東京商工リサーチは12月9日、2020年上場企業の「早期・希望退職」募集状況を発表した。同調査は、早期・希望退職者募集の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出した。

  • 主な上場企業の希望・早期退職者募集状況

    主な上場企業の希望・早期退職者募集状況

2020年12月7日時点で、早期・希望退職者を募集する上場企業は90社に達し、リーマン・ショック直後の2009年(191社)に次ぐ高水準に押し上がった。

業種別でみると、「アパレル・繊維製品」が17社(構成比18.8%)で最も多く、次いで、米中貿易摩擦と新型コロナの影響が大きい「自動車関連」(11社、同12.2%)、市況の悪化や拠点の集約を背景とした「電気機器」(10社、同11.1%)、居酒屋チェーンの運営会社を中心に感染防止で外出自粛の影響が長引く「外食」(7社、同7.7%)と続いた。

募集人数は、判明分で1万7,697人を数え、2012年通年(1万7,705人)とほぼ並び、募集社数と同様、通年では2009年に次ぐ水準となることが確実に。

募集人数が最も多かった企業は「日立金属」で1,030人(21/3期、22/3期)。次いで「レオパレス21」(1,000人)、「コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス」(900人)、「ファミリーマート」(800人、応募1,025人)、半導体子会社で2年連続の実施となった「東芝」(770人)、複数の子会社で募集を行う「シチズン時計」(750人)と続く結果に。この他、11月以降も「セガサミーホールディングス」(650人)、「三菱自動車工業」(550人)など、500人以上の募集が頻発。2019年は年間1,000人以上の大型募集は4社だったが、2020年は12月7日までに2社にとどまった。

一方、募集人数が300人以下は67社(構成比74.4%)で7割超を占め、このうち、100人以下の募集が44社(同48.8%)と約半数。中堅の上場企業の実施に加え、部門の統合や縮小を行う大企業で小規模の募集が目立った。

  • 主な上場企業の希望・早期退職者募集状況(企業別)と、2021年の募集状況

    主な上場企業の希望・早期退職者募集状況(企業別)と、2021年の募集状況

今後の見通しについては、2021年に募集を開始する上場企業はすでに9社判明しており、募集人数は1,950人にのぼる予定となっている。業種では、「自動車関連」が3社、サービス業が2社と続き、サービス業は、近畿日本ツーリスト各社の親会社であるKNT-CTホールディングス、藤田観光のいずれも観光関連となっている。