藤井二冠は公式戦6連敗中だった難敵豊島竜王に初勝利。準決勝で渡辺明名人と対戦

第14回朝日杯将棋オープン戦(主催:朝日新聞社)の本戦トーナメントが1月17日に名古屋市「名古屋国際会議場」で行われました。この日は4人の棋士が登場し、準決勝進出者1名を決めました。

10時から行われたのは、▲豊島将之竜王-△飯島栄治七段戦と▲大石直嗣七段-△藤井聡太二冠戦。それぞれ豊島竜王と藤井二冠が勝ち上がり、タイトル保持者同士の対局が午後から行われることになりました。

豊島竜王と藤井二冠は過去に6度対戦しており、豊島竜王が6連勝中。藤井二冠にとっては難敵と言える相手です。

14時からの対局は、振り駒で豊島竜王が先手になりました。戦型は両者得意の角換わりから、豊島竜王の腰掛け銀対藤井二冠の早繰り銀という形に。難解な形勢のまま両者一分将棋となって、激しい寄せ合いとなりました。

豊島竜王は角を切り、飛車を成り込んで藤井玉に迫ります。そして、5五に桂を打ち、藤井玉の退路を封鎖しました。

ここで手番を得た藤井二冠。王手で角を打ち込んで豊島玉を寄せに向かいますが、この手がAIの評判がイマイチ。形勢は豊島竜王に傾きました。しかし、ここからの継続手が豊島竜王の失着を誘います。△8六歩~△8七歩がその順。共に飛車を攻めに参加させる流石の手で、どちらも豊島玉への詰めろです。

すでに一分将棋に入っている豊島竜王は最初の△8六歩への対処は的確でしたが、△8七歩に間違えてしまいます。この歩を金で取ってしまったのが敗着となりました。金をななめに誘った効果で、2枚目の角を敵陣に打ち込むことに成功した藤井二冠。以下正確に豊島玉を寄せて、勝利を収めました。

最終盤までどちらが勝つか分からない、二転三転の大激戦になることの多い両者の対決。これまで6局はそのギリギリの勝負を豊島竜王が制してきましたが、ついに7局目で藤井二冠が勝利となりました。

4年連続で準決勝の舞台に登る藤井二冠。最初の2回は連続で優勝。昨年は準決勝で千田翔太七段に敗れました。4度目の準決勝の相手は渡辺明名人です。

藤井二冠と渡辺名人は前々期の第12回朝日杯で決勝を戦っています。その時が初対決だった対局を藤井二冠が勝利し、2連覇を達成。その後両者は昨年の第91期棋聖戦五番勝負でも激突し、藤井二冠が3勝1敗でタイトルを奪取しました。

注目の対局は2月11日に行われ、その日のうちに優勝者も決まります。決勝に進出するのは、果たしてどちらになるでしょうか。

豊島竜王との対局に臨む藤井二冠。この1時間50分後に勝利を収めることになる(提供:日本将棋連盟)
豊島竜王との対局に臨む藤井二冠。この1時間50分後に勝利を収めることになる(提供:日本将棋連盟)