韓国の半導体用フォトレジストメーカーDongjin Semichem(東進セミコム)が、EUVリソグラフィ用レジストの開発を加速させていると韓国の電子産業メディアetnewsが報じている

EUVレジストは、経済産業省が韓国向け輸出管理の厳格化した3品目の1つで、現在は韓国企業による世界市場のシェア9割を握る日本企業からの輸入も進んでいるが、韓国政府は素材・部品・装置の国産化(外国企業の韓国進出を含む)を進め、脱日本を進めようとしており、外資系の積極的な誘致なども進めている。こうした動きを受けて、東京応化工業は仁川市にあるSamsung物産との合弁フォトレジスト製造子会社にてEUVレジストの製造を進めているほか、米DuPontも、天安市にEUVレジスト量産工場の建設を進めている。

一方、地場メーカーである東進セミケムは、韓国メーカーとして初めてフォトレジストの製造を開始したことで知られる企業で、現在は液浸ArF、ドライArF、KrF、i線レジストのほか、BARC(反射防止膜)、スピンオンカーボンハードマスク、CMPスラリなどといった半導体製造向け素材の製造を行っている。報道によると同社はASMLの韓国法人ASML Koreaの前社長だったKim Young-seon氏を副会長に迎えることで、EUV向けレジストの開発を進めているという。

ベルギーimecのEUV露光装置などを活用してレジスト開発を行っているとするほか、韓国の半導体メーカーとの協業も行っており、韓国の半導体業界関係者によると「独自開発のEUVフォトレジストのサンプルは回路パターンを形成可能なレベルに達しており、信頼性の改善など残された開発項目に取り組んでいる」という。

なお、東進セミケムのほか、韓SKグループの素材メーカーSK Materialsの子会社SK Materials PerformanceもEUVレジストを開発している模様だが、こちらの詳細については現在のところまったく公表されていない。

経済産業省の輸出管理厳格化に端を発し、韓国では厳格化の対象となった3品目のみならず、ほかの素材や部品、装置の国内での製造を促進する様相となっており、一部の日本企業は、日本に留まっていては市場を失いかねない状況になっている。また、一部では製造部門のみならず、韓国の大口顧客との協業に向け、開発部門も韓国に設置するといった動きをする日本企業も出てきており、日本国内の製造業の空洞化が進むことが心配される状況にもなってきたといえる。