「イニシャルコスト」や「ランニングコスト」は、コストに関わる単語であるため、ビジネスシーンで頻繁に用いられます。これらの言葉の意味を理解できていない場合、クライアントとの打ち合わせの場で恥をかいてしまうかも……。
そこで、本記事ではこれらの言葉の意味や違いについて解説します。言葉の理解を深め、ビジネスシーンで正しく使えるようにしましょう。
「イニシャルコスト」の意味
イニシャルコストとは「初期投資」や「初期費用」を意味する言葉で、主に設備やシステムを導入する際に、“最初にかかるコスト”を指す際に用いられます。
たとえば、オフィスにパソコンを導入する場合には、以下の費用がイニシャルコストになります。
- パソコンの購入代金
- セットアップ費用
- プロバイダ契約費用
- ケーブルなどの周辺機器の購入費用
もちろん、プロバイダ契約費用などが新規で発生しないような場合には、それはイニシャルコストには含まれません。
なお、イニシャルコストは導入時にかかる一時的な費用のみを意味するため、実際にパソコンを使い始めた際の「プロバイダの月額使用料」などの継続的に必要となるコストは含まれません。
「イニシャルコスト」を用いた例文
- イニシャルコストが高すぎるため、予算的に導入は難しい
- イニシャルコストについては理解したので、ランニングコストの見積もりも提出してほしい
「イニシャルコスト」と「ランニングコスト」の違い
イニシャルコストと対比して使われるのが「ランニングコスト」です。ランニングコストとは、「維持費」や「運用費」を意味する言葉で、主に導入した設備やシステムを継続して運用するために発生する費用を指す際に用いられます。
つまり、イニシャルコストは「導入時のみにかかる初期費用」を、ランニングコストは「導入後に継続してかかる運用費用」を指しているという違いがあるのです。
ビジネスシーンにおけるイニシャルコストの費用例
イニシャルコストは「初期費用」であるため、購入費などが主になります。
<イニシャルコストの例>
- コピー機やパソコンなどの購入費
- 社用車の購入費
- 社員用のウォーターサーバーの購入
- ネット回線の工事費
ビジネスシーンにおけるランニングコストの費用例
ランニングコストは「維持費」であるため、継続して払い続ける費用が主になります。定額制でのサービス利用やオフィスの水道光熱費などもランニングコストです。
<ランニングコストの例>
- プリンター・コピー機のインク代、電気代
- パソコンのレンタル費用
- 社用車のガソリン代、車検代
- ウォーターサーバーのボトル代
- ネット回線の月額使用料
「イニシャルコスト」の類語・言い換え表現
イニシャルコストの類語・言い換え表現を紹介します。
初期費用・初期コスト
イニシャルコストをそのまま日本語訳した言葉が「初期費用(初期コスト)」です。イニシャルコストのことを初期費用に言い換えても違和感なく使えます。また、初期コストは、初期費用の後ろ半分を英語に置き換えた言葉ですので、初期費用と同じく、イニシャルコストと置き換えて使えます。
導入費
新しいシステムを導入する際の導入費というと、イニシャルコストだけでなく、運用開始後のランニングコストも含まれることがあります。
たとえば「そのシステムの導入費用はどのくらいですか」という質問は、イニシャルコストだけのことを指していることもあれば、ランニングコストも含んでいる場合もあります。
どちらを意味しているか判断できないときには、「導入費は、初期費用(イニシャルコスト)として○○円がかかり、運用開始後の保守・運用費(ランニングコスト)として年間○○円がかかります」というような回答をするとよいでしょう。
「イニシャルコスト」の英語表現
イニシャルコストを英語にすると「initial cost」となり、日本語の初期費用をそのまま英語にしたものです。
<例文>
- The initial cost is rather expensive, but the total cost is value for money.
初期費用は多少高めですが、トータルコストはお得です。
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ビジネスにおいては、よいものやサービスを提供するだけでなく、常にコストを意識することが重要です。イニシャルコストとランニングコストの違いを理解し、トータルコストを意識することは、中長期的な視野の獲得につながることでしょう。
イニシャルコストについて正しく理解し、ビジネスの場で使いこなせるようになりましょう。