東京商工リサーチは11月12日、2020年1~10月の「ガソリンスタンド」の倒産(負債1,000万円以上)は前年度比23.5%増の21件となり、2019年通年の19件を上回ったと発表した。コロナ禍で外出や遠出の自粛が広まり、ガソリン需要が落ち込んだことが影響したとみられる。

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負債総額が前年同期の2倍以上に増加

負債総額は同107.7%増の37億9,500万円(前年同期18億2,700万円)と、前年同期の2倍以上に増加。負債10億円以上の大型倒産はゼロだったものの、同1億円以上5億円未満が同66.6%増の15件(同9件)となり、負債総額が大幅に増加した。

原因別では、「販売不振」が17件で最多(構成比80.9%)。形態別では、破産が16件と全体の76.1%を占めた一方、再建型の会社更生法や民事再生法はゼロで、「経営再建が難しいことを示している」(東京商工リサーチ)。

  • ガソリンスタンドの倒産 年次推移(出典:東京商工リサーチWebサイト)

地区別にみると、全国9地区のうち、北陸と九州を除く7地区で倒産が発生。最も多かったのは東北・関東の各5件で、以下、中部4件、近畿3件、中国2件、北海道・四国が各1件と続いた。

2020年1~8月時点での「休廃業・解散」件数は同29.0%増の111件(前年同期86件)。市場規模が縮小する中、新型コロナウイルス感染拡大の影響がさらなる打撃を与えており、2020年は「休廃業・解散」が増加する可能性もあるとみている。

ガソリンスタンド数の推移をみると、ピークの1994年度末(6万421カ所)から、25年連続で減少し、2019年度末にはほぼ半分の2万9,637カ所(資源エネルギー庁)まで減少。その一方で「ガソリンスタンド過疎地」問題は深刻さを増しているが、「抜本的な解決策は見出せないのが実情」という。