俳優の林遣都が主演したフジテレビ系スペシャルドラマ『世界は3で出来ている』(20年6月11日放送)が、第58回ギャラクシー賞(主催:放送批評懇談会)のテレビ部門大賞を受賞。2日、都内のホテルで行われた贈賞式で、中江功監督が喜びを語った。

  • 『世界は3で出来ている』に主演する林遣都 (C)フジテレビ

コロナ禍で、“できない”ことを面白がり、限られた制約をあえて楽しもうと生まれたこのドラマは、リモートによる打ち合わせと、密を避けた安心安全を徹底して撮影。どこにでもいそうな若者3人のアフターコロナ、ウィズコロナの今を切り取ったリアルな物語だが、密な撮影が無理なので、林が演じる若者3人を三つ子とした。

中江監督は「去年の1回目の緊急事態宣言のとき、テレビとか映画とか演劇の方がそれぞれリモートで作品を発表しだした頃に、やっぱりフジテレビもこういうのをやるべきなんじゃないかということで企画を出したら、フジテレビにしては珍しく企画が早く通って放送した作品です」と紹介。

「企画出してから放送まで3週間弱くらいでできたものなので、長きにわたって取材された皆さんに申し訳ない。長瀬(智也)くんのブリザード(『俺の家の話』)も見てたので、申し訳ないです」と、他のノミネート作品に恐縮しつつ、「深い時間の30分くらいのドラマがこんな賞をもらえるのは本当にうれしいことで。『教場』というドラマでもギャラクシー賞にノミネートさせていただいて、予算も尺も数倍あるんですけど、大作を作ればいいのではないということを、改めて教えられたようで感激しております」と挨拶した。

当時、パソコン画面のリモートドラマが放送されていた中で、「コロナ禍でもなるべく通常に見えるドラマを作りたいと考えて、脚本の水橋文美江と林遣都1人で行こうというのは当初から決めて話を作って、据え置きのカメラで離れたところから撮るという手法で、この時期でも通常と同じように見てもらえる、“見え方より内容だ”ということを意識して作りました」と振り返り、「これは本当に林遣都がいなかったらできなかったし、水橋の本がなかったらできなかったです。2人には本当に感謝しています」と述べた。

  • 中江功監督

そして、宋ハナプロデューサーは「スタッフの1人1人もなるべくディスタンス取るとか、健康を第一に考えなければならないとか、作品以外のことも特に考えなきゃいけない時代だったので、それも作品にいろいろ反映されたからこそ、見ていただいた視聴者の皆さんにも届いたものがあるんじゃないかと思います」と話した。

フジテレビがギャラクシー賞のテレビ部門大賞を受賞するのは、第27回(1989年度)のサントリードラマスペシャル『失われた時の流れを』以来31年ぶり。なお中江監督は、第44回(2006年度)に『Dr.コトー診療所』シリーズ制作チームで特別賞を受賞している。

  • 宋ハナプロデューサー