「乾坤一擲」という言葉の意味と使い方、類語や英語表現について紹介します。
聞いたことのない方も多いかと思いますが、この言葉は「大きな勝負」をする時に使う言葉です。人生やビジネスにおいて、まさに当てはまる場面が出てくるかもしれません。意味などを学んで活かせるようになりましょう。
乾坤一擲の意味・読み方
乾坤一擲とは中国の故事を由来とする言葉で、「運命をかけて、大勝負をする」という意味の言葉です。読み方は「けんこんいってき」。
乾坤とは「天と地」を意味する言葉であり、広義に「成功と失敗」「サイコロの奇数と偶数」といった“対を成すもの”を指します。また、一擲とは「ひとたび投げること」の意。
乾坤一擲の由来
前漢の初代皇帝であった劉邦(りゅうほう)が項羽(こうう)と戦って勝利したことに対して、文人である韓愈(かんゆ)が評した漢詩「誰(たれ)か君主に勧めて馬首(ばしゅ)を回(めぐ)らし、真(まこと)に一擲(いってき)を成して乾坤を賭(と)せん(※)」を由来としています。
(※)補足 : 劉邦は項羽と戦った末に一度は和解したものの、帰る途中で配下に促され、和睦を破棄して大勝負を決意し、項羽を追撃して勝利した
乾坤一擲の使い方・例文
「運命をかけて、大勝負をする」という意味の乾坤一擲は、ビジネスにおいても大勝負を仕掛けるときなどに、勝負を賭ける覚悟を示す意味で使われます。
<例文>
- 当社の将来を決める乾坤一擲のプロジェクトです
- 乾坤一擲の気持ちで取り組みます
乾坤一擲の類義語
「乾坤一擲」の類義語を学んで、正しく使い分けられるようになりましょう。
当たって砕けろ
「当たって砕けろ」は、成功するか失敗するかわからないけれど、思い切って行動してみようという意味で使われます。
やってみよう、やってみたら案外上手くいくかもしれないという、困難な状況を打破しようとする決意を表しています。
一か八か
「一か八か」(いちかばちか)も、結果はわからないけれど、運を天に任せてやってみるという意味です。
サイコロを使った博打が由来です。所説ありますが、一が出るか他の目が出るかが勝負の分かれ道だというところから来ています。
一六勝負
「一六勝負」も天に運を任せた大勝負を意味します。サイコロの一が出るか六か出るかで勝負が決まる、博打を由来としています。単に博打のことを意味する場合もあります。
運任せの大胆な行動や、冒険的な行動を表します。
伸るか反るか
「伸るか反るか」(のるかそるか)は、結果はわからないが、天に運を任せてやってみるという意味です。
弓矢の矢作りに由来しており、「伸る」は矢が真っ直ぐに伸びること、「反る」は矢が後ろに曲がることを意味します。
矢を作る工程では、竹を真っ直ぐにする型に入れて乾燥させます。型から取り出した時に、真っ直ぐであれば成功、曲がっていれば使えないので捨てなければなりません。矢を作る方が、型から取り出す時、「伸るか反るか」を気にしたことに由来しています。
乾坤一擲の英語表現
乾坤一擲の英語フレーズを学んで、英語を使うビジネスシーンでも使えるようになりましょう。
英語でもさまざまな表現がありますが、代表的なものを紹介します。英語においても賭け事を意味する言語が使われているフレーズがあります。
all or nothing
「all or nothing」は、「すべてを手にするか、失うか」という簡潔なフレーズです。後のない場面で、結果を出せるか、出せなかったらおしまいだという様相を表します。近年では、クラウドファンディングにおいて「支援金が目標額を超えた場合にのみ、立案者が支援金を受け取ることができる」ことをこう表現していますね。
<例文>
- Game of the playing for all or nothing.
乾坤一擲の大勝負をする。
stake everything on
「stake everything on」は、「すべてを賭ける」と言う意味です。自分の持てるものすべてを賭けるという意味で、「stake everything one has」と表現される場合もあります。
<例文>
- We stake everything on this project.
このプロジェクトにすべてを賭ける。
乾坤一擲は大勝負の覚悟を示せる四字熟語
「乾坤一擲」は岐路に立たされた場面や、後戻りが難しい場面で使われることを紹介しました。
ビジネスや、人生において、そのような場面に立ち会うことや自らが立たされる場面もあるでしょう。意味を理解して乾坤一擲を正しく使えるようになりましょう。