日本における男性の育児休業は近年推奨はされているものの、実際に取得する人の数は低迷しています。今回は男性の育児休業取得に関する現状や、メリット、育児休業取得の申請方法についてわかりやすく解説します。

  • 男性の育児休業取得に関する現状

    男性の育児休業取得について解説します

男性の育児休業取得に関する現状

育児休業とは、子どもが1歳に達するまで休みを取得できる制度です。「保育園に申し込みをしているけれども入所できない」といった一定の要件を満たせば、最長で2歳まで延長できます。これとは別に、父母ともに育児休業を取得すると子どもが1歳2カ月になるまで延長して休業を取得できる「パパ・ママ育休プラス」という制度もあります。

また、産後8週間以内の期間に育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても申出により再度の育児休業取得が可能(パパ休暇)です。

最近では、男性の育児休業に対する推進活動が国を挙げて活発になってきています。しかし、実際のところどのくらいの男性が育児休業を希望し取得できているのか、現状をご紹介します。

男性の育児休業取得に対する理想

公益財団法人 日本生産性本部「2017年度 新入社員 秋の意識調査」によると、2017年の男性新入社員のうち、79.5%が育児休業を取得したいと回答したそうです。「男性でも育児休業を取得できる」という意識が社会に浸透・認知されていることがうかがえます。

男性の育児休業取得に対する現実

男性新入社員の8割程度が育児休業を希望しているというデータがある一方で、現実に男性の育児休業は制度として利用されていなさそうです。

厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について」によると、平成30年における育児休業の取得率は女性が82.2%であるのに対し、男性はわずか6.16%にとどまっています。10年前の平成20年(1.23%)に比べると5ポイントほど増加していますが、それでも女性の約13分の1です。男性の育児休業取得における理想と現実の乖離がみられます。

  • 男性の育児休業取得に関する現状

    育児休業をしたいと考える男性は増えている

男性はいつから育児休業を取得可能? その期間は??

育児休業は、性別に関わらず子が1歳になるまで取得できます。また、両親がともに育児休業を取得する場合には、子が1歳2カ月に達するまで延長できるようになります。ただし、両親それぞれが取得できる期間はそれぞれ1年間です。

さらに今後は「育児・介護休業法」の改正に伴い、子の出生後8週間以内においては分割して2回、最大4週間まで取得ができるようになると掲示されています。

子どもがある程度大きくなるまではワンオペ育児は大変です。両親のどちらとも休暇を得られるようになることで、期間が延長できるようになるのは嬉しいですね。

男性は出産予定日から育児休業を取得可能

男性は出産予定日から育児休業を取得することができます。実際の出産が出産予定日より遅れた場合は、1歳まで育児休業を取得するとなると、厳密には1年より何日か長く取得できることになります。

企業側はすでに育児休業に入る男性に取って代わる人員や担当業務の分担といった手配を終えているため、たとえ子どもが生まれていなくても予定通り取得できるのです。

我が子と一緒の時間を長く持ちたいという男性にとっては、この1年+アルファの恩恵はありがたいことでしょう。もちろん、配偶者の女性にとっても育児の負担が減るわけですから、夫婦そろってメリットがあると言えそうです。

ただし、会社での予定によっては育児休業開始日を希望どおりに進めることが難しいこともあるため、育休取得予定が前倒しになった場合のスケジュールに備えた管理をしておくことをおすすめします。

育児休業に必要な手続き

育児休業の申請方法は、男性も女性も同じです。育児休業を申請する際に提出を求められる資料は以下のとおりです。

(1)母子手帳のコピー

(2)通帳のコピーまたはキャッシュカード(銀行から受け取れる確認印でも可)

(3)受給資格確認票の「申請者氏名」欄の記名

(4)雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書2枚目の右上部「休業を開始した者」欄の記名

初回時の育児休業給付受給資格確認票と、育児休業給付金支給申請書は事業所の所在地を管轄しているハローワークから交付されるため、あらかじめ手順を確認しておくとスムーズです。

育児休業の延長は可能?

大切な我が子を育て、その成長を見守るうえでとてもありがたい存在の育児休業ですが、その期間は1年が限界なのでしょうか? 答えは「No」です。特殊な状況下においては、育児休業は延長できます。

育児休業の延長が認められるケースは、大きく分けると2つあります。

  • 子どもが保育園に入れなかった場合
  • 子どもを育てる予定だった人が事故や病気で死亡もしくはけがをして、育児をすることが困難になった場合

育児休業を1歳6カ月まで延長希望するならば、子どもの1歳の誕生日の2週間前までに事業主への延長申し出の申請をする必要があります。パパ・ママ育休プラスの場合、育児休業が終了する時点で上記の要件に該当するのであれば、1歳6カ月までの延長を事業主に申し出ることが可能です。

  • 男性が取れる育児休業の期間とは?

