■昨年の夏にICLの手術をして、よりパワー全開

――それも経験を積むことによって、見出してきたことですか?

そうですね。昔は全然余裕がなくて。周りを見たりできていませんでした。あと、単純に目が悪くて見えていなかったのもあります。特に芝居中はコンタクトを外して、見えない状態でお芝居をしていました。それが、去年の夏くらいに、ICL(眼内コンタクトレンズ)の手術をして、すごく見えるようになったんです。見えない方が芝居しやすいと思って10年間やってきましたが、見えた方が間違いなく楽だと知りました。(笑)。

――見え過ぎて疲れませんか?

全然疲れないです。大河ドラマの撮影の途中に手術したので、視界の悪い大河も、すごく見えている状態での大河も、両方経験しました(笑)。以前は、カメラの向こう側の人まで見えてしまったら、集中できないんじゃないかと思っていたのですが、むしろ一緒に頑張っている感じがして、パワーが出るんです。目が見えるってすごいです。

――なぜこのタイミングに?

昔から興味はあったんです。ただ怖くて。でも、やっぱりやりたいことはやっておこうと。ちょうど同じくらいの時期に引っ越しもしました。何か行動を起こしたい時期だったのでしょうね。

■趣味の情報収集はもっぱらTwitterで

――ちなみに「行動」といえば、昨年はInstagramも始めましたよね。SNSとはどう付き合っていますか?

今まで自分のコンテンツを持っていなかったので、ファンの方との交流の場になればいいなと思って始めました。でも、どうやって活用していいのか、まだ分かってません。もっと素敵な活用法があるんじゃないかなと思って模索中です。

――では今は発信より、情報を見たり集めたりするツールとして使っている感じですか?

それはもうお世話になりっぱなしです。ニュースも何もかも、情報収集はTwitterです。私が大好きな釣りとか、キノコとかって、情報戦なんです。今年はここの太刀魚がとか、富山でこのキノコが出たとか。そうした趣味仲間がTwitterを使っているので、わたしも使っています。

――すごく謳歌している感じが伝わってきて、プライベートの充実が女優としてのお仕事にも反映されていきそうで、これからの活躍も楽しみです。最後に主演作公開へのメッセージをお願いします。

生まれた環境だったり、こういう自分でいなきゃいけないとか、こう生きていくべきなのだと、自らを囲ってしまった人たちがたくさん出てくる物語です。もう少し自分をいい意味で諦めたり許してあげたり、そうした勇気を持ったり、人との出会いを重ねることで、もっといい自分が見つけられる、そう思える映画になっていたらいいなと思っています。

■プロフィール
門脇麦
1992年8月10日ニューヨーク生まれ、東京育ち。幼少期よりバレリーナを目指し、クラシックバレエに勤しむが、その後、芸能界へ。2011年に女優デビューを果たし、翌年公開された映画『愛の渦』での果敢な演技により、多くの賞を獲得。16年、『二重生活』で映画単独初主演。近年は『止められるか、俺たちを』(18)で第61回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。また『さよならくちびる』(19)で第41回ヨコハマ映画祭主演女優賞を受賞。第59作大河ドラマ『麒麟がくる』ではヒロインを務めた。今後は、主演舞台『パンドラの鐘』が、4月14日~5月4日、東京芸術劇場シアターイーストで上演予定。