ここ数年、世間では副業解禁の流れが続き、新たな収入の柱を作るべくチャレンジする人も増えてきた。しかし、ここ数カ月のコロナ禍によって、副業の形態も大きく様変わりしてきている。これまでのやり方は通用しなくなり、せっかく始めた副業が全く収入にならないというケースも出てきているからだ。

では、どのように副業のスタイルが変わってきたのか、実際にコロナ禍でも成果を上げている人たちの事例を交えながら見ていきたい。

  • 副業の猛者たちがコロナ禍で始めたこと、やめたこと

コロナ禍で様変わりする副業スタイル

まず、これまでの副業では、外に出かけることも多く、人と会うことを前提としているケースも多くあった。

例えば、ハンドメイドのお教室、カウンセリングやリラクゼーション、占い、スポーツイベント、大人の遠足やお茶会の主催、などである。

しかし、コロナ禍による外出自粛要請で、ほとんどの人がその副業のやり方を変えざるを得なくなったのだ。

当然そのほとんどはオンライン化し、外に出かけなくても副業がなりたつ工夫をすることで、今の社会情勢を乗り越えている。

オンラインサロンという方法

例えば、サラリーマンとして働きながら「歴史好き」を生かして副業を行う原一六四さんのケースを見てみよう。

原さんはこれまで、「城跡お茶会」「城跡ツアー」といった企画を運営するなどして、月5万円ほどの収入を得てきた。2020年にかけてはますますその副業が軌道に乗り始め、ついには旅行会社とタイアップしたツアー開催も予定されていたが、新型コロナウイルスの流行により、企画は中止になってしまったという。

しかし、原さんは落胆することなく、もともとスタートしていた「オンラインサロン」の運営を強化する方向にシフトした。

オンラインサロンというのは、同じ趣味を持つ人同士が集まるウェブ上のコミュニティのことで、原さんは月数千円の会費を徴収する有料型のサロンを運営。サロンの会員数×会費が月々の収入となるため、会員が増えるほどに、月々の収入も安定的に増えていくという仕組みだ。

サロンを運営する場合、自分が好きなネタなら何をテーマにしてもOKで、テーマに沿った写真や動画、文章などのコンテンツをコミュニティに投稿、飽きさせない工夫をしていくことで会員さんたちの満足度を上げることがポイントとなる。

カウンセリングや教室もオンラインで

原さんのほかにも、カウンセリングや占い、さまざまなジャンルのレッスンを副業にしている人たちが、オンラインセッションに切り替えることで、継続的な成果を上げることに成功している。

サロンやリラクゼーションなど、実際に人に触れなければ施術できないジャンルの副業も例外ではない。ここでも、メールやライブ配信などを使い、個別で「セルフケア」のアドバイスを行うなどして、オンライン化を実現している。

継続的に実施することで、クライアントさんは「サボりぐせ」がつくことなく、また的確なアドバイスをもらうことで安心してセルフケアを行うことができるというわけだ。

時間的自由も手に入る「教材化」という方法も

個別対応の案件だけでなく、自身の副業ネタを「電子書籍」にしたり、動画やテキストの「教材」にしたりして販売する方法もある。

これも人に会うことなく実践でき、また個別対応と違って特定の時間に縛られることもないため、コロナ禍でも動きやすい副業のひとつと言えるだろう。

また、安定的な売上につなげたければ、数カ月にわたって教材を届ける「通信講座」にしてしまうという方法もあり、実際に私のところの生徒たちも、多くの人が通信講座に取り組むことで、コロナ禍でもきちんと収入を生み出している。

コロナ禍では自粛要請によって「家にいる時間が増えた」「退屈してしまう」といった状況が生まれていたこと、リモートワークによって「オンラインや動画の扱いに慣れてきた」人が増えたことが、成功要因のひとつと言えるだろう。

今こそ「好きなこと」で自稼ぎ力を身につけよう

これまで紹介した副業はいずれも趣味を起点にサービスを提供するもの。コロナ禍において多くの家庭で収入減となっている今、そういったサービスには需要がないのでは、と思う方もいるかもしれない。

しかし例えば「生活費を切り詰めても、大好きな車にはお金をつぎ込む」とか「何があっても家の中のお花は絶やさない」など、どんな状況にあっても「好きなことにはお金を使う」という人は多い。

だからこそ、「趣味」を生かした副業、つまり「趣味起業」こそが、このコロナ禍の中で生き残れる副業になると、筆者は考えている。

これからは「自稼ぎ力」の時代だ。いや、実は数年前からとうにそういう時代に突入している。

頻発する自然災害や、景気の不安定さ、企業の副業推進の流れ、残業削減、増税、その中であなたの収入源のすべてを相手(雇い主や業務依頼元など)に握られたままでいるのは危険なのだ。

せめて副業だけでも、あなたの意思で収入をコントロールできる状態にしておく必要があるのである。既にそこに気づいている人は、今のような状況下でも自ら収入を生み出している。

もしあなたが、これから副業を始める、あるいは既にやっているが、こうした社会環境に振り回されることなく収入を得たい、というのであれば、軸足を「趣味」に置いて、「オンラインでできること」をどんどん実践されるようおすすめしたい。

今だからできること、今だからやるべきことに取り組んで、工夫次第で「自稼ぎ力」を身につけたいものだ。