韓国の国家行政機関の1つである環境部(日本の環境省に相当)は、韓国環境産業技術院および韓国水フォーラムと一緒に8月26日、半導体製造用の超純水の国産化に向けた協議体の初会議を開催したことを明らかにした。同会議には、環境部水管理政策室長、韓国環境産業技術院本部長をはじめ、政府、公共機関、学術界および産業界の関係者などが参加したという。

韓国環境産業技術院が、産官学が一体となった半導体製造向け超純水の国産化技術開発の必要性と技術需要先との協業を通じた超純水産業活性化について発表したほか、純水処理用設備製作企業のCJK Alliance社が、産業界を代表し、国内で製品を開発しても事業化が難しい現状を報告し、性能検証体系の構築など、国産化および事業化のための今後の課題について提言をしたという。

韓国環境部によると、7月29日開催の「第13回イノベーション成長ビッグBIG3 推進会議」の重点推進課題の1つである「半導体超純水製造の国産化技術開発(2021年〜2025年)」に関連し、関連各所の協力と活性化の方策などを議論するために今回の会議を開催したという。なお、韓国の掲げる成長ビッグ3とは、「半導体」、「未来の無公害車」、「バイオヘルス」の3つの産業を指し、今年4兆2000億ウォン、2022年度5兆ウォン以上を政府が支援する予定としている。

半導体向け超純水製造に向けた国産化技術開発について、韓国環境部は合計480億ウォンを投入して国産化を実現し、海外技術依存からの脱却を目指すという。

主な投資内容は、以下の通り。

  • 装置開発(有機物紫外線酸化装置、溶存酸素除去装置など):56億ウォン
  • 2400トン/日規模の実証プラントの構築:337億ウォン
  • 超純水認証評価および検証システムの用意:25億ウォン
  • 半導体廃水再利用率の向上:46億ウォン

なお、英国の水専門調査機関であるGlobal Water Intelligence(GWI)によると、超純水市場(設計、施工、運営などを含む)は、韓国内で約1兆ウォン、世界市場が19.3兆ウォンで、2024年にはそれぞれ1.4兆ウォン、23.1兆ウォン規模まで成長すると予想されている。現在、韓国内のSamsung ElectronicsやSK Hynixなどの半導体工場のほか、SK Siltronなどの素材メーカーの工場に設置されている超純水プラントは、栗田工業ならびに野村マイクロサイエンスという日本企業2社による独占状態にあるという。そのための素材・部品・機器も日本勢が世界の特許の52%を握り、その後ろを米国ならびに欧州勢が追従するという形式になっており、韓国で国産化されている製品はごくわずかだという。