スーパーハイトワゴンのナンバーワンは?

今は軽自動車全体としてもN-BOXが販売台数の1位に君臨している。しかし、現行の2代目N-BOXとなってからは走行安定性に不安が残るし、ハンドル調整にテレスコピック(ハンドルの位置を前後方向で調整できる機構)を装備していないため、ペダル操作が窮屈になり、踏みそこないの懸念がある。実際、私も何度か踏み損ないそうになった。

タントは4代目となり、さらに熟成が進んだものの、やはり走行安定性に不安を見せるところがある。

  • ダイハツ「タント」

    ダイハツ「タント」の現行モデル

その点、スペーシアはスーパーハイトワゴン御三家でもっとも総合性能の高い車種だった。だが、ルークスとekスペース/ekクロス スペースのように、安定性と乗り心地の調和に加え上質さまで覚えさせ、軽自動車であることを忘れさせるほどではない。

ということで、スーパーハイトワゴンでもっとも優れているクルマを選ぶとすれば、それはルークスおよびekスペースekクロス スペースということになる。

もちろん、あとから開発されたクルマがより進化しているのは当然といえる。しかし、長年にわたりハイトワゴンやスーパーハイトワゴンを作り続けてきたスズキとダイハツがルークスらに近づけていないのは、軽自動車を中心としたメーカーであるだけに、性能目標を「軽の基準」としているからなのではないだろうか。N-BOXについては、初代があまりに人気を得たので、2代目へのモデルチェンジは失敗を恐れてキープコンセプトにとどまり、弱点を修正しただけで、このクルマの収益性を維持しようとしたようにも感じられる。

軽自動車も登録車も、消費者が乗るクルマとして違いはない。そんな視点で最良のクルマを開発しようとした日産の心意気が、スーパーハイトワゴンで一番の仕上がりをもたらしたのだと思う。唯一の残念な点は、ほかのスーパーハイトワゴン同様、ハンドル調整機構のテレスコピックを省いた点だ。これによって、正しい運転姿勢は取りにくくなっている。