三菱地所が東京駅日本橋口前で開発を進める「TOKYO TORCH(トウキョウ トーチ)」。第一弾プロジェクトとなる「常盤橋タワー」が6月30日に竣工した。中央に位置する大規模広場「TOKYO TORCH Park」が7月21日にグランドオープン、 商業ゾーン「TOKYO TORCH Terrace」も同日から順次開業している。メディア向けの内覧会で気になるなかみを取材した。

  • 「TOKYO TORCH(トウキョウ トーチ)」

東京駅周辺で最高層のオフィスタワー

TOKYO TORCHの街区名称には、「TORCH」のもつ「灯り」のイメージとプロジェクトビジョン「日本を明るく、元気にする」を重ね合わせ、常盤橋街区が日本を明るく照らす希望の灯りのような存在でありたいという思いを込めたという。敷地面積は約3万1,400m2。日本最高層となる高さ約390mの「Torch Tower(トーチタワー)」も2027年度末に竣工予定。

  • 街区完成時のTOKYO TORCH Park全景(東京駅側より)パース

今回竣工した常盤橋タワーは地上38階、高さ212mと竣工時点においては東京駅周辺で最も高いオフィスタワー。また、JR東京駅徒歩1分、東京メトロ東西線「大手町駅」コンコースと直結予定(2022年1月供用開始予定)。クライム、クラレ、東京海上ホールディングス、古河電気工業など、入居テナント9割が決定している。

  • 「常盤橋タワー」は高さ212m、竣工時点で東京駅周辺で最も高いオフィスタワー

三菱地所の吉田淳一執行役社長は、「コロナ禍でリモートワークや在宅勤務など働き方が大きく変わって効率化が図られる部分もあるが、社内外との信頼関係の醸成には支障もある。働く場、コミュニケーションの場、イノベーションを起こす場としてのオフィスの重要性がある。新しいオフィスのあり方の提案をさせていただいております」と話していた。

  • 三菱地所の吉田淳一執行役社長

就業者をサポートする専用アプリを初導入

常盤橋タワーでは、フェンリルと共同開発した就業者専用アプリ「TOKYO TORCH App for 常盤橋タワー」を三菱地所として初導入。

  • 1階 オフィスエントランス

非接触のスマホ認証でゲートを開錠でき、同時にゲート先のエレベーターも呼んでくれる。スマホを所持していれば、手をかざすだけでロック開錠できるドアも。

  • 2階 オフィスロビーには警備ロボットの姿も

  • スマホでゲート開錠

  • 8階 就業者専用ラウンジ、手をかざしてドアロック開錠

共用のカフェテリア「MY Shokudo(まいしょくどう)」での注文、貸会議室の予約も決済を含めてアプリから行える。就業者ラウンジ内のカフェ(9月開業)から執務フロアへのデリバリーサービスなども予定しているという。

  • 3階 共用カフェテリア「MY Shokudo(まいしょくどう)」の注文・決済もアプリで

就業者専用カフェテリア&ラウンジなど充実の設備

MY Shokudoは8月中旬以降に順次開業予定。昼は就業者専用、夜は一般利用もできる。キッチン付きのホールスペース「MY Shokudo Hall & Kitchen」は終日一般向けに開放される。

  • Diningゾーン

  • Cafeゾーン

  • Sakabaゾーン

  • キッチン付きのホールスペース「MY Shokudo Hall & Kitchen」は、就業者向けチームビルディングプログラムの開催、食育ムーブメント「EAT&LEAD(イート アンド リード)」の拠点にも

MY Shokudoエリア内には、TOTOと協業した先進的なオフィストイレ「nagomuma restroom(ナゴムマ レストルーム)」が設置されている。"誰もが使いやすくリフレッシュできるトイレ"として個室内で手洗い・身支度まで完結できる六角形ブースで、内装デザインは気分と好みで選べる4種。照明とサウンドの演出によってリラックス効果を高める仕掛けを取り入れている。

  • 特徴的な六角形ブースのオフィストイレ「nagomuma restroom(ナゴムマ レストルーム)」。空き状況表示サービスも導入されている

  • 個室内で完結できる

就業者専用ラウンジは、ビジネスはもちろん、ブレイクタイムにも使える落ち着いた空間。WEB会議向けの個室ブースも備える。就業者向けにネイル×メディテーション、 ヨガ×メディテーションなどウェルネス・ビューティー関連のサービスも提供される。

  • 8階にはこの就業者専用ラウンジのほか、コンファレンスルーム(貸会議室)全7室も備える

  • 就業者向けネイル×メディテーションのデモ

施設内では、警備・清掃分野においてロボットを実装。配送についても実装に向け検討中という。

  • 就業者専用ラウンジで配送ロボットのデモが行われていた

## 「錦鯉が泳ぐ池」など広場からも全国の魅力を発信

タワーの下には、約7,000m2の東京駅前広場「TOKYO TORCH Park」が広がる。

  • 東京駅前広場「TOKYO TORCH Park」

「このプロジェクトを通じて都市の再生はもちろん、地方創生、地域との協業、地域の魅力の発信を行っていきたい。47都道府県1,741団体と深い関係をつくりながら広げることも進められれれば」と三菱地所執行役員でTOKYO TORCH事業部長の茅野静仁氏。

TOKYO TORCH Parkでも日本全国の自治体と連携。新潟県小千谷市と共に整備した「錦鯉が泳ぐ池」には錦鯉が約50匹が放流されている。

  • 新潟県小千谷市との協業「錦鯉が泳ぐ池」

  • 訪れる人の憩いの空間に

  • 50〜60cmほどの錦鯉およそ50匹が優雅に泳ぐ

小千谷市の環境音が流れるパイプスピーカー(ニッポン放送との協業)も池周辺に設置。広場中央には、デンマークを拠点に活動する遊具製作会社「MONSTRUM(モンストラム)」と協業した鯉池アート遊具がある。

