女優の吉岡里帆が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。今回読んだのは、誰にもみとられることなく自宅で亡くなり、死後、長らく発見されない「孤独死」に向き合う遺品整理人に密着した『孤独死の向こう側 ~27歳の遺品整理人~』(21日放送)だ。
この重いテーマにナレーターという立場で接し、何を感じたのか。収録を終えた吉岡に、話を聞いた――。
■ある種“救いになる職業”
孤独死などで亡くなった人の部屋を清掃し、残された遺品の中から、思い出の品を遺族に引き渡す「遺品整理人」。吉岡は、この仕事ついて以前から存在を知っていたそうで、「亡くなった方にとって、ある種“救いになる職業”」という印象を持っていたと話す。
その上で、今回のドキュメンタリーを通して、「遺品整理の仕事って、片付けとか除菌とかの処理をして“捨てていく作業”だとどこかで思っていたんですが、実はその人の思い出とか記憶とか、ご遺族の方に対してプラスになるものが何かないかと“集める作業”でもあるんだなと感じました」と、新たな発見があったそう。
さらに、番組が追った小島美羽さんと社長の増田裕次さんという2人の遺品整理人の姿には、「仕事に対しての誇りと、先のことを見据えて『孤独死をどう伝えていくか』というお話もされていて、そこにすごく感銘を受けました。本当に思いやりのある人だからできる発想で仕事に向き合われているんだと思います」と感心したようだ。
■「孤独死」は残酷な言葉でもある
特に印象に残ったのは、増田さんが言っていた“「孤独死」というのは伝わりやすい表現だけど、残酷な言葉でもある”という考え方。「今まで『孤独死』という言葉を使うことに疑問を持たずにいたのですが、ご遺族に対しての心のケアも含めて、そういう意識を持って遺品整理をされている姿を見て、『この仕事があって良かったな』と思いました」と、遺族にとっても“救いになる職業”であることを知った。
また、「人がつながりやすくなった時代なのに、いわゆる孤独死というのが年々増えているということを知って、自分がいつそうなってもおかしくないという現実に考えさせられました」とも。そんな現実に自ら率先して直面し、生と死に向き合っている小島さんが、自身と同い年の27歳だということで、より問題意識を高めたようだ。
今回の放送では、3カ月連絡をとらなかった間に家族を亡くしてしまった遺族を、小島さんと増田さんがケアする場面も追っているが、そんなシーンを通して、自身の家族のことを思い浮かべたという。
「私も、地元(京都)を離れて一人暮らしをしているので、家族に何かあったときにすぐ飛んでいけないということを、やっぱり考えてしまいましたね。『会おうという気持ちがあったのに会えなかったということが、一生の引っかかりになる』というのは、自分自身にも当てはまる可能性があるとすごく思ったので、忙しさにかこつけて連絡しなかったり会いに行かなかったりしてしまう後悔というのは、やっぱりしたくないなって思いました」