『仮面ライダーゼロワン』の主人公・飛電或人役で一躍注目を集め、『先生を消す方程式。』では二面性のある狂気に満ちた生徒役を熱演した俳優の高橋文哉。きょう4日に最終回を迎えるドラマ特区『夢中さ、きみに。』(MBS 毎週木曜24:59~ほか)でも、不気味なオーラをまとって人を寄せ付けないようにしている男子高校生・二階堂明という難しい役どころを見事に演じている。演技力が求められるチャレンジングな役が続いているが、高橋の起用理由や俳優としての魅力について松本桂子プロデューサーに聞いた。

  • 『夢中さ、きみに。』二階堂明役の高橋文哉

和山やま氏による話題作を原作とするこのドラマは、ユニーク過ぎる男子高校生・林美良と二階堂明を中心に展開する、男子高校生たちの少し不思議な日常を描く青春群像劇。無駄な行為を楽しんでいるミステリアスな魅力の男子高校生・林役をなにわ男子の大西流星が演じ、“逆・高校デビュー”を果たした二階堂明役を高橋文哉が演じている。

高橋演じる二階堂は、モテすぎた中学校時代に起きた事件をきっかけに、平穏な日常を求めて“逆・高校デビュー”。学園中から気味悪がられているという役どころで、『先生を消す方程式。』に続き、“普通”ではない演技が求められる役を任された。

松本氏は「二階堂は、イケメンでありながらそのオーラを完全に封印して、陰キャラに徹するという難しい役どころ。そんな二階堂を演じられるのは、この世代では高橋さんしかいないと思いました」と起用理由を説明。「ヒーロー役からサイコパスなヒールまで、幅広く演じられる高橋さんに二階堂を演じていただけたら、原作で表現されている逆高校デビューギャップを再現し、二階堂をより魅力的なキャラクターにしていただけると思い、オファーさせていただきました」と、演技力を高く評価している。

現場で高橋の演技を見て、改めて魅力を感じたという松本氏。「自分の世界を守るために敢えて嫌われるための、眼鏡をかけている二階堂と、眼鏡をはずしたときのギャップがすごい。陽と陰の演技を、眼鏡をかけるか、かけないかのスイッチで、ガラッと印象を変えることができるのが、とても魅力的だと思いました」と語った。

また、インタビューで高橋が役作りについて語っていた時のことが印象に残っていると言い、「高橋さんは、キャラクターの本質となるものとを一つに心に留めて、現場にはその気持ちだけを持ち、あとは空っぽで立ち向かうとおっしゃっていました。その中で、『作品の中で役を生きる』ということへのアプローチを、ディテールから紡いでいる印象があります。特に二階堂に関しては、『姿勢』をポイントとして、スイッチのオンオフをされていました」と明かした。

長い前髪にメガネ、制服のブレザーをインという奇妙な格好で、気味悪がられている二階堂。このビジュアルに関して、松本氏は「高橋さんご本人がとてもかっこいいので、原作のような、顔に縦線が描かれるホラー感を再現することが難しく、監督との話し合いを重ねました。原作で表現されている入学式の回想で、二階堂は制服をズボンにインしていたのがインパクトあったので、普段から二階堂はそうしようという話になりました」と説明した。

さらに、「映像的にも林編は日常的な黄色味のある色、二階堂編には青色のホラー感のある色味。二本立てを、カメラテストを重ね、色味の違う世界観で表現しました」と、色味にもこだわって表現したことを明かした。

(C)「夢中さ、きみに。」製作委員会・MBS