流れるような攻めで丸山陣を崩壊させて勝利。運命の第3局は9月19日

豊島将之竜王への挑戦権を争う、第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負(主催:読売新聞社)の第2局、▲丸山忠久九段-△羽生善治九段戦が8月25日に東京・将棋会館で行われました。結果は112手で羽生九段の勝利。これで両者の成績は1勝1敗となり、決着は第3局へと持ち越されました。

本局は丸山九段が先手番で角換わり早繰り銀を採用。途中までは丸山九段自身が過去に指した進行をなぞりましたが、羽生九段が手を変えて未知の局面を迎えました。

序盤の小競り合いがひと段落すると、一転玉の固め合いがスタート。両者金銀を玉の周りに密集させます。先に駒組みが飽和状態になったのは、先手の丸山九段側でした。やむなく丸山九段は金を動かし、待機。49手目の▲6八金寄から、▲6九金~▲5八金~▲6八金寄と指して、自らの陣形を崩さない立ち回りです。

一方の羽生九段は、この間に5筋から開戦することに成功します。ゆっくりしていると差が広がってしまうとみた丸山九段は、1筋で香を捨てる強攻策に出ました。歩を入手して、羽生玉頭から攻め込む狙いです。

手駒を蓄えた羽生九段も玉頭攻めのお返し。自玉を守る銀冠の銀取りをなんと手抜いて踏み込んでいきます。これが流石の手順でした。銀を取られても自玉の耐久度に問題ないと見抜いているのです。歩を用いた巧みな攻めで丸山陣を一気に弱体化させることに成功。流れるような攻めが決まりました。

受けてもキリがない丸山九段は、角を打ち込んで飛車金両取りをかけて攻め合いに懸けます。厳しい攻めですが、羽生九段はすぐさま丸山九段の金を取りました。飛車を取られても、金を取られても、自らの攻めの方が早いと見切っていたのでしょう。

飛車を取った丸山九段に対し、羽生九段は丸山玉に厳しく迫ります。角で王手飛車取りをかけて羽生九段も飛車を入手。いよいよ受けのなくなった丸山九段の最後の攻撃を、羽生九段はしっかりと受けて勝負あり。最後は自陣の桂を働かせて丸山玉の退路を封鎖する、ぴったりの一着を放って羽生九段が勝利を収めました。

羽生九段が勝利したことで、三番勝負は1勝1敗のタイになりました。挑戦権を懸けた運命の第3局は9月19日に行われます。羽生九段が100期目のタイトル獲得を懸けて七番勝負に挑むことになるのか。それとも丸山九段が4度目の挑戦を決めるのか。大注目の一番です。

99期目に獲得したタイトルの竜王奪還に向け望みをつないだ羽生九段(提供:日本将棋連盟)
99期目に獲得したタイトルの竜王奪還に向け望みをつないだ羽生九段(提供:日本将棋連盟)