サステナブルな食材とのマリアージュ

ワインと言えば、美味しい食材とのマリアージュも楽しみ方の一つ。セミナーでは、エシカル消費の例として、「産直tabeloop」で取り扱う和歌山県那智勝浦でマグロ卸を営む𦚰口水産グループの「海の生ハム」とドメーヌ・カズ「カノン・デュ・マレシャル ロゼ」のマリアージュが紹介された。

フードシェアリングサービス「tabeloop」は、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品を、必要とする方が購入できるよう様々な企業と連携して行っている。また「産直tabeloop」は2020年7月に、コロナ禍の影響を受けた生産者を応援するべくスタートした取り組みだ。

「産直tabeloop」を手掛けるバリュードライバーズの佐治氏は「私たち産直tabeloopでは、商品に対する思い入れや、困っていること、なぜ余剰品が発生するかなどを伺い、消費者に伝えています。メルシャンさんとは"生産者の想いや取り組みを消費者に伝えること"という共通点があります」と語る。今回のセミナーも、この共通の想いがきっかけで実現したという。

天然のカジキマグロから作られた「海の生ハム」も「産直tabeloop」で扱う商品のひとつだ。大型船で網を使ってマグロの群れを一網打尽にする漁法では、産卵前や幼魚まで獲ってしまったり、マグロを傷つけて品質が落ちるといった課題があるという。生産者の脇口水産は、生態系に広く影響を与える方法や違法な漁業や獲られたマグロを調達せず、サステナブルな事業運営を行っている。

クラッカーに海の生ハムとクリームチーズ、ドライフルーツを載せた「海の生ハムとチーズのカナッペ」と、繊細でいきいきとした果実の香りと軽快な口当たりが特徴の「カノン・デュ・マレシャル ロゼ」のマリアージュに、「ワインと合わせることで、海の生ハムの美味しさがより感じられますね」と佐治氏。「ワインも海の生ハムも社会的にも環境的にも貢献できるものだと思うと、味だけでなく心も満たされるように感じます」と仁保氏。

"エシカル消費"というと難しく感じるかもしれないが、佐治氏は「それぞれの商品がどう作られたかの背景を知るところから始めてほしいですね。マグロならどう獲られたのか、乱獲されたものは食べないなど、知ることが行動につながります」と語る。

知ることのきっかけとして、メルシャンはただワインを提供するのではなく、ストーリーも伝えていきたいと仁保氏。「ドメーヌ・カズでは、ワインの品質や製造にかかわる人の健康のためにとオーガニックワイン造りに大きく方針を変更したそうです。生産者として正しいことは何なのか、こだわって決断したという話を聞きました。人の心を知ると、愛着がわきますし、私たちが生産者の想いや背景を伝えていきたいと考えています」

「もちろん、エシカルなものだけを買う! と制限するのは大変です。背景を理解したうえで、自分が持続できる範囲で気軽に始めてほしいですね」と佐治氏は締めくくった。

なお、メルシャンとtabeloopでは、オーガニックワインと産直食材を楽しめるコラボキャンペーンを5月9日まで実施している。キリンの公式サイトからの応募で、オーガニックワイン(「カノン・デュ・マレシャル ルージュ」750ml瓶)と産直tabeloopのクーポン1,000円分が100名に当たるという。

普段飲んでいるワインや、食べるものの由来を知ることでより身近になる「エシカル消費」。今度の休日は、気になるオーガニックワインと生産者の想いが見える食材でマリアージュを楽しんでみてはいかがだろうか。