四字熟語を誤用してしまった代表的な例としてよく挙げられるのが、「汚名挽回」です。似た意味をもつ2種類の四字熟語が混ざってしまい、ちぐはぐな言葉になっています。

間違った使い方を続けていると、周りの人や取引先の人から知性がない人だと思われてしまうこともありますので、言葉の正しい成り立ちや意味を理解したうえで使いたいですよね。

「汚名挽回」ではなくどう使うのが正しい使い方なのでしょうか。この記事では、「汚名挽回」が間違っているといわれる理由や、正しい使い方などを紹介していきます。語彙力を増やしてビジネスにふさわしい言葉遣いを身につけたいなら、ぜひ読んでください。

  • 「汚名挽回」は間違い?

    「汚名挽回」は正しいかどうかや正確な表現などを紹介する記事です

「汚名挽回」は間違い?

「汚名挽回」は、間違いやすい誤用表現の一つです。この誤用表現誕生の背景は、同じような意味を持つ「汚名返上」と「名誉挽回」の混同にあるという説が主流です。2つの四字熟語が混ざった結果、「名誉返上」と間違えることもあります。

「汚名返上」の意味とは

「汚名返上(おめいへんじょう)」とは、新たな成果をあげ、悪い評判を取り除くことです。「汚名」とは悪い評判や不名誉な評判のことで、「返上」とは受け取ったものを返すことを意味します。

一度悪い評判がついてしまっても努力して名誉を取り戻し、汚名を「いらない」と返すことを表した言葉です。

「名誉挽回」の意味とは

「名誉挽回(めいよばんかい)」とは、「失った信用や評価を取り戻すこと」という意味があります。「名誉」の意味は、「能力や行為についての優れた評価」「社会的評価」「いい評判」などです。「挽回」は、「失ったものを取り戻し、元の状態に戻すこと」を意味します。以前あったいい評価を再度取り戻すことを意味しており、「汚名返上」の類義語の一つです。

どちらも同じような意味があることから混同され、「汚名挽回」「名誉返上」などと間違われています。

「汚名挽回」が間違いではないという説とその根拠

「汚名挽回」は誤用表現として有名ですが、必ずしも誤用とは言えないという説もあります。

『三省堂国語辞典第7版』(見坊豪紀ほか5名編)で、「汚名挽回」は「汚名の状態をもとに戻す」と考えられ、使用例も少なくないことから誤用ではないと記述。

必ずしも間違いではないと記載した辞書が複数あることから、絶対間違っているわけではないということを覚えておきましょう。

  • 「汚名挽回」は間違い?

    「汚名挽回」は「汚名返上」と「名誉挽回」を混同しているという説が主流です

「汚名返上」の使い方と例文

「汚名挽回」は「汚名返上」と「名誉挽回」が混ざった言葉ですので、実際には「汚名返上」と「名誉挽回」のどちらかを使うのが望ましいです。ここからは両者の例文を詳しくみていきましょう。

まずは着せられた悪い評判や不名誉を覆すことを意味する「汚名返上」からみていきましょう。

■「汚名返上する」

遅刻ばかりで信頼を失ってしまったので、汚名返上するため決意を新たにして頑張ります

「汚名返上」は名詞なので、「する」「できる」などの動詞をつけて使うのに適しています。上記のような評判を取り戻したいと決意する際に「汚名返上する」として使うといいでしょう。

■「汚名返上を果たす」

毎年選考で落ちてばかりだったけど、やっと今年汚名返上を果たせたので嬉しい

「果たす」とは、「成し遂げる」ことを意味する動詞。「汚名返上」と組み合わせてよく使われる言葉です。上記のように汚名返上できた場合に使われるので覚えておきましょう。

「名誉挽回」の使い方と例文

「名誉挽回」は、傷ついた名誉信頼を取り戻すときに使える言葉。「汚名返上」と意味は似ていますが、少しニュアンスが異なります。そんな「名誉挽回」を使った例文を紹介します。

