通算137局目の対戦。これまでの成績は羽生九段の78勝、森内九段の58勝

久しぶりに将棋界のゴールデンカードが実現です。第92期ヒューリック杯棋聖戦(主催:産経新聞社)の二次予選決勝、▲羽生善治九段-△森内俊之九段戦が1月28日に東京・将棋会館で行われています。タイトル獲得99期、十九世名人の羽生九段と、タイトル獲得12期、十八世名人の森内九段による同い年の永世名人対決です。

両者はこれまで136局対戦しています。これは同一対戦カード記録第7位です。成績は羽生九段が78勝、森内九段が58勝となっています。

初対戦は1988年1月の第4回天王戦四段戦でした。結果は111手で羽生四段(当時)の勝利。羽生九段はその後も勝ち上がり、優勝を果たしました。

タイトル戦では以下の通り16度相まみえ、両者8回ずつシリーズを制しています(肩書は全て当時のもの)。

96年第54期名人戦七番勝負
○○○●○で羽生名人防衛

00年第25期棋王戦五番勝負
○●○○で羽生棋王防衛

03年第61期名人戦七番勝負
○○○千○で羽生竜王奪取

03年第16期竜王戦七番勝負
○○○○で森内九段奪取

04年第53期王将戦七番勝負
○千●○○●○で森内竜王奪取

04年第62期名人戦七番勝負
○○●○●○で森内竜王奪取

04年第52期王座戦五番勝負
○○●○で羽生王座防衛

05年第54期王将戦七番勝負
○○○○で羽生二冠奪取

05年第63期名人戦七番勝負
●○○○●●○で森内名人防衛

06年第31期棋王戦五番勝負
○○●○で森内名人奪取

08年第66期名人戦七番勝負
●○○○●○で羽生二冠奪取

11年第69期名人戦七番勝負
○○○●●●○で森内九段奪取

12年第70期名人戦七番勝負
○●○●○○で森内名人防衛

13年第71期名人戦七番勝負
○○●○○で森内名人防衛

14年第72期名人戦七番勝負
○○○○で羽生三冠奪取

14年第85期棋聖戦五番勝負
○○○で羽生棋聖防衛

最も多く戦ったのが名人戦で9期激突しています。第54期名人戦は森内九段のタイトル戦初登場となった番勝負でした。第65期で郷田真隆九段の挑戦を退けた森内九段は十八世名人の資格を獲得。その翌期には羽生九段が森内九段から名人を奪取し、十九世名人に。2期連続で永世名人の誕生となりました。

第69期から72期にかけては、4期連続で羽生VS森内のカードとなりました。第69期で森内九段が名人を奪取すると、翌期からは3期連続で羽生九段が挑戦者に。その間の羽生九段のA級順位戦での成績が圧巻で、順に9勝0敗、8勝1敗、8勝1敗。最強の挑戦者を2期連続で退けた森内九段でしたが、ついに第72期で名人を手放すこととなりました。そして、森内九段が第75期A級順位戦後にフリークラスに転出したため、その名人戦が森内九段にとっての最後の名人戦となったのです。

第60期から第73期までの14年間、羽生九段か森内九段が君臨していた名人位。羽生VS森内の名人戦は、春の風物詩と言っても過言ではありませんでした。

2018年5月以来、2年8カ月ぶりの対戦となった本局は振り駒の結果羽生九段が先手に。両者飛車先を突き合い、相掛かりの戦型になりました。相掛かりは両者の名人戦でもよく見られた戦型ですが、当時とは序盤から全く違う戦いとなっています。

両者が名人位を争っていた当時の相掛かりは、陣形を盛り上げていくじっくりとした戦いが主流で、矢倉に近い戦型でした。ところが現在は、飛車を中段に構え、桂を跳ねていく空中戦が主流。横歩取りに近い戦いが繰り広げられます。

本局も流行通りの空中戦になっており、月日の経過が感じられます。

持ち時間が3時間の本局は、本日の夕方ごろに終局する見込みです。勝者は決勝トーナメントへ進出します。

写真は羽生VS森内最後の名人戦となった、第72期名人戦の第1局のもの
写真は羽生VS森内最後の名人戦となった、第72期名人戦の第1局のもの