SDGsへの関心の高まりとともに、「エシカル消費」と言う言葉を耳にする機会が増えていないだろうか? 「エシカル消費(倫理的消費)」とは、『人や社会、地球環境、地域のことを考慮してつくられたモノ』を購入・消費するという意味で、フェアトレードやオーガニック、地産地消やリサイクルなど様々な消費の形がある。

この「エシカル消費」、実際に何を買えばエシカル消費につながるのかわからなかったり、一見難しい印象を受けるかもしれない。しかし、実は購入するものの背景を知ることから始められる"身近にできるSDGs"の行動だという。

今回、ワインを手掛けるメルシャンが、フードシェアリングサービス「産直tabeloop」とともに実施した"身近にできるSDGs"「オーガニックワイン オンラインセミナー」の様子をレポートする。

ワインの造り手の『想い』を正しく伝えたい

オンラインセミナーにはメルシャン マーケティング部 ブランドグループ 仁保麗氏とバリュードライバーズ 代表取締役 佐治祐二郎氏が登壇、両社の取り組みや、オーガニックワインと食材の楽しみ方を紹介した。

  • 左・バリュードライバーズ 代表取締役 佐治祐二郎氏、右・メルシャン マーケティング部 ブランドグループ 仁保麗氏

そもそも「オーガニックワイン」とはどのようなワインを指すのだろうか。

メルシャンの仁保氏によると、科学的な農薬や肥料・除草剤を使わず、自然な肥料を使用した有機栽培のブドウから造られ、かつ国際有機農業運動連盟(IFOAM)の基準に則り、認証機関の審査で承認を得たワインだという。オーガニックワイン市場は日本・世界ともにワイン内の構成比が伸長しており、フランスでは2023年に消費されるワインのうち、5本に1本はオーガニックワインになると予測されている。

注目が高まるオーガニックワインだが、メルシャンでは2021年の販売数量目標を前年比2倍と掲げ、オーガニックワイン市場の拡大を目指す。「メルシャンでは、オーガニックワインをお客様に届けるうえで、ワインの造り手の『想い』を正しく伝えることを大切にしています」と仁保氏は思いを語る。

メルシャンで取り扱うオーガニックワインのひとつが、フランス南部・ルーシヨン地方の「ドメーヌ・カズ」だ。1997年からオーガニック・ビオディナミ農法(自然な環境で土壌と植物を保全し、価値を与える取り組みから設立した農法)を実践しており、世界中の三ツ星レストランやトップソムリエも厚い信頼を寄せるワイナリーだという。

  • 左から、ドメーヌ・カズが手掛ける「カノン・デュ・マレシャル ルージュ」「カノン・デュ・マレシャル ロゼ」

ドメーヌ・カズでは「オーガニック・ビオディナミ農法によってブドウや土壌は健全な状態になり、ワインの質も向上し、その結果、次世代の人たちにとって住みよい世界をつくることにつながる」という戦略と哲学を20年以上継続しているという。

ドメーヌ・カズ 取締役社長のリオネル・ラヴァイユ氏からは「オーガニック食材はフランスはもちろん世界中で人気が高まっています。こうしたトレンドのなかで、きちんと消費者に対して説明をし、我々のブドウ作りのこだわりや環境に対する考え方を理解してもらいたいです。飲料は身近なものだからこそ、こうした背景を知って選択してもらえると嬉しいです」とメッセージも寄せられた。

何気なく飲んでいる美味しいワインでも、作られる農法や製造方法、作り手の哲学を知ることで「サステナブルな商品を選んでみよう」と考えるきっかけになるかもしれない。