  • 日本橋川沿いに広がる親水空間にはデッキスペースが広がり、新潟県小千谷市の環境音が流れている

  • 既存樹のケヤキの木漏れ日が美しい緑豊かな空間

  • 子どもも遊べる鯉池アート遊具

このほか広場では、新潟県佐渡市・佐渡金銀山の全盛期を物語る約2トンの鉱石、静岡県裾野市環境緑化事業協同組合が開発した軽量薄層緑化システムによる緑の空間、日本一の芝の生産地である茨城県つくば市のブランド芝4種が見られる。

  • 新潟県佐渡市「佐渡島の金鉱石」

  • 茨城県つくば市「つくばの芝」

  • 静岡県裾野市「うるおいある緑化空間」

さらに常盤橋タワー及びTOKYO TORCH Parkには、上海を拠点とするアートとデザインの企画・開発ユニット「コダマシーン」がキュレーション・ディレクションしたパブリックアート18点が展示され、各フロアを彩っている。「伝統の中に光る奇想の系譜」がコンセプト。一般入場可能エリアでは、18のアート作品のうち7作品を見ることができる。

地方グルメを中心に13店! テラス席も充実の商業ゾーン

地下1階〜地上3階の商業ゾーン「TOKYO TORCH Terrace」では、地方グルメの名店を中心に13店舗が出店。TOKYO TORCH Parkを望むテラス席も広く備えている。

  • 地下1階〜地上3階が商業ゾーン「TOKYO TORCH Terrace」

  • 「TOKYO TORCH Park」を望むテラス席も多数

「魚と日本酒 羽田市場」は「羽田市場」の新業態。全国の超新鮮"朝獲れ"魚介を日本酒と共に立ち呑みで楽しめる。

  • 「魚と日本酒 羽田市場」

「Tsubamesanjo bit TOKYO」は、オーナーシェフの地元である新潟・燕三条の魅力を発信するイタリアン。燕三条の食器やカトラリー、インテリア、新潟県産の食材にこだわる。

  • 「Tsubamesanjo bit TOKYO」で使用される燕三条の食器やカトラリー

「Bar Español YEBRA(ジェブラ)」は、スペイン・セビーリャの数々の料理コンクールで受賞歴のある弟ハビエルの料理と、兄マヌエルが大切にするホスピタリティを体験できるYEBRAの東京店。日本初出店となる。

  • 「Bar Español YEBRA」の「海老とホワイトアスパラガスのパステル クレマ・ヴェルデ」(693円)

大阪・梅田の「フレンチ串揚げ BEIGNET(ベニエ)」は東京初出店。天ぷらに似た、衣をつけて揚げるフランス料理の一種「ベニエ」を串揚げに。衣がサクッと軽く上品な味わいが特徴。

  • 「フレンチ串揚げ BEIGNET」の「ロッシーニ 牛肉とフォアグラ」(680円)など

「CRAFT BEER MARKET」では、国内外の樽生クラフトビールを常時30種類提供。餃子をはじめ、クラフトビールに合わせたジャンルを問わないスパイス料理をリーズナブルに提供する。

  • 「CRAFT BEER MARKET」の日替わり30種類のクラフトビールはグラス(250ml/500円)、パイント(473ml/800円)

豆乳にこだわった福岡・博多のカフェ「TOFFEEtokyo」は東京初出店。ルーツは1959年に創業した佐賀県鹿島市の豆腐店「三原食品」。東京でしか味わえない新メニューも登場する。

  • 「TOFFEEtokyo」

「TATA BAR RESTAURANT CAFE」は、「常盤橋の豊かな日常」をコンセプトとするオールデイダイニング。日本の食材をふんだんに取り込んだタパスとナチュラルワインを緑あふれるテラス席で楽しめる。

  • 「TATA BAR RESTAURANT CAFE」の「鹿児島 魚介のペスカトーレ」(1,650円)、「スパイシーTATAタコス」(990円)など

「北海道 炉端 えぞ羅」は、北海道・羅臼町の海から水揚げされた旬な魚や野菜を、素材本来の旨味を引き出す炉端焼きで提供。"まだ知らない北海道"が味わえるそう。

  • 「北海道 炉端 えぞ羅」の「羅臼産鮭いくらがけ」(1,870円)など

「野乃鳥 丹波赤どり専門 とりのや 本店」は、関西から東京初出店となる鳥料理専門店。歯ごたえや旨味を追求した新品種「丹波赤どり」を、焼き鳥をはじめとしたさまざまな料理で楽しめる。

  • 「野乃鳥 丹波赤どり専門 とりのや 本店」

「BRIANZA TOKYO」は、ミシュランビブグルマン掲載のイタリアン「la Brianza(ラ ブリアンツァ)」の新業態。厳選した素材を炭火でじっくりと焼き上げる。

  • 「BRIANZA TOKYO」の「香ばしく仕上げたキャベツ 名物ジョスパー焼き」(900円)、「厳選A5和牛もも肉」(2,800円)、「焦げも旨味 アスパラガス」(1,000円)

東京駅周辺最大の再開発エリアである「TOKYO TORCH」は、今回の常盤橋タワー開業で本格稼働となる。オフィス就業者以外でも、地方の魅力と出会える広場やグルメが楽しめそうだ。東京駅を訪れた際は、東京の新たなシンボルとなる巨大ランドマークを体感してみてはいかがだろうか。