愚痴とは「どうにもならないことを述べて嘆くこと」です。どうにもならないとわかっていながら、仕事の愚痴はつい出てしまいます。ただ、吐き出す際には時と場合をわきまえる必要があります。

本稿では仕事の愚痴を言うことによるメリットやデメリット、愚痴をエネルギーに変える方法などを紹介します。日頃からつい愚痴がこぼれてしまう人はぜひ参考にしてみてください。

仕事の愚痴を言うことのデメリット

仕事に対する愚痴がまったくない人は少ないでしょう。多かれ少なかれ、人は仕事や職場の人間関係に対してストレスや不平不満を抱いています。

とは言え、それを愚痴として吐き出すことをためらってしまうのも自然なことです。まずは、仕事の愚痴を言うことにはどんなデメリットがあるか考えていきましょう。

  • 後ろを向いて落ち込んでいる人

    仕事の愚痴を言うデメリットを考えてみましょう

■聞く相手のストレスになる

愚痴を聞く相手に余裕があり、共感できるような愚痴ならば、あまり問題はないでしょう。しかし、常に愚痴を言っている人や、自分勝手な考え方で一方的に不満を吐き出している人には注意が必要です。愚痴を聞く相手が不快感を持ち、聞く側ののストレスになってしまう可能性があるためです。

愚痴を聞いてくれる人に甘えすぎず、相手の気持ちを考えましょう。

■誰に伝わるかわからない

安易に言った愚痴が他人や会社の悪口ととらえられ、万が一それが本人や上司に伝わった場合、信頼の失墜につながります。また、愚痴を聞かされると、人によっては「自分の悪口も陰で言っているのかも」と疑ってしまうこともあるでしょう。

■愚痴の無限ループに陥る可能性がある

愚痴を言って他人に慰められたという体験をすると、同じようなシチュエーションで同様に愚痴ってしまいかねません。また、愚痴を言うことで嫌な記憶がよみがえり、それを忘れようとさらに愚痴を言ってしまうという負のループにはまってしまうこともあるでしょう。

仕事の愚痴を言うことのメリット

「仕事の愚痴を言う人はダメな人」というイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、とらえ方を変えると愚痴はプラスに働く可能性があります。

仕事のストレスや不満を仲間と共有したり、愚痴として上手に発散することは、多くの社会人が日常的に行っている人間的な行為です。また、心を健康に保つための手段にもなるため、我慢しすぎないようにしましょう。

ここでは、仕事の愚痴を言うことで得られるメリットを紹介します。

  • 道路でジャンプしている人

    仕事の愚痴を言うメリットを考えてみましょう

■心が晴れる

愚痴をこぼす最大のメリットはストレス解消でしょう。自分ひとりでは解消できないストレスや、抱えきれない不満を人に打ち明ければ、大抵の場合は心が軽くなります。

仕事関係にかかわらず、不平不満を誰にも打ち明けられないのは、とてもストレスがたまります。愚痴を聞いてもらうだけでも心はスッキリするものですが、できれば同じような状況の人に共感してもらうのもよいでしょう。

■気持ちの整理ができる

愚痴として自分の思いをアウトプットすることによって、気持ちの整理ができる場合もあります。自分の思いや考えを言葉にして伝えることで、どのようなことに悩んでいるのか、自分がどうしたいのかを再認識できるからです。

ストレスがたまって感情が高まった状態のままでは、思考をまとめることは難しいでしょう。しかし、愚痴を吐き出すことによって冷静さを取り戻してくると、自分の気持ちに向き合える余裕が生まれます。

■問題解決のきっかけを見つけられる

愚痴というのは、言い方を変えれば「理想と違うことへの不満」であると言えます。したがって、愚痴をもとに最善の方法を考えていけば、問題解決の糸口を見つけられる可能性があります。

そのためには、不平不満ばかりではなく、次につなげるための建設的な考え方も必要です。また、愚痴を聞いてくれた相手からの言葉が、解決策や新しい考え方のヒントになる場合もあるでしょう。

