コロナの影響で残業代やボーナスが減り、お財布事情が厳しい、という方は多いかもしれません。
そんな状況でも、賢くお買い物を楽しみたいと考える人たちが使わないモノを売ったり欲しいモノを買ったりしている、リユースショップ。コロナ禍では販売・買取の状況にどのような変化が起きているのでしょうか。
KOMEHYO 新宿店 鈴木祥央 マネージャーに聞きました。
"巣ごもり断捨離"の影響で、洋服やバッグの買取が増加
――コロナで外出する機会が減っている中、お店を利用する方にはどのような変化が起きていますか?
新宿を歩いていて、ふらっと店舗に立ち寄られるお客さまの数は減っていますが、「これが欲しい」と目的を持って来店されるお客さまや、普段から利用していただいているお客さまの数に関しては、緊急事態宣言解除以降、お盆にかけて戻ってきた印象ですね。
オンラインショップで購入する方、ビデオ接客や宅配買取の利用を希望される方も増えています。
――どのようなものの買取が増えていますか?
衣料品やバッグ、貴金属の買取が増えています。特に衣料品は宅配買取を利用される方が増え、緊急事態宣言中、前年と比較して2倍以上の買取がありました。外出制限の期間にご自宅の不用品を整理された方が多かったのかもしれません。
また、7月に金の小売価格が史上最高値となる7,000円台にのったことが影響し、8~9月にかけて金の買取も増えました。「有事の金」と言うように、金の価格が高騰するのは、世の中が不安定になっているときと言われていますので、これもコロナの影響と言えるかもしれませんね。
――衣料品やバッグとなると、女性の利用が多いのかなと想像しますが、男性の利用に関して何か変化はありますか?
高級腕時計は売り買いともに動きがありました。
プレミア感があるもの、高額品の時計は、ただでさえ流通数が少ないのですが、コロナ禍で生産量がさらに落ちています。そのため、リユース品をお求めになる方も増えているんです。
加えて買取価格も上がっているので、売りに来る方も多いです。
売れるジュエリーや財布のタイプにも、コロナで変化が
――反対に、コロナ禍で売れているものはありますか?
例えばジュエリーでは、リングよりも、耳に着けるものやネックレスなどが人気です。コロナ禍でオンラインでのやり取りが増えているため、PCなどの画面に映るものを購入される方が増えている印象です。
耳に着けるものでいうと、「イヤカフ」のお問い合わせが今は多いですね。耳たぶ以外の部分に挟み込むタイプのアクセサリーなので、イヤリングやピアスに比べて、マスクに引っ掛けて落としにくく、コロナ禍には利用しやすいようです。
それからキャッシュレス化が進み、現金を持ち歩くことが減ってきているので、大型の財布よりも、小型の財布の方が好まれます。
――コロナで外出の機会が減っても、ジュエリーやバッグなどのお買い物を楽しまれる方は多いんですね
外出の機会が限られているからこそ、1点豪華主義ではないですが、本当に欲しいものにお金をかけて、それ以外のものは最低限に抑えよう、この機会に売りに出そう、という方は増えているかもしれませんね。
また社会の価値観が、"サステナブル"とか"SDGs"などを重視する方向に変容する中で、モノを売ったり、リユース品を買ったりすることに対する抵抗感は薄まっている気がします。
年末にかけて、リユースショップの楽しみ方は?
――これから年末にかけての時期は、どんなものの売り買いが活発になりそうですか?
例年、12月は売り買いともに一番動きが激しい時期で、例えばジュエリーですと、他の月と比べて1.5~2倍の動きがあります。イベントが多く、プレゼント需要が増え、ボーナスもある、というところが背景です。
ジュエリーであればティファニーやカルティエ、バッグであればルイ・ヴィトンやエルメス、時計であればロレックスやオメガ、といったように、高額品ではありながら、一般の方でも手を出しやすい価格帯の定番商品が、売り買いともに多いです。
――この時期、定番商品の販売数が増えるのは想像できるのですが、買取数が増えるのはなぜですか?
12月というシーズンが一番需要が高まる時期というのを皆さんご存知で、高く買い取ってもらえるのではないかと考えてくださっている印象ですね。
実際、そういった定番商品の在庫が減ることが想定されるので、全部が高く売れるという言い方は語弊がありますが、比較的価格が付きやすい時期だと思います。
――それから、プレゼントにリユース品を買われる方もいらっしゃるのは少し驚きました
例えばジュエリーでいうと、"新品仕上げ"といって、地金をキレイに研磨すると、新品同様の状態に戻ります。ほとんど新品と変わらない状態で、モノによっては新品の半分の価格で購入できるものもあるので、お得だと思います。
それから今は、「リメイクジュエリー」というカテゴリの商品が人気です。
デザインが古いリングやネックレスの石を地金から取り外し、トレンドに合わせた新しい地金に付け替えた商品です。
石に関しては、状態の良いものを厳選していますし、価格は通常のおよそ1/3に抑えられることもあり、リユース品に抵抗がある方はそういったものを購入されています。
――リユースのジュエリーといっても、選択肢はさまざまですね
ブランド品以外のジュエリーも豊富に扱っているので、数千円から購入が可能です。新宿店だけでも500点のジュエリーがあって、予算が限られていても、品質については妥協せずにお買い物ができると思いますよ。
リユースショップでも"消費"から"利用"へ
――今年の年末は、クリスマスや帰省などのイベントが減ることで、例年と違う動きがありそうですか?
もちろんイベントが減ることは想定しているのですが、体験型のイベントへの消費が、モノへの消費に変わっていくのではないかと前向きに捉えています。
例えば今年はエンゲージメントリングの成約金額が上がっているという報道も耳にしました。結婚式ができない分、モノにお金をかけようという発想だと思うんですよね。
それと同様に、例えば「クリスマスの外食を控えた分、プレゼントにお金を掛けよう」とか、「旅行を控えた分、自分へのご褒美を購入しよう」など、モノへの消費が増えるのではないかと考えているんです。
また、12月は大掃除・断捨離のシーズンでもあります。どうしても欲しいものがあるけれど、購入しようか迷ったときに、不用品を売っていただいてそれを元手に購入する、という行動も増えるかもしれません。
――リユースショップ、いろんな活用の仕方ができそうですね
最近は若い方を中心に"消費"より"利用"の思考が強い傾向にあると感じています。
購入の際、「手放したときにはいくらで売れますか」と尋ねられる機会は増えています。購入後、飽きたらすぐに売って、また好みのものを中古で購入する。購入金額と買取金額の差額で、モノをレンタルするような感覚で利用している方も多いんです。
中古で売っている商品は、買取に出せば、買取金額が付くものがほとんどですので、ぜひ当店をご自身のクローゼットのように利用していただけるとうれしいなと思います。