SK Hynixが、本社DRAM工場にEUVリソグラフィを採用する最先端製造ライン構築を始めたと、韓国の専門電子産業専門メディアetnewsが報じている。既存の製造装置を移管するとともに、EUVリソグラフィ向けの露光装置やクリーントラックなど新規装置を入れる作業を進めているという。

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    SK Hynixの本社工場全景(韓国京畿道利川市) (出所:SK Hynix)

同紙によると、ファブM14の装置をアップグレードするとともに、新規オープンを控えているファブM16にASML製EUV露光装置が設置される予定であるとしている。SK HynixがM14とM16を同時に準備するのは、EUVリソグラフィを適用したウェハがM14とM16で並行生産する計画があるためだという。EUVの露光装置そのものはM16に設置されるが、EUVで露光されたDRAMはファブ間のウェハ搬送通路を通ってM14でも生産されるものとみられる。こうした新旧2ラインを準備する手法はリスク対策の一環だと半導体関係者は説明する。

なお、同社は「EUVを採用するDRAMの量産を準備しているのは事実だが、具体的な生産計画を発表する段階にはない」とコメントしているという。

DRAMの競合であるSamsung Electronicsは2020年8月に、平澤事業所に新築された第2製造棟(Line2)で、16GビットLPDDR5モバイルDRAMの生産を開始したことを明らかにしており、今回の動きはSK Hynixがその後を追った形といえる。

NANDは3D化したことでプロセスの微細化は止まっているが、DRAMは3D化されておらず、プロセスの微細化は緩やかだが進められている。すでに10nm台のプロセスとして、1X-nm、1Y-nm、1Z-nmと各社対応を進めており、EUVが適用されるのは、1Z-nmの次、1A(α)-nm世代以降と考えられている。

なお、先行するSamsungは1Z-nm DRAMにEUVを適用したが、SK Hynixでは1Z-nmではなく、1A-nm DRAMでの適用を2021年よりはじめ、2022年に10nmクラスDRAMの第5世代に当たる1B(β)-nmに本格的に適用する模様だという。