ビジネスでも頻出する「該当」は、何かに当てはまることを意味する単語です。該当には「当該」などまぎらわしい類語も多く、その違いや使い方を正しく理解しきれないまま使っている人もいるのではないでしょうか?

この記事では「該当」の意味や用法、また類似表現との違いや英語で表現する場合について、くわしくご紹介していきます。

  • 該当の意味と用法

    「該当」「当該」、それぞれの違いは? 意味を理解してしっかり使い分けよう

該当の意味と用法

「該当(がいとう)」は、ある条件・事例・資格などに当てはまることです。該当の「概」は枠全体にぴったり当てはまることを意味し、「当」は当てはまること自体を意味しています。

「該当」の例文

「該当」の例文をみてみましょう。

  • この飲料は特定保健用食品に該当する
  • この社員は中堅キャリア研修の対象者に該当する
  • クライアントが指摘した該当箇所を上司に報告した

この例文からもわかる通り、「該当する」「該当箇所」など、「該当+動詞・名詞」の組み合わせで使われます。「該当する」「該当しない」という文章には、必ず「何に」該当する(しない)のか、目的語を伴います。

「該当」は物事をはっきりさせたいときに使う

前述の通り、「該当」はある条件や事例、資格にあてはまるとき(もしくはあてはまらないとき)に使いますが、「該当する」「該当しない」を使うことで「YES」「NO」がはっきりします。自分の意思をはっきり伝えることができるため、明確な意思表示をしたいときに有効です。

逆に、やんわり物事を伝えたいときには「該当する(しない)」の使用は控えた方がいいでしょう。

  • 該当の意味と用法

    「該当」を使うことで、よりはっきりした意思を伝えることができます

「該当」「当該」の違いって?

漢字の順序が入れ替わった「当該」は、「該当」と混同しやすい言葉です。「該当」と「当該」のざっくりとした違いは以下の通りです。

意味 用法
該当 ある条件・事例・資格などにあてはまること 名詞、状態動詞と組み合わせて使う
当該 まさにそのもの、そのことにあてはまる 名詞と組み合わせて使う

以下、詳細を説明します。

「当該」の意味

「当該(とうがい)」は「まさにそのもの」「そのことに当てはまる」であることを意味し、「当」「該」の漢字は該当同様それぞれ「当てはまる」「ぴったり」を意味します。「該当」と漢字の順序が変わることで「当てはまっている、ぴったりと」を意味します。

「当該」の例文

当該を使った例文をみてみましょう。

  • 明日予約している店は、GO TO EATキャンペーンの当該店舗になっている
  • 当該書籍は人気で品薄状態が続いている
  • 当該案件のプレゼンは2週間後に行われる

当該は通常「当該資料」「当該案件」のように名詞の前に置かれ、代名詞のように使われます。

違いは単語の後に「する」をつけられるか

「該当」「当該」を比較すると、それぞれの意味が異なるほか、「該当」は名詞のほかに「する」などの状態動詞と組み合わせて使われるのに対し、「当該」は名詞のみと合わせて使われるという点にあります。

  • 「該当」「当該」の違いって?

    「該当」と混同しやすい「当該」。当該は名詞と組み合わせて使われます

「該当」の類語、対義語は?

「該当」にはどのような類語があるのでしょうか。類語のほか、対義語についてもみていきましょう。

「該当」の類語

「該当」の類語として、「適応」「適合」「一致」「ぴったり」などがあります。何を伝えたいのか、文章のニュアンスによって該当に近しい表現は異なります。

  • 例1 : この新しい技術に適応できる人材を若手のなかから選ぼう

「適応」は「その情況によくかなうこと」です。また「生物の形態や機能などが生活環境に適合していること」という意味もあります。

  • 例2 : それは酸素に適合した化学物質なので、燃焼を強めることができる

「適合」は「ある条件や事情にぴったり当てはまること」で、言葉の前に適合する条件を置く必要があります。

  • 例3 : 企画内容についてチームメンバーの意見は一致している。

「一致」は「ふたつ以上のものがぴったりひとつになること」「食い違いなく同じこと」です。

  • 例4 : 先方の予算と今回の見積金額はぴったり合っている。

「ぴったり」は「ふたつのものが合致していること、ひとつになること」です。

このように、「何」について合うのかによって選ぶべき言葉が変わります。

「該当」の対義語

次に「該当」の対義語となる言葉についてみていきましょう。該当の対義語は、「何かしらの条件にあてはまらない」「ぴったりあてはまらない」という意味を持つ言葉で、「矛盾」「食い違い」「あいまい」「相違」などが該当します。対義語を知っておくことで、該当の使い方や意味の理解も深まります。

  • 例: 彼の意見は矛盾している。

「矛盾」は「つじつまがあわないこと」です。

  • 例: クライアントとの交渉過程で、話の食い違いが生じている。

「食い違い」は「一致しないこと」です。

  • 例: 先方が企画に望んでいる内容が具体的でなく、あいまい

「あいまい」は「物事がはっきりしないこと」です。

  • 例: 先輩から聞いたクライアントの過去のプロジェクト内容は、同僚から聞いた話と相違点がある。

「相違」は「お互いが合わないこと」です。

  • 「該当」の類語、対義語は?

    対義語を理解することで、「該当」の理解もより深まります

「該当」は英語表現では何という? 

「該当する」ことを英語で表現することもあるでしょう。「該当」の英語表現は通訳者も悩むところで、さまざまな単語・熟語があります。

  • 例: Click this button and then open the appropriate folder.
    このボタンをクリックして、該当するファイルをひらいてください。

「appropriate」は「適切な」「ふさわしい」という意味です。なお反意語は「inappropriate」です。

  • 例: If applicable, please write the reason why you need this medicine.
    もし該当する場合は、なぜこの薬が必要なのか記入してください。

「applicable」は、「当てはまる」「該当する」という意味です。また英文書類などで頻出する「N/A」は「特になし(該当しない)」という意味で、「Not Applicable」の頭文字をとったものになります。

  • 例: Kindly pick out the relevant textbook of the shelf and take it to office tomorrow.
    棚から該当する教本を取り出して明日オフィスへ持っていってください

「relevant」は、話題に促していて 「 該当する」「関連がある」「重要である」という意味です。反意語となる「irrelevant」は、「見当違い」「ズレてる」という状態を説明する言葉です。

  • 「該当」は英語表現では何という?

    スマホなどの「アプリ」は、該当の英語表現のひとつ「applicable」の名詞形「application」が元です

「該当」と類語や英語表記を覚えてビジネスをスムーズに

ビジネスにも頻出する「該当」は、「ある条件や資格にあてはまること」です。該当には「当該」などの混同しやすい言葉や類語、英語表現も数多くありますが、「何にあてはまるのか」「どんなシーンか」などによって、選ぶべき言葉が変わってきます。

それぞれ適した場面で「該当」や類語を使い分けることができると、相手が受ける印象も変わってくるでしょう。