任
12 係員
  • 地方公務員
1 次長、本部長、技監、理事
2 部長、担当部長
3 統括課長
4 課長、担当課長、専門課長
5 課長補佐
6 係長、主査、担当係長、次席
7 主任
8 主事

次長は、国家公務員では上から5番目の役職であるのに対して、地方公務員ではトップの役職です。同じ役職でも組織によって立ち位置が異なることを覚えておきましょう。

  • 「次長」とは

    他社との商談などで失礼のないように、組織ごとの役職の立ち位置を理解しておきましょう

次長と部長・主任など他役職との違い

次長は、主に部長の補佐として動きますが、具体的に何をする役職なのか違いがわかりにくい方もいるでしょう。また、ある程度とりまとめを行うなら、主任でも対応できるはずです。

日本の人事制度の中には経験年数などさまざまな要素に基づいて、従業員に肩書きを与える資格等級制度があります。一般的には、主任クラスだと3~10年目で能力があればつくことができますが、次長や部長になるには経験年数が5~6年にくわえて、能力+実績がなければ昇格することはできません。

昇格基準は会社によって異なるため、経験年数などもあくまで目安です。そのため、次長と主任とでは経験年数と実績が加味されるという点が異なります。一方、部長はほぼ同じですが、部長は役割として部署全体を取りまとめる役を担うため、負う責任も重くなります。その点が次長との違いといえるでしょう。

  • 「次長」「部長」「主任」など他役職の違い

    部長をサポートしながら、スキルを高めていくのが次長です

次長の英語表記

次長を表す英単語はありません。英単語を組み合わせた表記がいくつかあるので紹介します。

Vice Chief・Vice Director

「組織の長」や「指導者・管理者」など長となるポジションに「副」や「代理」の意味を持つ「Vice」をつけてポジションを下げています。

Assistant Manager・Assistant Director・Assistant General Manager

次長の仕事のひとつに、部長のサポートがあります。「部長」や「指導者・管理者」の意味を持つ「Manager」や「Director」の前に「補助・補佐」という意味を持つ「Assistant」をつけることで、「次長」を表現することが可能です。

「Assistant General Manager」は直訳すると「副部長」となるため、次長より役職は上になります。しかし、次長は企業によっては「副部長」の役職を置いていないところもあることから、「次」長を「Assistant General Manager」と表記するケースもあります。

  • 「次長」の英語表記

    次長を表す英語表記はありません

次長の年収

次長は民間企業と行政組織で立ち位置が異なるため、給料もそれぞれ異なります。おおよその年収例をいくつか紹介します。

民間企業の「次長」

民間企業の次長の年収は、企業規模によっても異なります。「令和2年 職種別民間給与実態調査の結果」に記載されている次長の給与の平均支給額は、約44~61万円です。ボーナスは約4.46カ月分で約196~272万円の支給となることから、目安年収は約724~1,004万円となります。

ただし、民間企業は規模や業種によって基本給や手当の支給額も異なるので、あくまで参考にしてください。

国家公務員の「次長」

国家公務員の次長は指定職にあたるため、指定職俸給表が適用されます。給与月額は約70万円~81万円、ボーナスは年間3.35カ月分=約234~271万円となることから、給与月額と合わせて年収は約1,074~1,279万円ということがわかります。

民間企業の次長同様、国家公務員といってもさまざまな種類があるため、あくまで目安です。

地方公務員の「次長」

地方公務員の給料は、職務給と勤続年数の組み合わせで決まります。次長の職務給は、7または8級で級別の平均経験年数は約30年です。賞与にあたる期末手当・勤勉手当は国家公務員に合わせられるため、約4.5カ月分が支給されます。

平均給与月額は約43~47万円、賞与は約193~211万円となることから、目安年収は約709~775万円と推測できます。地方公務員にもさまざまな職種があるため、参考程度に留めておくといいでしょう。

  • 「次長」の給料・年収

    年収ばかりに注目せず、次長にふさわしい人材になれるようスキルを高めましょう

次長を目指してスキルアップしよう

次長は部門責任者の代理または補佐を行う役職ですが、具体的にどのような業務を行っているのかわかりにくい役職でもあります。次長は、部署全体を管理する部長に代わり、部下を監督することが業務のひとつでもあるため、業務に関する深い知識はもちろん、コミュニケーション力も求められます。

次長を目指すなら、まずは業務についてしっかりと学んで同僚や後輩とスムーズなコミュニケーションがとれる人材を目指しましょう。