髪の毛を切るだけでなく、仲の良い美容師さんとのお喋りが楽しみで美容院に行く、という人も多いのでは。聴覚に障害があり耳が聞こえないミカヅキユミさん(@mikazuki_yumi)が、「美容院で“初めて”サービスを受けた」と感じたという数年前の出来事を漫画化、ツイッターに投稿していました。
「大抵、どこの美容院でもなりたいイメージや希望の髪型など最初に筆談でヒアリングしてくれます」いつものように希望を伝えたミカヅキさんでしたが、今回担当してくれたムラタさんは何かが違いました。
「いいんですか? 私もおしゃべりを楽しんでいいんですか? 他のお客さんと同じように」以前の美容師さんではなかなか実現しなかった、髪の毛を切りながらの筆談をしてくれたムラタさん……まさに“神対応”です。
今は引っ越してしまい、ムラタさんに髪の毛を切ってもらう機会はなくなったそう。しかし未だにムラタさんを思い出してしまうミカヅキさんなのでした。
なんという素敵すぎる配慮と人柄。ムラタさん、カッコよすぎます……。この投稿に、「理容師ですが、これからは耳の遠いお年寄りにも筆談で『会話』しようと改めて思いました」「私自身も、美容師です。とてもステキな美容師さんですね」と同業者の皆さんや、「私も長く接客業をしてますが、ムラタさんのように自然にお客さんに寄り添える、そんな仕事ができるように努力していきます」「私も接客業です。今日からわたしもムラタさんになる……!!」と畑は違えど接客業の皆さんからの感動した旨のコメントが寄せられていました。
ツイ主さんに聞いてみた
――「初めての"サービス"」というタイトルがとっても印象的です。ムラタさんのサービスを受けたときの気持ちについて教えてください
ミカヅキユミさん:トークをして下さった美容師さんは初めてでしたので、びっくりしました。そして大変うれしく思いました。大抵どこの美容師さんもカウンセリング止まりなので、なおさらいい意味での衝撃を受けました。
―― ムラタさんにはその後も2年ほど、髪を切ってもらったんですね。とっても素敵な方だと思いました
ミカヅキユミさん:ムラタさんはラーメンが大好きで、どこどこのラーメンが美味しいよとかそんな話をしたり、また私が「ムラタさんは将来自分のお店を出したい?」と聞いたら「出したいですねぇ! お店出すのは美容師の夢なので」みたいな、夢についての話も筆談でしてくれました。
―― もしかしたら、今はどこかでお店を出されているかもしれませんね……。今回のツイートが、同じく接客業の皆さんをはじめ、多くの人から反響を呼んでいます
ミカヅキユミさん:私はいわゆるマイノリティで、聴こえる人が当たり前のように受けることのできるサービス、当たり前のように過ごせる時間が手に入らないといった現状があります。
ですが、私の「生きづらさ」に気づいてくれる人の存在、そして「気づき」から「行動」にうつしてくれる人の存在があって初めて、私は聴こえる人と同様にサービスを受けたり、満足のいく時間を過ごすことができる、そんなケースもあるということ、これが当たり前である社会になってほしいなと心から願っています。同時に、当たり前であることのありがたみを忘れないこと、うれしいと感じたら感謝の気持ちを伝えることを忘れずにいたいなと思いました。
―― まずは気づき、そして行動に移すことが大切ですね
ミカヅキユミさん:私の漫画をご覧下さった方たちの「気づき」に繋がることができれば幸いです。
耳が聴こえない私が美容室で受けた、初めての"サービス"【1/3】
— ミカヅキユミ (@mikazuki_yumi) April 5, 2021
過去記事です。髪がジャングル化してきたのでそろそろ美容院に行きたいぞい。#聴覚障害 pic.twitter.com/X7dVyo7x62