「いぬのおまわりさん 困ってしまってワンワンワワーン」と誰もが一度は歌ったことがある童謡だろう。この「いぬのおまわりさん」を2歳の少女が歌う動画が国内外で話題を呼び、YouTubeでは約1,144万回再生(1月29日現在)と、人気アーティストにも匹敵する再生数を誇っている。
小さな歌姫の正体
話題の歌姫の正体は、村方乃々佳(むらかた ののか)ちゃん2歳。「いぬのおまわりさん」を歌い、童謡こどもの歌コンクールで銀賞に選ばれた動画がかわいすぎると反響を呼んだ。
大きなピアノを前にちょこんと立つ乃々佳ちゃん。ピアノ伴奏が始まると元気いっぱいの歌声で高らかに歌い出した。しっかりとした発音に、「ワンワンワワーン」といぬのおまわりさんが困る部分では声の強弱を付けながら手を動かし全身で表現している。
2歳といえば言葉が増え始め、たどたどしい会話がなんとかできるようになる頃。イヤイヤ期に入る子も多い時期に、泣くこともなくステージで堂々と歌を披露する姿は驚きだ。乃々佳ちゃんのお父さんとお母さんに話を聞いてみた。
独り言まで歌になる乃々佳ちゃん
乃々佳ちゃんはテアトルアカデミーに所属し、現在はYouTube「ののちゃんねる」やInstagram、TikTokで歌う様子を投稿している。「いぬのおまわりさん」以外にも、「大きな栗の木の下で」や「それが大事」(大事MANブラザーズバンド)に挑戦。どの曲も元気いっぱいに歌いあげている。
普段はお調子者で、抱っこが大好きな甘えん坊だという乃々佳ちゃん。「歌は本当に大好きで、独り言までメロディーが付いて歌になっています」と、根っからの歌好きのようだ。
なぜこんなにも上手に歌が歌えるのか、その理由は生まれて間も無い頃から歌を歌い聞かせて育ったことにあるかもしれない。「赤ちゃんの頃は音に合わせて体を揺らしていたのが、語尾だけ歌うようになり、言葉を話し歌詞の意味が理解できるようになると、歌詞をイメージしながら歌えるようになってきました」。音に触れながら育ち、だんだんと歌を歌えるようになっていったという。
気まぐれな乃々佳ちゃん。好きな歌はその日によって違い、今は「どんぐりころころ」がお気に入りだそう。
国を越えて愛される歌声
乃々佳ちゃんの歌声はインターネットを通じて世界に発信された。特に韓国で大きな話題となり、公共放送のMBCで紹介された他、ファンアート(ファンが作成したイラストなどの創作物)も多く投稿されている。
この反響を受け、YouTube「ののちゃんねる」に韓国の童謡「3匹のくま」を歌う動画をアップしたところ、約1.2万件のコメントが付いた。そのほとんどが韓国からのもので、「小さくて愛おしい」「立派に歌えている」といった称賛の声や「ののかは私のビタミン」「毎日見たい」と乃々佳ちゃんのファンになった人からのコメントも集まる。
いぬのおまわりさんの一つの動画から、世界から反響があった乃々佳ちゃん。お父さんとお母さんは、「たくさんのファンアートがとても嬉しかったです。どれもかわいくて、乃々佳のことを思いながら描いてくださったのが分かります。歌が国境を越え、韓国の方々にも歌が届いたのなら本当に嬉しいことです。韓国の方々からのあたたかいメッセージに対して、日本の方が『架け橋になってくれてありがとう』『見ていて優しい気持ちになる』とコメントしてくださっていたことが、心が一つになったようで嬉しかったです」と、驚きながらも人の優しさを感じていたようだ。
まだ2歳の乃々佳ちゃん。たくさんの可能性を秘めた彼女にはどんな未来がまっているのだろう。今後については、「歌うことはもちろん、他にも色々な可能性を見てみたいです。色々な場所に行って、たくさんの景色を見て、様々な人と関わり合って、乃々佳と過ごす時間を大切にしていきたいです」とのこと。健やかに育ってくれることを願うばかりだ。
いつか子どもから大人まで歌えるような歌を、みんなで合唱してみたいという乃々佳ちゃんファミリー。コロナ禍で人とのふれあいが難しい今、彼女のまっすぐな歌声は人々に明るい気持ちを届けてくれるだろう。