哲学者ニーチェが残した、「神は死んだ」「超人」「夫婦生活は長い会話である」などの名言。皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

本記事ではニーチェが唱えた思想に触れ、これらの名言の意味を深堀りしていきます。人生や仕事へのアドバイスとなるものがきっと見つかるはずです。彼の経歴や思想についてもまとめました。

  • ニーチェの名言や、どんな人かを解説

    ニーチェは、私たちの人生に役立つさまざまな名言を残した人物です

ニーチェの名言集(英語と日本語)

社会の基盤となる概念や理念を、生涯をかけて覆し続けたニーチェ。ここでは、社会を鋭く見つめたニーチェの名言を紹介します。

弱い人間がどうすれば幸せに生きられるのか、物事をどう捉えるべきなのか。考え尽くしたニーチェの言葉には、前向きな力強さを感じずにはいられません。

人生について考えさせられるニーチェの名言一覧

What is evil? Whatever springs from weakness.

悪とは何か? 弱さから生じるすべてのものである。

Perhaps I know best why it is man alone who laughs; he alone suffers so deeply that he had to invent laughter.

孤独な人間がよく笑う理由を、たぶん私は最もよく知っている。孤独な人はあまりに深く苦しんだだめに笑いを発明しなくてはならなかったのだ。

The worst for you meet would be always you yourself.

あなたが出会う最悪の敵は、いつもあなた自身であるだろう。

There are no facts, only interpretations.

事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。

The search for truth begins with the doubt of all ‘truths' in which one has previously believed.

真実の追求は、誰かが以前に信じていたすべての真実の疑いから始まる。

It's because nature doesn't have an opinion at all about us, that we feel like having a pain like this in open nature.

我々が広々とした自然にこれほどいたがるのは、自然が我々に関して何ら意見をもっていないからである。

仕事に役立つニーチェの名言一覧

There is only way no one can walk besides you in the world. A field's reaching where or, you aren't supposed to care. Advance earnestly.

世界には君以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある。その道はどこに行き着くのか、問うてはならない。ひたすら進め。

You make yourself strong in a load just before one step which destroys itself.

自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる。

If he asks about something most important in many ways for a tree, everyone would reply that that is a fruit. But it's a seed actually.

樹木にとって最も大切なものは何かと問うたら、それは果実だと誰もが答えるだろう。しかし実際には種なのだ。

When not giving anything small up at least once every day, every day is used poorly, and there is also a fear which becomes useless on the next day.

毎日少なくとも1回、何か小さなことを断念しなければ、毎日は下手に使われ、翌日も駄目になるおそれがある。

It's when one car was avoided exactly, that the danger attracted by a car is highest.

轢かれる危険が最も多いのは、ちょうど1つの車を避けた後である。

One often contradicts an opinion when what is uncongenial is really the tone in which it was conveyed.

人が意見に反対するときは、だいたいその伝え方が気に食わないときである。

The surest way to corrupt a youth is to instruct him to hold in higher esteem those who think alike than those who think differently.

若者を確実に堕落させる方法がある。違う思想を持つ者よりも同じ思想を持つ者を尊重するように指導することである。

結婚・恋愛に役立つニーチェの名言一覧

A conjugal life is long conversation.

夫婦生活は長い会話である。

It is not a lack of love, but a lack of friendship that makes unhappy marriages.

愛の不足ではなく、友情の不足が不幸な結婚生活を作り出す。

The best way to begin one day a day is to think it's possible to give one of delight to a person's of man today in case of awaking.

一日一日を始める最良の方法は、目覚めの際に今日は少なくとも一人の人間に、一つの喜びを与えることができないだろうかと、考えることである。

The thing human most for you. The case that makes no one do the thought that I'm embarrassed.

あなたにとって最も人間的なこと。それは誰にも恥ずかしい思いをさせないことである。

  • 哲学者ニーチェの言葉・名言は本質を見抜く

    世界を鋭く見つめるニーチェの名言を知り、仕事や結婚について考えるヒントにしてみてはいかがでしょうか

特に代表的なニーチェの言葉と解説

ニーチェはキリスト教を含むさまざまな近代的価値観を根底から覆し、新たな思想を提唱した人物です。ここからはそんなニーチェが残した、特に有名な言葉とその意味について考えます。

「神は死んだ」

ニーチェの言葉で最も有名と言えるのが「神は死んだ」です。「神は死んだ」は、従来のキリスト教は信ずるに値しないという意味でもあり、そもそもキリストのような絶対的な視点は存在しない、と訴えています。

