■『コンフィデンスマンJP』魅力は?

――『コンフィデンスマンJP』ドラマ版、『ロマンス編』ときて、『プリンセス編』で3度目のタッグとなりましたが、メンバーの皆さんにとってはどんな存在になりましたか?

藤原:よくチーム内でも話しているんですけど、最初が月9なんですよね。月9のドラマと言ったら、きっと政治があるんじゃないかな、と思うじゃないですか。いろいろな大人がいて、「このバンドはどう?」「このアーティストはどうでしょう」という話もあったでしょうに、チームの方が自分たちの耳を指針にして音楽のオファーをくださったという第一歩がめちゃくちゃ光栄だったし、とにかく良い作品にしようとされていることが伝わってきました。それは3回目のタッグになっても変わらないどころか、さらに深くなっていくように感じたので、自分たちもバンドとして歌で応えていきたいという思いがありました。切磋琢磨させていただいてるような、それでいて一緒によりエンターテインメントの深いところ、面白いものを追求する仲間に入れていただけているような感覚です。

小笹:初めての大型タイアップで月9の主題歌をやらせていただいたのは、驚きでした。当時はわからなかったんですけど、タイアップのお仕事が増えていく中で、「ヒゲダンさんのあの曲のような感じ」といったイメージ、例えば「『115万キロのフィルム』に感銘を受けたので、ああいうラブソングを」という形でお話をいただくこともあるんですが、コンフィデンスマンチームは全然違うんです。「なんでヒゲダンにこの提案をしてきたんだろう」と思うような、僕たちからは完成形が見えない提案をいただくことが多くて。「Pretender」の時もそうですけど、例えば「UKの要素を入れて欲しい」とか。僕たちだけでは作り得なかった作品を一緒に生み出すことができる、大事な存在です。

――それだけ深く関わられている作品ですが、改めて皆さんの思う『コンフィデンスマンJP』の魅力を教えてください。

小笹:第1話を観たときはシンプルに騙されればいいけど、ドラマの仕組みからして、第2話からは「騙される」という前提で観ていないといけないから、複雑じゃないですか。それを連続ドラマで、何種類もの騙し方を展開して……さらにコメディとして楽しい気持ちで見れる話もあれば、僕の好きな「家族編」のように人間の本質的な部分に触れる話もある。本当に、「何でこんなにいろいろな話を作れるんだろう?」と不思議です。映画版も作ると聞いてびっくりしたんですけど、毎回すごい作品になるので、作品の一ファンとして、長く続いてくれたら嬉しいです。

松浦:僕は素直に騙されるし、登場人物全員が愛おしいなと思います。こんなに全員のキャラが立ってるドラマを、初めて観たかもしれないですね。みんな、かわいくないですか? 僕は五十嵐が好きです(笑)。

楢崎:人間の本質に何が必要なのか、自分が本当に大切にするものは何だったのかといったテーマを、本質的ではないところを通してから絞っていくというところが、すごいと思います。「詐欺師とお金」という一見真実のない薄っぺらい外側を通して、しかもコメディタッチで気楽な気持ちで入るのに、到達地点で本質的なテーマが浮かび上がってくるという作りが好きです。映画版でも、物語がどんどん膨らんでいって、キャラクターによってもどこに大切なものを置くのかが違いますし、観ていて好きなところです。

藤原:ドラマの時から一貫して、フォーカスが当たってる詐欺のジャンルによって、ちょっとしたパロディやオマージュにクスッとくるところが好きです。自分が音楽をやっている上でもそういったオマージュは好きで、ブルーノ・マーズにマイケル・ジャクソンを感じるように、楽しんで作っているとわかるのが素晴らしいところだなと思います。ドラマで出てきたキャストが映画にカムバックしてくる感じも、たまらないです。

あとは、楢ちゃんとも重なりますが、詐欺師が嘘をついて騙していく物語なんだけど、何が真実で何が嘘なのか、騙していくのは正義なのか悪なのか……そもそも正義と悪というものがはっきりしてなくて、色々な色に物語が変わっていく感じが、人間の本質的な部分とすごく近い。それぞれのキャラクターが、自分の大切なものを守るため、野望を成し遂げるために誰かを騙していって、でもそこには騙すなりの思いやりや守りたい正義があったりと、一辺倒じゃないですよね。クルクルと変わっていく感じが、壮大なスケールで描かれているので、浮世離れした世界でも、自分の日常生活に生きてくるのだと思います。特に今回の『プリンセス編』は、より「嘘か真実か」という点にフォーカスされているように感じました。「偽物とは? 本物とは?」というテーマは、特に自分の人生においてもリンクするところだったので、主題歌として「Laughter」が生まれたことで、自分がミュージシャンとしてこれからやってく上でも大事なことを教わったと思っています。

■Official髭男dism
2012年結成、藤原聡、小笹大輔、楢崎誠、松浦匡希により結成。2018年 「ノーダウト」がフジテレビ系“月9”ドラマ 『コンフィデン スマンJP』の主題歌に抜擢されメジャーデビュー。 2019年、映画『コンフィデンスマンJP ロマンス編』の主題 歌「Pretender」をリリースし、34週連続でオリコンストリーミングランキング1位を記録、史上初で2億回再生を達成する。同年、『第70回NHK紅白歌合戦』に初出場。8月5日には、映画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」主題歌「Laughter」を含めたNEW EP『HELLO EP』を発売する。9月26日には自身初のオンラインライブを開催する。