シノプシスは、AIチップの急速な普及に伴って増大する検証需要に対応することが可能な新たなハードウェア・プラットフォームおよび機能を含んだ独自のソフトウェア定義型機能を有する「ハードウェア・アシスト検証(HAV)ソリューション」を発表した。
今回の強化では、エミュレーションおよびプロトタイピング向け製品である「ZeBu」と「HAPS」の両プラットフォームともに刷新された。例えばエミュレーション・プラットフォームである「ZeBu Server 5」は、ソフトウェア定義型アップデート機能により、データセンター向けAIトレーニングおよび推論、GPU、カスタムアクセラレータ、ネットワーキングIPU/DPUワークロードをサポートするメガデザインの要求に応える複雑な設計に対応したとするほか、HAPSのモジュール方式HAV機能は、最大規模のプロトタイプ提供を可能にすることでソフトウェア開発を支援し、コンピューティング機能/ストレージ容量/立ち上げ能力といった面の改善を実現したとする。
ソフトウェア定義型アプローチで性能と容量を倍増
具体的には、ZeBu Server 5の「ZeBu-200 12 FPGAシステム」は、最新のAMD VersalアダプティブSoCを活用することで、従来の6FPGAプラットフォームと比べて2倍の容量に拡張することを可能としつつ、性能も最大2倍に向上させたとするほか、「HAPS-200 12 FPGA」も含め、現在主流となっているタイプのデザイン向けに設計されており、プロトタイプにもエミュレーションにも活用できる(EP-Ready:Emulation and Prototyping Ready)アーキテクチャで構成されているとする。また、新しいプラットフォームとして、Synopsys Interface Prototyping Kitsを用いたIP検証やソフトウェア立ち上げに最適なコンパクト・デスクトップ・システム「HAPS-200 1 FPGAプラットフォーム」も提供を開始したとする。
テスト自動化で検証の生産性を向上
機能面でのもう1つの焦点が、ハードウェア・アシスト型テストソリューションやテスト自動化機能の採用であり、これによりプロセッサ、メモリ、I/Oサブシステムのコーナーケースへのストレス・テストや、シリコンが完成するかなり前の段階でエミュレーションによる現実的なワークロード下でのフルシステムの一貫性バリデーションやシステム挙動の観察が可能となるという。
また、ミクスドシグナルおよびシステムレベル・デザインに対しては「Real-Number Model(RNM)エミュレーション」により、デジタル中心の検証フロー内でアナログ挙動を迅速かつスケーラブルに抽象化でき、ソフトウェアの立ち上げを高速化することができるようになったとするほか、安全性が重要なデザインや高い信頼性が求められるデザインに対しては新たなフォールト・エミュレーション機能により、RTLシミュレーション、エミュレーション、プロトタイピングにわたるスケーラブルな故障注入および解析を実行することができるようになったとする。
なお、EP-ReadyのHAPS-200 12 FPGAプラットフォームはすでに提供開始済みで、HAPS-200 1 FPGAプラットフォームも利用可能となっているほか、ZeBu-200 12 FPGAプラットフォームは2026年第3四半期より提供を開始する予定だとしている。
AI半導体、特にロジックの開発では、性能や電力効率の向上競争と同時に、検証をいかに迅速かつ確実に回すかが製品投入スピードを左右する要因となっており、今回のソフトウェア定義型HAVの提供は、AI時代におけるプレシリコン検証の重要性を踏まえたもので、EDA市場における同社の立ち位置を強化するものと言えそうである。
