レノボ・ジャパンは4月28日、テレワーク実施率を高めるために経営者が行うべき3つの決断として、提言を発表した。同社は2020年4月以降、テレワーク率を平時で約90%、緊急事態宣言期間中は97~98%を達成するなど、持続性のあるテレワークを実現している。

1つ目の提言は「幹部社員は会社に来てはいけない」だ。同社では、経営幹部が率先してリモート勤務をしているため、重要な意思決定はすべてオンライン会議で行われている。主要な会議がすべてオンラインで実施されているため、テレワーク勤務でも意思決定に参加できないといった不利がないという。

幹部への報告がオンラインでされるため、資料のペーパーレス化も進み、テレワーク中の社員への情報展開も簡単に行える。これにより出社しないと情報から取り残されるという不安、また実務上も事業所勤務の従業員とテレワーク勤務の従業員の情報格差が払拭されるとしている。

レノボの社内調査ではテレワークにより生産性が下がったという声は7%であり、さらに9割の社員が事業所にいないため、「上司の評価や同僚の目を気にして出社する」という必要性すらなくなり、テレワークが常態化するサイクルが回っている。

2つ目の提言は「テレワーク中の社員を監視しようとしてはいけない」だ。テレワークを推進する上で、社員の勤務実態を把握しようと、さまざまな監視ツールやレポートツールが提案されている。しかし、同社では従業員を信頼する性善説に立った仕組みづくりが重要である、という学びを過去5年以上にわたる実践から体得しており、結果としてこうしたツールは導入していないという。

3つ目の提言は「勤務時間中の雑談チャット、気分転換を奨励する」だ。事業所勤務の中で行われている立ち話や雑談が自然な情報共有になり、社員同士の絆も強めている。テレワーク中はこうしたちょっとしたコミュニケーションがとりにくくなることから、レノボではチャットツールの活用を奨励している。

また、同社では就業時間内であっても、気分転換の運動や短時間の外出などは社員の裁量に任されている。一見モラル低下や業務効率の低下につながるように思われるが、こうした取り組みもあって、「テレワークによりワークライフバランスが改善された」と回答した社員が78%に上っているという。