JR九州は12月24日から、香椎線西戸崎~香椎間で自動列車運転装置を用いた自動運転の実証実験を開始した。在来線ATS区間での自動運転は国内初の試みだという。

  • 実証実験で使用する交流蓄電池電車819系「DENCHA」

これまで、国内における鉄道の自動運転は、レールを介して車両につねに情報を伝送するATC(自動列車制御装置)を整備した路線でのみ実用化されてきた。しかし、JR在来線の98%が地上に設置した端末からの伝送で列車を制御するATS(自動列車停止装置)区間となっており、ATC化には莫大な設備投資が必要とされる。

そこで今回、JR九州が用いているATSシステム「ATS-DK」をベースに、日本信号が開発した自動列車運転装置を用い、ATS区間での自動運転を実証実験として導入することになった。運転士が乗務した営業列車で自動運転を行い、在来線での自動運転に関する知見を蓄積する。

踏切がある区間での自動運転も、国内で初めての試みだという。実証運転では、運転士が先頭車両に乗務し、前方の異常や危険を発見すれば緊急停止操作を行うことで安全を確保する。

  • 出発式の様子

実証実験は当面続けられ、2021年度末までに運転士が乗務した状態での自動運転を香椎~宇美間に広げるほか、対象列車の拡大もめざす考え。将来的には、運転士以外の係員が乗務した形での自動運転の実現をめざす。