    育児休業は取り方によって期間が変わります

男性の育児休業取得のメリット

男性が育児期休暇を取ることのメリットは数多くあります。一つずつみていきましょう。

子育ての負担を軽減できる

物理的に子育てをする人が2人になるため、配偶者の育児負担を減らせます。ワンオペ育児が心身ともに負担になっている女性からすれば、子どものケアをしてくれる大人がもう1人いるだけでだいぶ心の持ちようが変わってくるでしょう。

夫婦関係が良好になりやすい

男性が育児休業を取得することで、夫婦関係が良好になりやすい傾向にあります。女性は出産をきっかけとして、一日の大半を子どもとの時間に充てることになります。

男性が積極的な育児サポートをすれば、子どもがいなかったときとは違う信頼関係が生まれるようになるため、夫婦関係が良好になると言われています。

仕事に経験が生かせる

男性が育児休業を取ることで、普段仕事で忙しかった環境から少し離れた視点で仕事のことを考えられるようになるケースがあります。子育て中に得られた知見が自身の仕事につながる可能性もあるでしょう。

「現在攻略中のクライアントに、今回の経験を踏まえた視点で提案してみよう」「開発中の新商品、働くパパやママの意見をもとに●●といった改良を加えたらもっとよくなるかも……」など、子育ての経験が仕事に対してプラスに働く可能性があります。

  • 男性の育児休業取得はメリットばかり

    男性の育児休業はメリットがたくさん

男性の育児休業中の給料はどうなる?

育児休業取得中の給料は、企業のルールによって異なります。通常の給料の何割かを支払う企業もあれば、給料が支払われない企業もあるため、自分の勤めている企業の給与体制はあらかじめ調べておきましょう。

しかし、企業から給料が支払われなかったとしても、雇用保険や健康保険から給料の約5~7割にあたる育児休業給付金(育休手当)が支払われるため、過度に心配する必要はないでしょう。また、育児休業期間中は社会保険料が免除されることも大きなメリットと言えます。

申請してから振り込まれる日は企業ごとに異なるため、お金の具体的な振込期日は企業に問い合わせておくと安心です。

  • 男性の育児休業中の給料はどうなる?

    育児休業中の給与は会社によって異なります

男性が育児休業を円滑に取得するためのポイント

育児休業を取得する権利はあっても、実際に取得するとなると周りの目が気になったり、業務が滞ってしまう心配をしてしまったりする可能性はあるはずです。

以下では男性の育児休業を円滑に取得するためのポイントをご紹介しますので、ぜひ役立ててみてください。

(1)職場の同僚や上司と良好な関係を築く

職場の同僚や上司と良好な関係を築くことのメリットは「育児休業を後押ししてくれる」という点にあります。育児休業取得の権利があるのはもちろんですが、取得するのなら理解してくれている人が近くにいると安心できるものですよね。

無理に同僚や上司と良好な関係を築く必要はありませんが、少しでも気持ちよく育児休業を取得するのであれば、身近な人との関係をよくしておくことは大切です。

(2)入念な引き継ぎをきちんと行う

育児休業に入る前にきちんと業務の引き継ぎを行っておけば、自分が休暇中でも会社の業務は滞りなく進めることができます。

業務を中途半端にしておくことや、必要な引き継ぎを行っていなければ、会社に大きな迷惑がかかります。後任者が余裕をもって引継ぎ作業に当たれるよう、育児休業に入る前に余裕をもって準備しておくようにしておきましょう。

(3)会社の理解も重要

育児休業を取得する側のマインドも重要ですが、育児休業に対して「会社の理解があること」も大切なポイントです。育児休業の取得は男女関係なく権利のあるものであり、子を育てるのは母親ひとりでは決して簡単なことではありません。

男性の育児休業取得は会社の理解や後押しが必要になるため、育児休業を希望しやすい環境づくりをする努力を一人ひとりが行うことが大切です。

  • 男性が育児休業を円滑に取得するためのポイント

    円満な育児休業の取得は会社と本人の歩み寄りが必要

男性の育児休業が促進できるような仕組み作りが大切

今回は、男性の育児休業についてご紹介しました。日本の現状では、育児休業を取得したいと希望する数に対して、実際に取得する人はかなり少ない傾向にあります。

男性の育児休業は夫婦関係が良好になりやすくなることや、仕事への意欲が上がるなどのメリットも多いと言われています。

育休を取りやすい環境を作っておくことや、会社の理解がより育休が取りやすくなるため、育児休業のことを理解し、育児休業を希望する人が無理なく取得できる環境を作れるような仕組みづくりが大切です。