狂言師・野村萬斎主演、アガサ・クリスティー原作、三谷幸喜脚本のフジテレビ系スペシャルドラマ第3弾『死との約束』が、2021年に放送されることが15日、明らかになった。
『オリエント急行殺人事件』(2015年)、『黒井戸殺し』(18年)に続く今作は、38年に発表された長編小説が原作。『死海殺人事件』のタイトルで88年に映画化もされているが、日本での映像化は初めてとなる。舞台を“巡礼の道”として世界遺産にも登録されている熊野古道に、そして時代設定を昭和30年代に置き換えて三谷が執筆した。
主人公は、萬斎演じる名探偵・勝呂武尊(すぐろ・たける)。休暇中にホテルのバルコニーでくつろいでいた勝呂は「分からないのか、こうなったらもう殺すしかないんだっ」という言葉を耳にする。翌日、本堂家を支配していた一家の母が死体で発見される。病死か、殺人か、家族には誰にも動機があり、そして全員にアリバイがあった…。
他にも、勝呂が旅行先で出会う婦人代議士・上杉穂波を鈴木京香、医師・沙羅絹子を比嘉愛未、税理士・十文字幸太を坪倉由幸(我が家)、穂波に随行する編集者・飛鳥ハナを長野里美、勝呂に捜査を依頼する警察署長・川張大作を阿南健治が演じる。
三谷、キャスト、渡辺恒也プロデューサーのコメントは、以下のとおり。
■三谷幸喜
『死との約束』は、アガサ・クリスティーの隠れた傑作です。ポワロ物で、僕がいちばん好きな作品です。事件が起こるまでのワクワク感。真相が明らかになっていくドキドキ感。そしてラストのあまりに意外な犯人。今回も原作のテイストを損なわないように脚色しました。キャスティングも完璧です。極上のミステリーを堪能あれ!
■野村萬斎
今回は、トリックが前作とは全く違っていて、ある意味、ご覧の皆さんが、“裏切られる展開”かもしれません。そして、勝呂がシリーズを追うごとに、人間味を増してきている気がしています。三谷さんは、すでに『黒井戸殺し』を撮影している頃から今作の構想がおありだったようで、“次回は勝呂が淡い恋をする・・・”とおっしゃっていたんです。その通り、今回は女性に囲まれている!という、とても華やいだ心地がしております(笑)。毎回、謎解きでは長いシーン、長いセリフがありますが、監督からも、“3年に一度の苦行をしてください”と言われています(笑)。もちろん、そこが見せ場ですが、僕にとっては一番大変なところでもあります。でもその分、視聴者の皆様には存分に楽しんでいただけると思っています。熊野古道という日本有数のパワースポットが舞台になっているところも今回の見どころのひとつです。コロナ禍で、家にいる時間も多い昨今ですが、このドラマで、皆さんご一緒に熊野を旅しながら楽しんでいただければ、と願っています。
■鈴木京香
『オリエント急行殺人事件』も『黒井戸殺し』も見ていましたから、今回のお話はすごくうれしかったです。しかも、名探偵・勝呂のかつての知り合いだった女性という役。台本が待ち遠しかったです。映画『死海殺人事件』も見たのですが、エキゾチックな舞台を日本に置き換えても違和感なく、より一層面白い。三谷さんの脚本の素晴らしいところだなと思いました。そして、政治家は一度やってみたかった役でもあります。昭和30年代の女性政治家は、きっと当時では珍しく、目立つ存在だったと思うので、その役を演じられるのはとても光栄なことです。萬斎さんは、さすが動きがきれいで、セリフ回しにも品格がある、とてもチャーミングな方。三谷さんが、“ポワロに並ぶ日本の名探偵を作りたい”と、勝呂を萬斎さんに、とおっしゃるのがわかるような気がします。
■比嘉愛未
三谷さんの作品で、萬斎さんと共演できるのはなかなかないチャンスだと思い、お話をいただいた時は純粋にうれしく思いました。何と言ってもこれまでとはまた違う作品との出会いだと思い、“これは絶対やりたい!”とすぐにお返事させていただきました。シリアスに、固くなりがちなサスペンスものも、三谷さんが書かれるとどこかユーモアがあって、本当に言葉の魔術師だと思いました。沙羅という役は、その時代において自立した女性の医者という事もあり、衣装もトラディショナルなファッションで一歩先をいっている人。人懐っこい面もありますが、何より正義感を大事に演じています。
■長野里美
シリーズ第1回目の『オリエント急行殺人事件』の時にちょうど三谷さんと舞台をやっていて、“オファーしようと思ったけれど、この舞台があるからできないですね”と断念されたので、“今回はようやくできる!”と、うれしさ満開でした。“長野さんはアガサ・クリスティーの世界にすごく合う。とぼけた品の良さというか。だから夢がかなってうれしい”とのお言葉をいただいたので、それを信じて楽しく演じさせていただいています。
■阿南健治
過去に2回やっているこのシリーズに出られることになり、“ありがとう!”って感謝しかなかったですね。台本は、細かい笑いなどがいろいろなところにちりばめられていて、まさに三谷さんの世界だな、という感じで、楽しく読みました。その三谷さんからは、“加藤武さん風にお願いしますね”(金田一耕助シリーズの警察幹部)とメールをいただいて。刑事役は何回もやっているんですけれど、警察署長で現場にでているので“今までの刑事とは違うぞ”と思いつつ、“加藤さん風”を意識して・・・なかなか難しいなと思いながら楽しんで演じています。
■坪倉由幸(我が家)
映画『記憶にございません』でジャルジャルの後藤淳平君が出ていたり、芸人さんがたまに(三谷作品に)出られているとは思っていましたが、まさか僕にオファーがくるとは思っていなかったので驚きました。しかも“こんな豪華なキャストの中に僕でいいのかな?”というのが正直な感想です。今回の役は、今まで演じたことのない役柄ですので、芸人・坪倉としてあまり経験のない、ミステリアスで、男の色気みたいなものをちょっと出したいと思っています。是非ご期待ください!
■渡辺恒也プロデューサー
名探偵・勝呂武尊が3年ぶりに帰ってきます!シリーズ第3弾となる『死との約束』では、原作ではエルサレム~死海だった舞台を、昭和30年頃の熊野古道に置きかえ、クリスティ作品のテイストに、和製探偵小説の世界観がミックスしたような上質のミステリーをお届けします。勝呂が旅先で出会った、いかにも訳ありな本堂家の人々。この一家を支配していた独裁的な母親が何者かによって殺害され、ホテルで居合わせた他の客たちも巻き込みながら、勝呂の推理が始まります。野村萬斎さん演じる、少しクセのある主人公・勝呂をはじめ、三谷脚本らしい個性的なキャラクターたちの競演が見どころですが、鈴木京香さん演じる今作のヒロイン的存在・上杉穂波とのロマンスもあるかも?と、前2作とは違った勝呂の一面が見られるかも知れません。事件の真相とともに、『死との約束』というタイトルの意味も明らかになっていきます。世界最高のミステリー作家と、日本屈指の脚本家のコラボによる極上の推理劇を是非、ご堪能ください!本堂家の人々のキャストについては後日発表しますが、三谷作品でおなじみのあの方から、“この人がこの役を?!”という意外な方もいて、本当に彩り豊かなキャスティングが成功しました!続報をお待ちください!
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