宮崎を舞台にしたコメディドラマ『ひまわりっ~宮崎レジェンド~』が、きょう1日にスタート。人気漫画家・東村アキコ氏が実話をもとに描いたギャクマンガを映像化、主人公・アキコ役に平祐奈、父親の健一役に高橋克典を迎え、15分全10話の連続ドラマで、「夕ドラ」(月~金曜18:45~)枠で展開される。

本編出だし早々「宮崎の“てげてげ”(=適当)な人たちの物語」と紹介し、いまだかつてないほど宮崎ローカル色満載のこの作品を手がけるのは、テレビ宮崎。開局50年の歴史の中でドラマを制作するのはこれが初となるが、その舞台裏では何が起きていたのか――。

  • 『ひまわりっ~宮崎レジェンド~』主演の平祐奈

    『ひまわりっ~宮崎レジェンド~』主演の平祐奈

■ロケ場所は「若草通商店街」?

ドラマ収録中だった今年2月中旬に宮崎・現地に訪れると、南国の地を象徴するヤシの木と青い海、空が広がっていた。ドラマの冒頭もそんな清々しい風景シーンから始まる。ローカルドラマならではのつかみだ。

テレビ宮崎の阿部祐也チーフ・プロデューサーと水主義人プロデューサーは、2人そろって「“宮崎スタンダード”なドラマを目指しています」と爽やかに答える。

さぞかし宮崎が誇る人気観光スポットが、ここぞとばかりに登場するのかと思いきや、話を聞いていくとそうでもない。「原作を忠実に『宮交ボタニックガーデン青島』でロケを行いましたが、ロケ場所は『若草通商店街』といった宮崎人が日常を過ごす場所が中心です」と阿部CPが説明する。

ならば、「宮崎自慢の名産品は?」と尋ねると、「チキン南蛮や焼酎、マンゴーも登場しますが、その美味しさを伝えるシーンはありません」とさらに面食らうばかり。

「例えば、宮崎うどんの麺はふやけているんです。それって普通じゃないですよね? でも、宮崎県民はそれを当たり前のことだと思っている。実は外から見ると普通だと思われていないことをディスって笑いに替える。そんな紹介の仕方です」と、水主Pが続けた。つまり、笑いとローカルを絶妙に掛け合わせたネタを散りばめた“宮崎スタンダード”が展開されるのだ。

  • 宮崎県庁前のシーン

■“笑い”にこだわってきたテレビ局

テレビ宮崎は、“笑い”にこだわりがある局でもある。伝説の破天荒バラエティとして『さんさんサタデー』(77~92年)という長寿番組がその象徴だ。当初から身体を張ってレポートするスタイルが築かれ、今あるバラエティの原点とも言うべき番組なのである。

東村アキコ氏は『さんさんサタデー』のファンのひとり。「私のユーモアのセンスはその『さんサタ』によって作られたと言っても過言ではありません。その『さんサタ』を作っていたテレビ局、つまり、私の笑いの師匠とも言うべきテレビ宮崎が『ひまわりっ~健一レジェンド~』をドラマ化すると言ってくれました…! 今こそ、宮崎県民の笑いのセンスを全国に知らしめる時です!!!!」(リリース原文まま)と語るほどだ。ドラマへの期待値は上がるばかりである。

  • 高橋克典(左)と平祐奈

そして、“笑って泣ける”要素も忘れていない。主人公・アキコ(平祐奈)が父親の健一(高橋克典)や、母親ののり子(浅香唯)から受ける愛情がほんわりと伝わってくる瞬間も用意されている。まさにそれは「宮崎の一般家庭の姿」だという。

「温かさがにじみ出る場面もコメディドラマらしく、さらっとした演出。むしろじわじわと癖になる温かさを狙っています」(阿部CP)。どの時代にも求められる普遍的な家族愛が、そこにはある。