SK Hynixが、サーバ・PC・モバイル用メモリに集中する事業構造からの脱却を目指し、車載メモリに注力しようとしていると韓国メディアの毎日経済新聞が8月11日付けで報じている。電気自動車や自動運転車などの次世代モビリティ市場で世界に高品質の車載メモリ製品を供給し、環境に配慮した半導体技術を前面に押し出すことで経済的・社会的価値の創出につなげたいという目論見だという。

具体的にはSK Hynixは、従来、マーケティング組織の傘下にあったオートモーティブチームを廃止し、半導体研究開発組織の1つとしてオートモーティブ部門を新設し、車載向け半導体メモリの開発およびマーケティングを本格化させるようだ。

自動車向け半導体はその特性上、高い耐久性が要求されるため、自動車電子部品協会(AEC)が定める基準を満たす必要が求められる、すでに研究開発の段階から製造に至るまで、自動車業界と密に協力することで、主要電装メーカー向けにインフォテイメントシステム向けメモリを提供するなど、自動車分野でも一定の成果を挙げてきたが、今後はSKグループとして、車載バッテリを手掛けるSK Innovationや5G V2Xビジネスに注力する通信キャリアSK Telecomらと協力することで、より多くの車載用途に向けたメモリを提供していこうとしているという。また、2019年にDupontから次世代車載デバイス基板として期待されているSiCウェハ事業をSK Siltronが買収するなど、SKグループ全体としても車載ビジネスに注力する姿を見せている。

なおSK Hynixは2020年1月に米ラスベガスで開催されたIT展示会「CES 2020」にSK Innovation、SK TelecomをはじめとするSKグループ内の電装関連企業と一緒に出展し、その場で車載用半導体市場へのさらなる注力の意志を示しており、今回の動きはそうした取り組みが具体化されたものとみられる。

  • SK Hynix

    SK Hynixの利川本社に設置されたファブ「M14」 (出所:SK Hynix)