「フルコミット」という言葉は、上司から「フルコミットでお願い」などとビジネスシーンで良く使われます。しかし、フルコミットと指示されても、なんとなくでしか意味を理解できていないというケースは少なくありません。
この記事では「フルコミット」について、意味やビジネス上での正しい使い方について解説します。
フルコミットの意味とは
「フルコミット」は、「フル」+「コミット」が合わさりできた言葉です。
コミットには、「責任を持ち積極的に関わること、約束すること」に加え「委託・委任する」「公約・約束する」という意味があります。この「コミット」に「フル」が付き、「全力で取り組む」や「全面的に責任を持つ」といった意味で用いられます。
フルコミットの語源
「フルコミット」の意味を考える上で外せないのが、「commitment」(コミットメント)という英単語です。
「コミットメント」は「フルコミット」の語源となっている言葉で、意味は大きく分けて3つ「委任・委託」「公約・約束」「介入・関わり」です。これらの意味全てに「責任を持った」というニュアンスが含まれています。
「コミットメント」を使った例文もいくつか紹介します。
A社がこのプロジェクトへのコミットメントを明らかにした。
目標達成へのコミットメントは全社員が持つべきだ。
プレゼンは無事終わったが、私達のコミットメントはまだ完了していない。
1つ目の例文中の「コミットメント」は「介入」を意味し、「A社がとあるプロジェクトに介入してきた」と解釈できます。2つ目と3つ目の例文は「責任」の意味で「コミットメント」が使われています。
この他、「コミットメント」には「取り組み」や「決意」といった意味もあります。文脈によってどの意味で用いられているのかを判断できるようにしておきましょう。
仕事での「フルコミット」の使い方・例文
仕事での「フルコミット」の使い方
「フルコミット」は特定の業界用語ではなく、さまざまなビジネスシーンや業界で使用されます。
ビジネスシーンにおいて使われる「フルコミット」の意味は、「責任を持って積極的に関わることや約束すること」です。
「フルコミット」の「フル」は、「最大限の」や「いっぱいの」という意味の形容詞"full"に由来します。そのため、ただ単純に「頑張ります」「努力します」「励みます」といった言葉とは温度感や期待値が違ってくることを理解しておきましょう。
「頑張ります」「努力します」というのは結果が伴わなくても、その姿勢が評価されます。 しかし、「フルコミット」となると、努力や頑張る姿勢だけでは評価されず、責任が求められるのです。
成功見込みが低い物事に対してや、なんでもかんでも頻繁に「フルコミット」と言ってしまうと「口先だけの無責任な人」と周囲から思われる危険性があります。使う場面には注意しましょう。
仕事での「フルコミット」の例文
具体的にどういったセリフや言い回しで使われているか例文を紹介します。
明日の商談はフルコミットで臨みます。
今月の売り上げは目標の120%を達成することにフルコミットします。
明日のプレゼンはとても重要だからフルコミットで頼むよ。
2つ目の例文には「達成するために積極的に業務を遂行する」という意味が含まれています。
「フルコミット」と「プロミス」の違い
「フルコミット」と混同されやすい言葉として「プロミス」があります。「プロミス」は英語の 「promise」から来た言葉で「約束する」という意味です。「フルコミット」にも約束、公約という意味があるので同じ意味と思われがちですが、少しニュアンスが異なります。
「フルコミット」は自分の意志で発する言葉であるのに対し、「プロミス」は自分の意志に関係なく約束する言葉です。「フルコミット」は自ら言い出したことなので責任を追及されますが、「プロミス」は何かしらの謝罪は必要ですが、結果を出せなくても責任を問われることはあまりありません。
フルコミットで取り組むことは大切
「フルコミット」は業界を限定されることなく、さまざまビジネスシーンで使用される言葉です。全力で取り組んでやり切る様子を表す際に用いられ、コミットにフルがついていることから、より責任感や積極性が求められます。
そのためビジネスシーンにおいては、口先だけと思われないよう乱発するのでなく、成し遂げられる可能性が高い物事に対して使用するようにしましょう。