仕事の愚痴を発散する際のポイント

誰彼かまわず愚痴を言い続けていたら、デメリットしか得られないでしょう。愚痴によるメリットを最大限に生かすには、愚痴を言う相手や方法、状況などを見極めることが肝要となってきます。

仕事の愚痴を発散するポイントを押さえて、上手にガス抜きしていきましょう。

  • 笑顔の男性

    仕事の愚痴を発散する際のポイントをおさえておきましょう

■信頼できる人にだけ話す

愚痴を言うことによって、聞く相手が嫌な思いをしたり、話の内容が別の人に伝わったりするリスクがあるため、愚痴を言う相手は慎重に選ぶ必要があります。

最も望ましいのは、口が堅くて信頼でき、愚痴に対して評価や批判をしない人です。そして、ネガティブすぎたりポジティブ過ぎたりしない人ならば、なおよいでしょう。

愚痴を言うことは決して悪いことではありませんが、相手選びは慎重にしなければいけません。

■紙に書き出してみる

周囲に愚痴を吐き出す適当な相手がいない場合、自分の負の感情を紙に書き出すことで気持ちが晴れ、愚痴を聞いてもらったような効果が期待できます。

また、愚痴を書き出き出して振り返ることによって、自分の思考を客観的に分析できます。後で見直して解決策につながることもあるでしょう。

書き出す際はルールに縛られず、思いつくまま素直に自分の言葉で文字に起こすとよいです。

仕事の愚痴をエネルギーに変換する方法

たまっていく仕事の愚痴を発散したくても、言える環境にない人や性格的に愚痴を言いたくない人もいるでしょう。

しかし、仕事の愚痴をポジティブな力に変換できれば、自分自身は仕事がはかどり、かつ誰も愚痴を聞かなくてもよくなるので、まさに一石二鳥となります。

仕事の愚痴を糧にし、前向きに進むための方法を見ていきましょう。

  • ガッツポーズをしている人

    仕事の愚痴を前向きなエネルギーに変換しましょう

■好きなことをしてリセットする

自分が没頭できる趣味がある人は、それに打ち込む時間を設けるとよいでしょう。好きなことをすると、ストレスが発散され、気持ちを一旦リセットできます。充実した時間が過ごせ、同時に新たな発見や出会いが生まれる可能性があります。

■考え方を変える

物事をとらえる際、少し視点を変えるだけで心持ちを大きく変えることができます。例えば、責任の重い仕事を任された際、「厄介な仕事がきた」と感じるか、「大きな仕事を自分に任されてうれしい」と感じるかで、大きな違いがあります。

愚痴のもととなる不満や怒りを「自分が成長するチャンスだ」と意識し、前向きな考え方に変換していくようにしてみましょう。

■未来のビジョンを考える

仕事に忙殺されたり面倒な業務でイライラしているときは、長期的なビジョンで物事を考えてみましょう。

今のこのつらい状況が明るい将来につながっていると思えば、乗り越えられない難題も乗りきれるかもしれません。5年後、10年後にありたい自分の姿を具体的に想像することで、ポジティブな気持ちになれるでしょう。

さらに、描いた自分になるための今すべきことが明確になり、愚痴に割く時間が減っていきます。

■転職する

たまっていくストレスを抱え込むのも、限度があります。気持ちや考え方を変える方法も、必ず対応できるとは限りません。

我慢する期限を決めて、それまでに問題や不満が解決できる糸口が見つからなければ、思いきって転職するのも一つの手です。

さまざまな方法を試しても愚痴が止まらない背景には、その会社や仕事が合っていないという可能性があります。我慢の限界を超える前に、転職することも視野に入れましょう。

相手が不快にならないように仕事の愚痴を言おう

軽い気持ちで仕事の愚痴を言える相手がいるのは恵まれた環境と言えます。否定や評価をせずに愚痴を聞いてくれる相手がいるならば、その人に感謝しましょう。

愚痴をこぼすことはメリットもありますが、人の信用を失ったり、ネガティブな思考に陥ったりとデメリットもあります。

我慢する必要はありませんが、愚痴を言うならば、相手が不快な気持ちにならないように注意し、いずれ前向きな思考へとつなげましょう。