ショコラと小豆、それぞれ洋菓子と和菓子に欠かせない素材だが、それを組み合わせると? この夏、京都市役所前の「HIYORIチャプター京都 トリビュートポートフォリオホテル」内に開業したパティスリー「松也 -MATSUNARI-」には、ショコラと小豆、2つの素材を組み合わせた目にも舌にも美味しい挑戦的なスイーツが並ぶ。
プロデュースするのは、パリ「サダハルアオキ」「ピエールガニエール」やシドニーの「テツヤズ」テクニカルシェフパティシエ、スペインの「エル・ブリ」といった名店で研鑽を積んだパティシエ・松岡誠也氏。
「あんぱん」や「鯛焼き」など聞き馴染んだ名前のお菓子が、洋菓子や和菓子の技法を活かすことによって新感覚のスイーツに。そんな「松也 -MATSUNARI-」の代表的な商品を紹介していこう。
京都産素材をふんだんに使用した「あんぱん」
餡とバターをサンドした「あんぱん」(290円)は、京都産の大納言小豆を丁寧に炊き上げた餡に、貴重な京都産小麦で作ったバンズで挟んだ一品。さらにパン生地に入れた酒種も、地元京都で享保11年(1726年)創業の松井酒造が手掛ける「神蔵(KAGURA)」を使っており、京都の素材にとことんこだわっている。
もっちりとした高加水パンに、甘さ控えめのなめらかなこし餡。そして餡の上に乗ったホワイトチョコレートバターは、ミルキーなショコラの風味も楽しめる。
餡とバターの組み合わせは、ともすれば重くなってしまいがち。しかしサラッとしたこし餡と、軽い口当たりのショコラ風味のバターの組み合わせで驚くほど軽く食べ進められてしまう、新感覚の「あんぱん」だ。
見て、食べて美味しい「松也の鯛焼き」
丸いフォルムと、鯛と松のモチーフが可愛らしい「松也の鯛焼き」(390円)。見慣れた鯛焼きのかたちと比べると、少し変わった印象を受ける。
「松也の鯛焼き」はコロンと丸いマドレーヌに、鹿児島・霧島産の抹茶を使用したチョコレートをコーティング。マドレーヌ生地には京都産の有機大納言と白あんを加えており、しっとりと優しい味わいだ。
マドレーヌ生地にゴロッと入った大納言と、香り高い抹茶チョコレートは相性抜群。なお抹茶味は6月から販売しており、今後も季節に合わせて限定フレーバーを展開予定とのこと。
意外な組み合わせに驚く「蕨餅」
蕨餅のイメージが変わりそうな、松也の「蕨餅」(390円)。熊本・阿蘇産の国産本蕨粉100%を使用しており、口のなかでさっと消えていく絹のような口当たりが特徴。ブラウンの色合いはチョコレートと思いきや、蕨粉の色だそう。
なかにはこし餡と、とろりとしたミルクチョコレートキャラメルが包まれている。和風の蕨餅と餡、そして洋風のチョコレートは意外な組み合わせだが、すっと溶ける食感の蕨餅と、あっさりしたこし餡に、まったりと濃厚なキャラメルが絡み、新感覚の食感だ。餡とチョコレートの相性がこんなに良いものなのかと驚くだろう。上にかけられている甘酸っぱいラズベリーパウダーも良いアクセントになっている。
夏限定「かき氷」
シンプルなネーミングの「かき氷」(1,350円)は、ピスタチオ・マモン・抹茶・みかんの4フレーバー。今回は「マモン」を紹介する。夏季限定で9月頃まで提供する予定とのこと。
「マモン」には、パリの紅茶ブランド「THE O DOR(テオドー)」のハーブティー「メランジュ ドゥ ジャルダン ド マモン」を使用。ローズヒップ、スグリ、ハイビスカスなど酸味のあるハーブをブレンドした甘酸っぱい味わい。紅茶の鮮やかなピンク色はシロップの色にも活かされている。
かき氷のなかは、氷とシロップ、そして杏仁ヨーグルトのクリームが層になっており、見た目以上に複雑な味わい。層の間に掛けてある、ライスパフやフィアンティーヌのサクサクと軽快な食感も心地良い。
さらに食べ進めていくと、「マモン」の味わいのゼリーが忍んでいる。不思議なことにかき氷を食べている間にゼリーを口にすると、なぜか温かい口当たり。冷たくシャリシャリした氷と、ほの温かくツルリとしたゼリーの食感の違いが面白い。
2020年には西武池袋本店の「イケセイアイスパーク」にも出店した実力のある「松也」のかき氷。味へのこだわりはもちろんのこと、見た目や食感も楽しめるかき氷で夏を感じて見てはいかがだろうか。
また、「松也 -MATSUNARI-」は昼はカフェ&パティスリーとして、夜はバーとして営業している。バーで味わいたいのは「ジントニック」(1,000円/午後5時以降1,111円)だ。
京都初のジン専門蒸溜所である京都蒸溜所が手掛けるドライジン「季の美」を使ったジントニックは、香り高く爽やかな後味が特徴。この「季の美」、お米から作るライススピリッツに、玉露や柚、ヒノキや山椒といった和の素材を取り入れ、伏見の伏流水を使用しているという。
グラスの底には「松也」のロゴが刻印されている。スイーツ同様、随所に密かな遊び心が感じられる。
なお、「あんぱん」「松也の鯛焼き」などは持ち帰りもできるため、ちょっと贅沢なおやつやお持たせとしても喜ばれそうだ。
馴染みのある和菓子と思いきや、餡とショコラを組み合わせ、遊び心と驚きがたっぷり込められた「松也 -MATSUNARI-」のスイーツ。これからもどんな新しい和菓子が生まれるか楽しみな、京都の新店舗だ。
●松也-MATSUNARI-
京都府京都市中京区河原町通⼆条上る清水町341番地
住所:HIYORIチャプター京都トリビュートポートフォリオホテル内
電話:075-221-3220(代表)
定休日:ホテル休館日に準じる