新型コロナウイルスが猛威をふるい、各局が昼の時間帯で関連ニュースを報じる中、日本テレビ系情報バラエティ番組『ヒルナンデス!』(毎週月~金曜11:55~)への支持が上昇している。番組の主力であるロケが中止を余儀なくされてピンチのはずが、視聴率は4月の月間平均で4.3%、5月4日週の週間平均で5.2%(いずれも個人、ビデオリサーチ調べ・関東地区)と過去最高を更新した。

背景には、スタジオをMCの南原清隆1人だけにするという斬新な試みや、リモート出演を生かした生のゲーム企画、一筋縄にはいかないVTR企画など、制作陣の工夫があるようだ。演出の五歩一勇治氏に、リモート取材で話を聞いた――。

  • 『ヒルナンデス!』MCの南原清隆 (C)NTV

    『ヒルナンデス!』MCの南原清隆 (C)NTV

■放送2日前に導入決定

ロケ企画が多い『ヒルナンデス!』にとって、外出自粛要請は番組制作に大きく影響した。「もともと3月に北海道特集の放送を考えていたんですが、そのロケに行く直前に北海道の緊急事態宣言(2月28日)が出たので、出演者さん、スタッフ、取材先の皆さんを含めて安全策をとらないといけないということで、スタジオ企画などでできることをやっていこうとなりました」(五歩一氏、以下同)。

その前から、スタジオ企画が増え始めていたため、「せっかくだからいろいろやってみて、試してみよう」と取り組んできたが、4月に入ると、いよいよスタジオでも人を密集させない措置が求められることに。「だったらもう南原さんお1人でスタジオにいていただいて、ほかの出演者が中継で入ってくれば逆に面白いかなと思ってやってみました(笑)」と、現在の形態が固まった。

このスタイルは、4月6日の月曜日の放送から取り入れているが、決めたのは2日前の土曜日。中継で使用するシステムは、五歩一氏が別の番組でも使用した実績があったため、スムースに導入することができた。

■やりたい放題のオードリー春日

こうして、各レギュラー陣が自宅や日テレ局内の会議室など、さまざまな場所からリモート出演するようになったが、その中でも異彩を放っているのが、日テレ本社ロビーから登場するバイきんぐの小峠英二だ。だだっ広いスペースにスタッフもおらず、1人でポツンと佇む姿がシュールで、その不憫な待遇にツッコミを入れ続ける姿が好評を博している。

「あのロビーに一般の方が入れない状況になっていて、ものすごく人が少なかったんですよ。なので、広い空間にポツンといたら面白そうだなと思って(笑)。それに、あそこには『THE突破ファイル』の巨大な内村(光良)さんのパネルもあるので、スタジオで南原さんが見て何か起こりそうだし、日テレが今こんなに人が少なくて安全だということも生で見せられると考えました」と狙ったが、「そしたら、あの状況を小峠さんが見事に生かしきってくれたんです」

ほかのタレントのもとにも、スタッフは派遣されておらず、自宅からの出演者にはスマートフォンやタブレットを渡して、操作も任せているそう。「久本雅美さんが3週目にしてようやくタブレットを縦画面にすることができて、全身の衣装を見せられて喜んでらっしゃって(笑)。リモートならでは面白さがありますね」

また、「(オードリーの)春日(俊彰)さんは本当に自由で、中継という“フィルター”が1個入るから、もうやりたい放題やってる感じです(笑)。芸人さん以外でも、関ジャニ∞の横山(裕)さんが、自分の部屋から持ってきたサングラスを突然かけたりとか、にこるん(藤田ニコル)も自宅から緩い感じを出してくれますし、それぞれの演者さんがスタジオじゃない場所だからこそ見せる新しい一面に、こちらが気付かされる部分もあります」と発見があったそうだ。