しなの鉄道は、新型車両SR1系の導入に必要となる資金の一部に関して、インパクト投資を活用したブレンド・ファイナンスで募集することでミュージックセキュリティーズ社と合意したと発表した。
新型車両の導入について、しなの鉄道は長野県の推進する「脱炭素化社会づくり」にも沿った消費電力の大幅な削減とともに、沿線地域の各種取組みにも連動させることで地域経済の活性化にも寄与する「ESG投資」と位置づける。「ESG投資」は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資を指す。
しなの鉄道によれば、新型車両(SR1系)は現行の115系と比べて消費電力を約40%削減でき、2両の導入で年間約27万3,130kWhの消費電力削減につながるという。これにより、年間約160トンのCO2削減を実現でき、予定している46両すべてが新型車両となった場合、年間約3,600トン以上のCO2削減効果があるとする。
募集金額は5,000万円で、個人から3,000万円、機関投資家などの法人から2,000万円集めることをめざす。投資に対するリターンとして、CO2削減などの社会的リターンと金銭的リターンを設定。個人と法人では投資の動機が異なると想定されることから、個人に対しては投資の楽しみと体験する楽しみ、鉄道ファンにとっても楽しめるような内容、法人に対しては投資すること自体がSDGsへの貢献につながるような内容とする。
このうち個人投資家は、決済する金額のうち半分を投資、残りの半分を体験や沿線の特産品などの購入に充てる。購入分については投資後に選択できるようになっており、観光列車の食事付き乗車券と沿線の日本酒・ワインや特産品の提供、沿線温泉地の宿泊券がセットになったプラン、旧型車両115系部品取り体験とオリジナルグッズがセットになったプランなどを用意する。