■「名誉挽回の機会、チャンス」

・やっと名誉挽回のチャンスがやってきた
・名誉挽回の機会をいただき、ありがとうございました

「名誉挽回」は「機会」や「チャンス」などの時期を表す言葉と組み合わせるのに適した言葉。信頼を回復する機会を指して、上記例文のように表現されます。

■「名誉挽回する」

次回のプレゼンでは、絶対名誉挽回すると決意した

「名誉挽回」は名詞なので、「する」をつけて使うのも一般的です。「名誉や信頼を回復する」という意味で、「名誉挽回する」といいます。

  • 「名誉挽回」の使い方と例文

    「汚名返上」と「名誉挽回」を適切に使い分けましょう

「汚名返上」「名誉挽回」の類義語

「汚名返上」「名誉挽回」は人間関係を表すときによく使われる言葉とあって、類義語も多いです。代表的な類義語を見ていきましょう。

「名誉を取り戻すために仕返しする」ことを意味する類義語

「汚名返上」「名誉挽回」などには、「名誉を取り戻すために仕返しする」という意味が含まれており、下記のような言葉が類義語に当たります。

雪辱 競技などで負けた相手を破って名誉を取り戻すこと
臥薪嘗胆(がしんしょうたん) 復讐を心に誓って努力すること
リベンジ 復讐すること

シーンによって適した表現が異なりますので、うまく使い分けましょう。

「名誉や信頼を取り戻す」ことを意味する類義語

「汚名返上」「名誉挽回」は「失った名誉や信頼を取り戻す」という意味で使われることもあり、下記のような表現が類義語となります。

名誉回復 一度失った名誉を取り戻すこと
汚名を雪(すす)ぐ 新たな名誉を手に入れて、恥や汚名を取り消す
面目を一新する これまでの低い評価を変えさせる

上記のようにさまざまな言葉で言い換えできますので、語彙力を増やすためにも覚えておきましょう。

  • 「汚名返上」「名誉挽回」の類義語

    「汚名返上」「名誉挽回」の類義語は多いです

「汚名返上」「名誉挽回」の英語表現

「汚名返上」「名誉挽回」などに直接あてはまる英単語はありませんが、該当する英語表現はいくつかあります。代表例をご紹介します。

clear one's name

「汚名返上」の英語表現に、「clear one's name」があります。直訳すると「名前をきれいにする」で、汚名をきれいにする意味となり、「汚名返上」と同義として使える言葉です。

clear one's honor

「clear one's honor」は、「名誉」を意味する「honor」と「きれいにする」という意味を持つ「clear」を組み合わせた表現。直訳するとその人の名誉をきれいにするという意味になり「汚名返上」や「名誉挽回」などと似た意味があります。

regaining one's honor

「regaining」とは動詞「regain」の名詞形で、「取り戻す」「回復する」などの意味があります。「名誉」を意味する「honor」と組み合わせて「regaining one's honor」とすることで、「名誉を取り戻す」となることから、「名誉挽回」の英語表現の一つです。

redeeming oneself

「redeeming」は動詞「redeem」の名詞形で、欠点や過失などを「補う」「埋め合わせをする」などの意味を持つ言葉です。「redeeming oneself」「redeeming one's honor」「to redeem oneself」などは、「名誉挽回」の英語表現として使えますので覚えておきましょう。

  • 「汚名返上」「名誉挽回」の英語表現

    「汚名返上」「名誉挽回」に該当する英語表現はいくつかあります

意味を理解して使いこなそう

「汚名挽回」は、似た意味を持つ「名誉挽回」と「汚名返上」が混同したといわれ、四字熟語の誤用例として用いられることが多いです。

基本的には誤った言い回しではあるものの、完全に間違いとは言えないという説もあります。しかし、誤った例とされる説が世間的には有力である点をよく覚えておきましょう。

「名誉挽回」「汚名返上」には、「なくしてしまった名誉や信頼を取り戻すこと」「名誉や信頼を取り戻すこと」などの意味があります。誤用例には「汚名挽回」のほか「名誉返上」などもありますが、意味を理解すると間違えにくいので、よく考えて使いましょう。

間違った言葉遣いが習慣になってしまうと、なかなか直せなくなってしまいますので、できるだけ早いうちに、正しい言葉遣いを身につけましょう。