京浜急行電鉄が1000形新造車両(1891-1号編成)の報道関係者向け撮影会を実施。座席指定列車や貸切イベント列車に対応すべく、車内設備を一新した車両が公開された。当日配布された資料や撮影した写真などをもとに、1000形新造車両について紹介する。

  • 1000形新造車両(1891-1号編成)の報道関係者向け撮影会は京急蒲田駅2番線ホームにて行われた

1000形新造車両は4両編成(2M2T / Muc2-Tuv2-Tpsv2-Msc2)を2本、計8両を導入。京急蒲田駅で行われた報道関係者向け撮影会では、車両番号「1891-1」「1891-2」「1891-3」「1891-4」の編成が公開された。総合車両製作所が手がけた「sustina」ブランドの次世代ステンレス車両で、赤色・白色の全面塗装を採用。配布されたパンフレットの主要諸元表によれば、1両あたりの最大寸法は長さ18,000mm×幅2,836.2mm、シングルアームのパンタグラフを2台設置した3号車は高さ4,045mm、他3両は高さ4,016.5mmだという。

自重は先頭車の1・4号車がともに34.5トン、中間車の2号車が30.5トン、3号車が33.0トン。最高速度は130km/h、加速度は0.97m/s2、減速度は1.11m/s2(常用)・1.25m/s2(非常)。ブレーキ装置は「応荷重装置付回生ブレーキ併用全電気指令式電磁直通ブレーキ(保安ブレーキ付)」、台車は「空気ばね車体直結式 円筒案内支持方式 踏面片押ダイヤフラム式ブレーキ」、連結装置は「先頭 : 廻り子式密着連結器(空気電気自動解放方式) 中間 : 棒状連結器 ゴム緩衝器 : 初圧0tタイプ」とのこと。

定員は1・4号車が各101名、2号車が107名、3号車が111名。4両合計で420名となる。平常時はロングシート、座席指定時はクロスシートに切替可能な自動回転式シート(L/C腰掛)を採用し、1人あたりの座席幅を460mmに拡幅した。クロスシートでの使用時、肘掛の後方にあるレバーを引いて回転させることで、4人掛けでの使用も可能となっている。全座席にコンセントを設置したほか、座席の背面にドリンクホルダーも用意した。乗務員室後方に前面展望席(クロスシート4席)を設け、迫力ある前面展望を楽しめるようにしている。

  • クロスシートからロングシートへの切替えを実演。1分ほどで完了する

乗降ドアは幅1,300mm×高さ1,850mmの両開きで片側3カ所。ドア先端部の黄色表示に加え、ドア開閉チャイム・表示灯の設置により、開閉時の動きをわかりやすくしている。戸閉装置は「単気筒複式Vベルト方式 再開閉装置・戸閉保安装置・戸閉半減付・戸閉力弱め機能付」「戸閉スイッチ : 有接点式」。ドア上部には、17インチLCDモニターの車内情報装置「トレインビジョン」をはじめ、車内防犯カメラを各車両3台ずつ設けた。非常時に乗務員と通話可能な非常通報器も設置している。

車外の種別・行先表示器にフルカラーLEDを採用したほか、車内の照明装置もLED化。外気導入空調により、冬季の暖房と換気を両立し、安心・快適な車内環境を提供する。京急電鉄初の設備として、2号車にバリアフリー対応の洋式トイレ、3号車に洋式トイレを設置し、長時間の乗車でも安心・快適な利用が可能に。車いす・ベビーカー利用者や大きな荷物を持った乗客が利用できるフリースペースを2・3号車、車いすスペースを1・4号車に設置した。

主電動機は「全閉外扇方式三相かご形誘導電動機」「出力 : 190kWh」、駆動装置は「平行カルダン可撓板継手(TD継手)方式」「歯車比 83/14=5.93」、蓄電池は「焼結式ニッケルカドミウムアルカリ蓄電池 100V(60Ah) 24V(30Ah)」とされ、いずれも1・4号車に搭載。制御装置は「VVVFインバーター制御(1C4M)」とされ、2・3号車に搭載されている。2号車にはピストン式オイルフリーの電動空気圧縮機が2台搭載され、3号車の補助電源装置は「3レベル待機2重系SIV 260kVA 440V」とのこと。その他、ATS装置は「C-ATS方式」、列車無線装置は「空間波狭帯域デジタル通信方式 大地帰路誘導無線方式(前後車両選択受信方式)」、放送装置は「各車別自動音量調整方式 簡易自動放送付 車内スピーカー6台/両 車外スピーカー4台/両」とされた。

1000形新造車両は5月6日から、平日朝の「モーニング・ウィング3号」(三浦海岸駅6時9分発・品川駅7時28分着)で運行開始する予定。これに先立ち、4月17日に品川駅で展示会、4月24・29日に品川~京急久里浜間で試乗会を開催する。4月25日には、京急蒲田駅の改札外特設ブースで記念乗車券の発売(売切れ次第終了)も予定されている。

  • 1000形新造車両(1891-1号編成)の車内

  • 1000形新造車両(1891-1)の運転台

  • 1000形新造車両(1891-4)の運転台

  • 1000形新造車両(1891-1号編成)の外観