当時のヨーロッパではすべての価値観の根底にキリスト教への信仰心があり、「どう生きるべきか」という人生観もキリストの教えの上に成り立っていました。そこへニーチェは「神は死んだ」という衝撃的な言葉を使い、固定概念への疑問を投げかけたのです。

「超人」

「神は死んだ」と並ぶ名言に「超人」があります。簡単に説明すると人間の理想的典型であり、「キリスト教的神にかわって人類を支配するような存在」を指します。

ニーチェは大前提として、人間は弱い存在だからこそ、その弱さや不安をごまかすためにキリスト教や哲学に頼るとしています。しかしそれでは人として幸せに生きることはできないとし、「超人」であることの必要性を強調しています。

自分の価値を自分の中に見いだし、自らの確立した意思で行動する「超人」であるこそが、人が目指すべきところだと説いたのです。

「永劫回帰(永遠回帰)」

「永劫回帰」とは、世界には終わりがなく、無意味な人生が同じように何度も繰り返されるという世界観を指し、ニヒリズムの極限形式とも言われています。永遠回帰と表現されることもあります。

ニーチェは、この無意味な人生が何度も繰り返される世界観に対して、この世界観を受け入れ、何度も繰り返したいと思える素晴らしい人生を送ればいいと主張しました。

「深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」

ニーチェの著書『善悪の彼岸』には、「深淵(しんえん)をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という言葉があります。

ニーチェは怪物を例にあげ、「怪物と戦うものは、戦いながら自分も怪物にならぬよう用心したほうがいい」と書いています。つまり怪物との戦いに夢中になっていると、いつしか自分も怪物と化し、まるで怪物同士の戦いにすぎなくなる、と忠告しています。

そもそも深淵には「底知れない」「奥深い」という意味があります。難解な問題には底知れない不気味さがあり、それらと戦っているつもりでも、夢中になるすぎると我を失い、いつしか自分が悪者としてみなされる可能性があるとしています。

  • ニーチェの残した有名な言葉

    我を失い、悪者側に陥ってしまう可能性に気を付けなければいけません

フリードリヒ・ニーチェとは? どんな人なのかや経歴を紹介

そもそもフリードリヒ・ニーチェとは、100年以上前の時代を生きたドイツの哲学者です。その思想には現代の私たちにも共感できる部分があります。ニーチェとはどんな人物なのか、詳しく見ていきましょう。

反キリスト教的なドイツの哲学者で、実存主義の先駆者といわれる

ニーチェは反キリスト教的な哲学者であり、実存主義の思想家として有名です。ニーチェが生きた当時のヨーロッパではキリスト教が最高体系とされていましたが、ニーチェはキリスト教は私たちの生を否定し、人を甘やかすものだとして批判しました。

これだけ聞くとかなり過激な人物のように聞こえますが、ニーチェは「人がどうしたら良く生きられるか」「苦痛に満ちた世の中を、どう肯定して生きていくか」を徹底的に考え抜きました。それまで当たり前のように信じられていた神や真理、権力などの概念を再構築し、新しい概念を生み出したのです。

ニーチェとニヒリズム思想

ニヒリズム(虚無主義)は、「物事の意義や価値は存在しない、自分自身の存在を含めてすべてが無価値だ」という考えです。

ニーチェは、世の中のすべてが無意味で無価値に見え、これを嘆く状態を「消極的ニヒリズム」と言い、この状態を脱する考え方を「積極的ニヒリズム」と説きました。

有名な書籍が多数

幼いころから文学的な才能もあったとされるニーチェは、さまざまな代表作を残しています。中でも『ツァラトゥストラはこう言った』『喜ばしき知恵』などは有名です。

『ツァラトゥストラはこう言った』には「すべての人のためであり、誰のためでもない書」という副題が付けられています。まさにその通り、内容を理解できる人はいないほど壮大で難解な人生について考える本となっています。

哲学書と聞くと少し身構えてしまいますが、『ツァラトゥストラはこう言った』には主人公が登場し、まるで小説のように文章がつづられています。哲学書に抱くイメージより読みやすいので、ニーチェの考えに触れてみたい方にはおすすめです。

  • ニーチェとはどんな人?

    ニーチェはドイツの哲学者で、有名な代表作が多数あります

哲学者ニーチェの名言・格言は人の本質を見抜く

哲学者ニーチェの思想や、彼が残した名言について紹介してきました。特に名言の数々は、私たちの心に深く刺さるものも多いのではないでしょうか。

人間の幸せな生き方を、生涯をかけて考え抜いたニーチェ。幸せをつかむには固定概念にとらわれず、自分の考えを持ち決断することが大切だと伝えています。私たちが学べることも多そうですね。