「リテラシー」という言葉は一般的に、情報を正しく理解し、活用する能力のことを指します。「ネットリテラシー」のように「○○リテラシー」という言葉で用いられることが多いです。
本記事では、「リテラシー」の意味や使い方について紹介します。
リテラシーとは?
「リテラシー」とは、物事を適切に理解、分析し、改めて記述・表現すること、また知識そのものを表す言葉です。英語では「literacy」と書きます。本来「リテラシー」という言葉は、読み書きできる能力のことを指す言葉でしたが、近年はネットリテラシーや情報リテラシーなど「◯◯リテラシー」といってに関する理解力という表現で使用されることが多いです。
「リテラシーが低い」の意味
「リテラシーが低い」や「リテラシーがない」など、「◯◯リテラシー」と特定の分野を指さずに使う場合は「一般常識やマナー、モラルが欠けている」を意味することが一般的です。
また、「◯◯リテラシーが低い」のように特定分野を指す場合は、その分野における知識や活用能力が低いことを指します。例えば、「ネットリテラシーが低い」と言う時は、インターネットを適切に使いこなせる能力が低いという意味になります。
「リテラシーが高い」の意味
「リテラシーが高い」や「リテラシーがある」など、「◯◯リテラシー」と特定の分野を指さずに使う場合は、一般常識に限らず、知識や能力が十分にあり、また、それを活用できることを意味します。
「◯◯リテラシーが高い」のように特定分野を指す場合は、その特定分野における知識や活用能力が十分にあることを指します。例えば、「メディアリテラシーが高い」と言う時は、テレビやインターネット、新聞などの情報から、正しい情報を選出し、活用できる能力、手に入れた情報を取捨選択するスキルが高いという意味になります。
リテラシーを使った言葉と例文
ここからは、リテラシーを使った言葉と例文を紹介します。
ITリテラシー
ITリテラシーはIT分野における理解やITに関連するものを正しく扱える能力を意味します。ただし、ITリテラシーの範囲は明確な定義があるわけではないため、「ネットリテラシー」や「コンピュータリテラシー」「セキュリティリテラシー」「メディアリテラシー」の総称を意味する場合もあれば、その中のひとつを指す場合もあります。
ビジネスで「ITリテラシー」を使う時には具体的に何を指すか明確にし、理解の齟齬が生まれないように気をつけましょう。
例文)
- ITリテラシーは若手社員よりベテラン社員のほうが低い傾向がある
- インターネットやスマホの普及により、子どもへのITリテラシー教育も進んできた
メディアリテラシー
テレビやインターネット、新聞などの情報から、正しい情報を選出し、活用できる能力、手に入れた情報を取捨選択するスキルをメディアリテラシーと言います。
例文)
- メディアリテラシーが低いと間違った情報に踊らされる
- 従業員のメディアリテラシーを向上させる
ネットリテラシー
インターネットを適切に使いこなす能力をネットリテラシーと言います。メディアリテラシーと重なる部分はありますが、ネット上で他人を傷つけるような情報を発信しないことや、一方的な思い込みや誤解の情報をネットで公開しないことが含まれます。
例文)
- ネットリテラシーが高いので情報発信には慎重になる
- 安易に個人情報を乗せるのはネットリテラシーが低い証拠だ
コンピュータリテラシー
パソコンや携帯・スマホなど、IT機器を使用することで情報を収集する知識や能力のことを「コンピュータリテラシー」といいます。
例文)
- テレワークが普及するなかでは、コンピュータリテラシーはもはや必須スキルだ
- 最低限のコンピュータリテラシーがないと業務に支障が出る
セキュリティリテラシー
セキュリティリテラシーは、パソコンや携帯・スマホなどのITデバイスや、メール等のWEB上のITツールを利用する際はもちろん、機密情報や顧客情報などの書類を含めたセキュリティについての知識や理解、また、セキュリティリスクを考慮できる能力を指します。
例文)
- 不審なメールを開いてウイルス感染するなんて、セキュリティリテラシーが低い証拠だ
- 機密情報の扱いは大きなリスクをはらむためセキュリティリテラシーの向上が必要だ
金融リテラシー
お金やお金の流れに関する知識や判断力のことを金融リテラシーと言います。日々の生活の中で、物の購入や有料サービスの利用、給料を受け取る、貯金など、私たちは様々な形でお金に関わって暮らしています。
例文)
- 金融リテラシーが低いままでは、資産形成は難しいだろう
- 彼は金融リテラシーが高く、上手に節税している
文化リテラシー
国や地域の文化を抵抗なく認め合い、活用できる能力を文化リテラシーと言います。まったく異なる文化を持った国の方との関わりで、文化リテラシーは焦点になるでしょう。身近な場面でいえば日本でも外国人が住み、一緒に働いているという環境は珍しくありません。
例文)
- 文化リテラシーが高い人は、物事に対する理解力や知識の幅も広い方が多い
- 文化リテラシーを高めるためには、幅広い雑学を知っておくとよいだろう
リテラシーとコンピテンシーとの違いは
コンピテンシーには、会社や学校などで成績の良い方に共通する行動特性、能力や技能、力量、適性、などの意味があります。「能力」という部分でリテラシーとコンピテンシーは混合されがちですが、今までの経験を振り返ることで、自分自身を成長させることがコンピテンシーであり、外からの情報や知識を活用するのがリテラシーです。
リテラシーの類語
リテラシーの類語には、物事をそのまま受け入れず、真実かどうかを確かめる心や働きを表す「批判精神」、関係を理解して区別、判断できる能力の「判断能力」、取るべきものと捨てるべきものとを選択できる能力の「取捨選択能力」、などがあります。
そのほか、度が過ぎない適当な程度を表す「節度」、度を越さないよう控えめな行動をとる「節制」、物事の種類や性質などを見分ける能力の「識別力」もリテラシーの類語です。
リテラシーを高める方法
恒常的なインプット習慣・情報比較・主観と客観の区別などにより、リテラシーを高めることが可能です。
以下、順に説明します。
恒常的なインプット習慣
リテラシーを高める基礎として、常に情報をアップデートすべくインプットを欠かさないことが重要です。そのため、恒常的に情報をインプットする習慣を付けましょう。
情報比較
同じ情報でも複数のソースがあります。手に入れた情報に対して「100% 正しいとは限らない」ことを頭に置き、どの情報が正しいのか情報比較を行いましょう。いくつかの情報を比較し、矛盾を見つけ出す力を身に付けていけば、自然とリテラシーは高まっていきます。
主観と客観の区別
情報は提供元の主観的な情報か、客観的な情報なのかを意識しながらインプットし、必ず情報比較する視点を持ちましょう。ここでは、自分の価値観や感情を持ち込まず、公平な目線を持つことが大切です。主観と客観の区別がつけば、得た情報の背景や目的などを的確に理解し、実際に使いこなす能力が身に付きます。リテラシー向上につながるでしょう。
企業活動にも重要なリテラシーを向上させよう
ニュースやインターネットなどで「◯◯リテラシー」という言葉を目にすることは今後も増えていくでしょう。様々な分野のリテラシーを高めていくことで、正しい情報を識別できる能力の高い人材として、周りにも信頼されます。
自身のリテラシーが低いことに不安を感じた方は、リテラシーを高める方法を参考にリテラシーを高めてビジネスに活かしていきましょう。