「プロトコル(プロトコール)」とはビジネスシーンで使われる言葉のひとつです。語源は英語の「protocol」で、儀礼や議定書、協定や実施要項等「手順」を表す言葉です。
プロトコルには複数の用法が存在しており、IT用語として用いられることもあれば、政治、その中でも特に外交の用語として用いられたリ、医療業界では治験で遵守すべき手順を表す言葉として用いられたリします。
本稿では、プロトコルという言葉がどのような意味を持つ言葉なのかを、シチュエーション別に紹介していきます。
IT用語としてのプロトコル
IT用語としてよく使われるプロトコルは、インターネットの通信規格のことを示します。
コンピュータ同士で通信を行おうとしても、それぞれの規格が異なるとうまく接続できません。統一の規格であるプロトコルで定められた処理を行うプログラムをコンピュータに組み込むことで、ネットワークに接続できるようになります。
通信プロトコルの国際規格
なお、インターネットの接続は、国際規格であるTCP/IPプロトコルを使用して行います。基本的にWindowsやMacOSには標準搭載されており、LANを通じてインターネットが利用できます。
階層ごとに機能が異なる
インターネット接続で使われるTCP/IPプロトコルの通信は、大きく4つの階層に分類できます。各階層の概要は下記の通りです。
- アプリケーション層 : HTTPや電子メールへのアクセスに使われる
- トランスポート層 : 別のコンピュータへのデータ伝送、ホストへのデータグラムを送信などで使われる
- インターネット層 : IPアドレスを割り当てて通信を行う
- ネットワークインタフェース層 : イーサネットなど、コンピュータ間の直接接続で使われる
国際儀礼としてのプロトコル
政治、特に外交の用語としてのプロトコルは、国家間の儀礼上のルールのことを表します。
国によって慣習や文化、礼儀は異なるため、国ごとの儀礼や慣習の違いを正しく理解することが不可欠です。特に、海外の要人を迎えるにあたっては、国際的な基本儀礼やエチケットを踏まえた上で、服装や席順などを決定する必要があります。
国の大小に関係なく平等に扱う
複数の国で会議の席につく場合、序列や席順で配慮を欠くことがあってはなりません。プロトコルでは国の大小で序列を決定せず、誰もが納得するルールに従うことが求められます。
先方・当方ともに不快な思いをしないよう配慮
国際関係において、相手国との関係を良好に保つためにプロトコルの遵守が重要になります。無用の誤解を避けるために、国際的なルールであるプロトコルに従い、先方・当方ともに不快な思いをしないように配慮することが必要です。
基本ルールは先着順
複数の国での会合で序列を決める場合、プロトコルに従うと先任者優先または先着順となります。
例えば、駐日大使の序列は、着任順が原則です。国の大小や力関係は関係なく決められるのが、国際的なマナーとなっています。
国旗に敬意を表する
国際的な儀礼としてのプロトコルでは、国の象徴である国旗には敬意を表することが基本的なマナーです。向かって左側が上位となるのが原則で、日本では相手国旗が上位に掲揚されます。
国旗は国の象徴であるので、破損や汚れがある状態では掲揚しない、雨天や日没後にも掲揚しない、といったルールもあるほどです。
医療用語としてのプロトコル
医療業界において、プロトコルとは、医療における治験実施計画書や治療計画書を意味する言葉です。どのように使われる言葉なのかを簡単に解説していきます。
遵守しなければならない要件がすべて記載されている
もともと「手順」を意味する「プロトコル」は、医療においてさまざまなシーンで使われています。治療計画書や治験実施計画書はどちらもプロトコルと呼ばれ、治療や治験において守るべき実施手順や要件がすべて記載されています。
プロトコルに違反すると処分の対象になる
プロトコルに逸脱・違反することが許容される場合はあるものの、違反や処分は治験の信頼性を失ってしまいます。内容が悪質な場合や隠蔽が発覚した場合には、薬の開発中止などの処分を受けることもあります。
プロトコルは「手順」のこと!意味を理解してビジネスに役立てましょう
「プロトコル」は外交やIT用語、医療の治験などの幅広い分野で使われる言葉であり、使い方に戸惑ってしまいがちです。ビジネスシーンにおいてこの言葉が出てきた際には、まずは元々の意味である「手順」と読み替え、その場に応じて意味を解釈するようにするとよいでしょう。