映画『護られなかった者たちへ』(10月1日公開)の完成披露イベントが15日に都内で行われ、佐藤健、阿部寛、清原果耶、倍賞美津子、吉岡秀隆、緒形直人、瀬々敬久監督が登場した。

  • 瀬々敬久監督、吉岡秀隆、清原果耶、佐藤健、阿部寛、倍賞美津子、緒形直人

    瀬々敬久監督、吉岡秀隆、清原果耶、佐藤健、阿部寛、倍賞美津子、緒形直人

同作は中山七里の同名小説の映画化作。全身を縛られたまま“餓死”させられるという、異様な手口の連続殺人事件が発生。捜査線上に浮かび上がったのは、過去に起こした事件で服役し、出所したばかりの利根(佐藤健)という男。刑事の笘篠(阿部寛)は利根を追い詰めるが、決定的な証拠がつかめないまま第三の事件が起きようとしていた。

連続殺人事件の容疑者として追われる主人公・利根泰久を演じた佐藤は「東日本大震災がどれほどの被害と悲しみを我々にもたらしたかは、日本だけではなく世界中の人々が知るものかと思います。実際は震災そのものだけでなく、そこから様々な問題が波及していて、今回はそのうちの生活保護に焦点を当てて撮影をしました」と明かす。「初めて原作を読んだ時に様々なことを教えられました。今の日本に投げかける、意義のある作品になったと思います」と同作について語った。

また利根を追う宮城県警刑事・笘篠誠一郎を演じた阿部も「震災から10年が経ちましたが、いまの社会が抱える、日本の色々な問題がこの作品に盛り込まれていますので、是非受け取ってください」とメッセージ。仙台市の保健福祉センターでケースワーカーとして働く円山幹子を演じた清原は「「気仙沼の街並みだったり、漁船が並んでいる風景がすごく好きで、朝早くても空気が澄んでいて、土地も人も温かく迎えてくださったなという印象があります」と撮影を振り返った。

佐藤と阿部は11年ぶりの共演、そして容疑者と刑事という関係性で撮影に挑んで、お互いの印象に変化はあったかを尋ねられると、佐藤が「阿部さんは、“阿部さん”ですね。11年前に初めてお会いした時から”阿部さん“でした」と会場を笑わせる。さらに「『TRICK』が好きすぎて、それがきっかけで役者になりたいと思ったくらいの作品なんですね。堤監督に直談判して、その『TRICK』でご一緒させていただいて、阿部さんがその作品で演じられていたのを今でも鮮明に覚えています。そんな阿部さんと、この作品でさらに深まった役でご一緒できて、非常に嬉しいです」と話すと、阿部も「11年間、佐藤さんの色々な作品を見ていたので、現場に入った時に集中力、責任感もあって、刑事役だったので、佐藤さんに委ねてやっていて、非常に集中力のある素晴らしい役者さんだなと思いました」と、感慨深い様子を見せていた。

最後には瀬々監督が「今日は終戦の日で、今後も皆さんに平和な日々が続いていければなと思います。そして、この映画が皆さんの生活の支えになればと思います。難しい内容に思われますが、エンタテインメントでもありますし、フィクションの面白さもあります。佐藤さん、阿部さんが話したように、この映画も皆さんと一緒に走っていければと思います」と語りかける。佐藤は「僕がこの完成した映画を見たときに、胸に残ったことは、命の重さや命の尊さというよりも、『誰かが、“誰かに生きていて欲しい”と思う気持ち』に一番心を打たれました。大切な人がいるということ、そんな日常の幸せに感謝しながら、皆でより良い国に、より良い生活を目指して、その為にどうするべきか共に考えながら、そんなことを思うきっかけとなる映画になってるんじゃないかなと思っております。たくさんの方に観て頂きたいと思っております。みなさんのお力を貸していただけたら嬉しいです」と頭を下げた。