キリンビールは10月6日、 「一番搾り」ブランドから「キリン一番搾り 糖質ゼロ」(350ml缶、500ml缶)を発売する。 国内で初めて、ビールカテゴリーで「糖質ゼロ」(食品表示基準で100ml当たり糖質0.5g未満のものに表示可能)を実現した商品となる。
昨今のさまざまな環境変化の中で布施孝之代表取締役社長が注目するのは、健康志向の高まりと酒税改正によるビール再成長のチャンス。
健康志向の高まりで「糖質ゼロ」が好調
コロナ下で自宅でお酒を飲用する機会が増えたこと、巣ごもり生活で運動不足や健康不安を抱えた人が増えたことが影響して、糖質の少ない商品が選ばれているという。
実際のビールの購買行動にも現れており、同社の糖質オフ・ゼロ系ビール類の1〜7月の販売実績は「淡麗グリーンラベル」が前年比104%、「淡麗プラチナダブル」が同106%、「キリン のどごしZERO」が同111%と好調。今後も伸長するとみている。
酒税改正によるビール再成長の機会
また、酒税改正が2026年まで段階的に行われる予定で、2026年には最終的にビール類の税率が「発泡性酒類」として一本化される。その第1弾として今年10月にビールカテゴリーは減税(350ml缶1本当たり約7円減税)となる。
これにともなってビールカテゴリーの店頭価格の低下が予想され、ビールの缶を中心とした再成長の機会があるという。
布施代表取締役社長は、「健康志向の高まりと酒税改正によるビールの再成長の機会に、一番搾り製法の掛け算をすることで、一番搾りブランドからビールの魅力を広げる新しい提案を行っていきたい」と話している。
"ビールで糖質ゼロ"を達成した技術力
これまでビールカテゴリーで糖質ゼロの商品がなかったのは、その技術的なハードルの高さにある。
ビールは新ジャンルや発泡酒に比べて麦芽使用比率が高く、麦芽の使用量が多い分ビールならではのおいしさが生まれるが、同時に含まれる糖質が多くなる。糖質はアルコールを生成する役目も持っている。おいしさやアルコールを担保しながら糖質をゼロにするのは至難のわざという。
実現したのはキリン独自の2つの製法。麦芽の選定から見直し、同社が培ってきた仕込技術・発酵技術を進化させた新技術「新・糖質カット製法」、麦のうまみを引き出しおいしいビールにする「一番搾り製法」で、雑味のない澄んだ麦のうまみが感じられる、飲みやすく、飲み飽きない味わいを実現した。
費やした期間は5年以上、通常のビールの新商品であれば数十回程度の試験醸造を350回以上行ったという。
価格はオープンだが、「一番搾り」と同じ価格を想定。一番搾り缶の現在の価格は、コンビニエンスストアで350ml缶が228円、500ml缶が299円。