帝国データバンクは12月3日、2020年1~11月までに飲食店の倒産が736件発生したと発表した。倒産件数は、これまで通年最多だった2019年(732件)を上回り、過去最多を更新した。

現在のペースで推移すると、飲食店の倒産は過去初めての800件台に到達する可能性があるという。

倒産、「居酒屋」「日本料理店」は既に過去最多に

  • 閉店した居酒屋

業態別内訳をみると、「居酒屋」が最も多く179件。前年の161件を既に約1割上回り、過去最多を更新した。居酒屋業態は、基本的には夜間営業が収益の主軸となるため、時短要請などが行われる都市部の店舗では長期に渡って客足が減少し、利益率が低下。加えて宴会需要も激減したため、「Go To イートの恩恵を待たず、資金力や経営体力に乏しい居酒屋が堪え切れずに淘汰が進んだとみられる」(帝国データバンク)。

  • 飲食店の倒産 件数推移

次いで「中華料理店」が98件、「西洋料理店」が94件(過去2番目)、「日本料理店」が75件(過去最多)、「キャバクラなど」が65件、「喫茶店」が60件、「一般食堂」・「その他飲食店」が各52件、「すし店」が34件、「そば・うどん店」が18件、「料亭」が9件と続き、全11業態中6業態で前年を上回った。

Go To イート事業は飲食店に恩恵をもたらしたものの、業態により客足回復に差がみられる状況だ。こうした中、新型コロナウイルス第三波の到来により、飲食業者からは「11月の感染増加で再び客足が落ち込みはじめた」など感染拡大の影響を危惧する声が聞かれているという。同調査では、「劇的な売り上げ回復が当面期待できないなど明るい材料に乏しい。そのため、年末にかけて飲食店の倒産や閉店、廃業がさらに増える恐れがある」と懸念している。