「えんもたけなわではございますが…」。社会に出て飲み会の機会が増えるとよく聞くようになる言葉です。これは飲み会を円満に終了させるための定型句。今回はこの「えんもたけなわ」の意味や使い方などを紹介します。飲み会の幹事を任されたとき、この記事がきっと役に立ちますよ。

  • 「えんもたけなわ」とはどういう意味?

    意味を知ってから使いましょう

「えんもたけなわ」の意味とは

はじめに、「えんもたけなわ」の意味を知っておきましょう。類語や英語表現も一緒に押さえれば、もっと深く理解できます。

意味は「一番盛り上がっているとき」

「えんもたけなわ」とは、お酒の席で一番盛り上がっている状態を指します。「えんもたけなわではございますが」と切り出すとき、「盛り上がっているところですが」という意味になります。

漢字で書くと「宴も酣」

「えんもたけなわ」を漢字で書くと「宴(えん)も酣(たけなわ)」となります。宴は飲食などをして楽しむ場を指し、酣は行事や季節がもっとも盛んである状態を指します。

「酣」という漢字は日本最古の正史とされる日本書紀にも記載があるほど、古い言葉です。中国では現在も「酒酣」という単語に使われており、お酒を飲んで充分に酔っ払った状態という意味があります。

類語・言い換え表現は「盛り上がっている」「にぎわっている」

「えんもたけなわ」の類語は「盛り上がっている」「にぎわっている」などの言葉です。ただし「えんもたけなわ」は宴という言葉が含まれることから、お酒の席に適した言葉といえるでしょう。

英語では「party in full swing」「party at its peak」

宴会の終わりの挨拶を英語でできたら格好いいですよね。次に英語表現を紹介します。

「たけなわ」を英語でいうと「in full swing」「at its peak」となります。宴がたけなわである状態は「The party is in full swing.」と表現できます。

今回の「盛り上がっているところ申し訳ないですが」というニュアンスを表現したい場合は、遮るという意味の「interrupt」という言葉を使い、「Excuse me for interrupting the party in full swing,」とすればよいでしょう。

  • 「えんもたけなわ」とはどういう意味?

    話題に花も咲いて盛り上がり最高潮です

「宴もたけなわではございますが」を使うタイミング

飲み会が盛り上がってくると、参加者はおしゃべりに夢中になり、意識はなかなかこちらへ向かないもの。そんなとき、締めの挨拶の決まり文句である「えんもたけなわではございますが」を使えば、飲み会が終わる時間が近づいていることを嫌みなく知らせることができます。

では、どのようなタイミングで使うとよいのでしょうか。具体的なポイントをご紹介します。

閉会の10~15分前が理想

「えんもたけなわではございますが」を切り出すのは、飲み会の進行にもよりますが、会が終わる10~15分前が理想とされています。

宴会場には予約の時間があり、場合によっては次の予約が入っているケースもあります。何より時間を守るのはビジネスパーソンのマナーです。宴会場が使えるギリギリの時間に挨拶してしまうと、片づけや身支度も慌ただしくなりせっかくの楽しい雰囲気が台無しです。

会場の予約終了時間の10~15分前であれば、参加者も余裕を持って帰る準備ができるでしょう。終了時間に多少の余裕を持ったタイミングで使うのが賢明と言えます。

結婚式では新郎新婦の挨拶の前

「えんもたけなわではございますが」は、結婚式の披露宴でも使う言葉です。一般的には招待客の食事がある程度すすみ、残すところ新郎新婦からの挨拶だけというタイミングで使われます。「えんもたけなわではございますが」と一度全員の注目を集めてから、「新郎新婦の挨拶です」と紹介すればよいでしょう。

  • 「えんもたけなわ」使うタイミングは?

    これで司会もばっちり

「宴もたけなわではございますが」の使い方・例文

「えんもたけなわではございますが」は最もスタンダードな決まり文句です。しかし幹事としてはその使い方や、ほかにもどんな表現があるのか知っておきたいところ。以下を参考にしてみてください。

「宴もたけなわなところ恐縮ですが」

目上の人がいる場で使うのに便利なフレーズです。会場で目上の人がいくら盛り上がっていても、時間には限りがあるので会を終わらせなければなりません。切り出しにくいですが、「恐縮ですが」の一言を添えればこちらの配慮も相手に伝わるでしょう。

「宴もたけなわですが、時間の都合上」

会場には使用時間の制限があるので、時間内に全員を退出させることも幹事の重要な仕事です。それでも宴会が予想以上に盛り上がってしまい、宴会のピークであってもまだまだ収まる気配がない、ということもあるでしょう。

そういうときに「えんもたけなわですが、時間の都合上そろそろ会をお開きにします」と伝えると、「時間の都合で仕方がない」というニュアンスを明確に伝えられます。まだ幹事に不慣れな人は使ってみてもいいかもしれません。

  • 「えんもたけなわ」の例文

    まだまだ楽しみたいところですが…

「宴もたけなわではございますが」を使うメリット

「えんもたけなわではございますが」を使うことで得られるメリットを、以下に紹介します。

###場を仕切りやすくなる 「えんもたけなわではございますが」は、飲み会の終わりが近づいたことを知らせる合図のような言葉です。多くのビジネスパーソンはそれを理解しているので、「そろそろお開きの時間だな」と察してくれます。つまり幹事はその場を仕切りやすくなるわけです。

気持ちよく会を終了できる

前述したように「たけなわ」は宴会で盛り上がりが最高潮に達した状態ですが、これは置き換えれば「盛り上がりがこのあと収まっていく一歩手前の状態」です。楽しかった飲み会の雰囲気がすっかり冷えきってしまっては、気持ちよく会を切りあげることができません。

「この楽しい雰囲気に浸っていたい」というまさに「えんもたけなわ」の状態で会を終わらせれば、参加者も満たされた気持ちのまま帰路につくことができます。それを嫌みなく促せるのが、「えんもたけなわではございますが」という言葉なのです。

目上の方への気配りができる

「えんもたけなわではございますが」は締めの挨拶として認知されているため、切り出すだけで目上の人にも会の終了を告げることができます。「えんもたけなわなところ恐縮ですが」と一言添えれば、より配慮の行き届いた締めの挨拶となるでしょう。

  • 「えんもたけなわ」を使う意味は?

    「えんもたけなわ」を使いこなしてビジネスパーソンの仲間入り

宴もたけなわではございますがを使ってみよう!

「えんもたけなわ」の意味や使い方についてまとめました。誰しも楽しい宴会は続けていたいものですが、「えんもたけなわ」はそうした宴会を気持ちよく終わらせるための心遣いの言葉です。使うタイミングがつかめれば、会をスムーズに進行できます。

ビジネスパーソンなら、いつかは幹事を務めるときが回ってくるもの。ぜひ覚えておきましょう。