従業員を評価するよりも、従業員と向き合う

ノルマや売上目標がないとなると、従業員の評価はどうやっているのだろう?

「結局、評価は納得感」というのが戸田氏の答えだ。「文面化されていたり、合理的だったりするかよりも、スタッフ間のコミュニケーションがちゃんとできているか、自分は認めてもらっているか、貢献できているかという一体感こそが大事」だという。評価制度はなく、管理職が部下と向き合い、本人が成長できているかを見て、それを代表や管理職同士で共有しているそうだ。

とはいえ、以前は売上目標、レスポンス目標のようなものはあった。しかし、「それを追いかけようとすると、どうしても成功するための施策が増える。そうなると疲弊してしまう」。何のために働いているのかという根源の問いに対し、同社が出した答えは「売上規模よりも幸福度のほうが大事」だった。そこで、売上高100億円を目指すよりも100年続く会社にしようと方針を変換したのだという。

そのため、賞与は、売上に関係なく年度計画に入れているとのこと。「残ったものを分配するという感覚ではなく、最低限絶対に渡すという覚悟」と戸田氏は代表の思いを説明した。

自分たちの取り組みの土台にあるのは「性善説」と語る戸田氏、メリットは返ってきているという体感があると語る。決裁権も少しずつ下流に渡しているという。「決裁権をもった方が責任を持ってやる。市場のフィードバックを真摯に受け止め、勝手に変わってくれる」と戸田氏はいう。「決裁権を手放すことは、組織の健全化に大切と体感しています」。

疑うと疲弊する、だから信じる

ていねい通販ではコロナの今後の動向に関係なくわくワークを進めるほか、年に1度5日連続の特別休暇を取得できる「ワクワクバケーション」も利用できるようにする。将来のオフィスのあり方についても考えているという。「コロナが収束しても、前のようには戻らない」と戸田氏。

同時に、リモートワークなど働き方の変化が一部の社員には健康によくない影響を与える可能性も懸念している。「出社することで歩く時間が増えるかもしれない。会社の判断が健康にとってはよくない影響を与えかねないという仮説をもとに、取り組みを考えないといけないと思っています」と戸田氏。

わくワークでは午後10時以降は申請なしには働けないなどの配慮をしているがまだ不十分と感じており、産業医などの専門家にもアドバイスをもらっているという。オンラインでは、定例のZoomによるWeb会議に加えて、週に1度雑談を始めたそうだ。

「疑い始めると疲弊します。信じることが大切だと実感しています」と戸田氏、「優しくすると本当に返ってくるという体感が持てました」と語った。