マツダ独自の新エンジン「SKYACTIV-X」の特徴は?

SKYACTIV-Xはガソリンエンジンとディーゼルエンジンのいいとこ取りをした新しいエンジンだ。詳しい説明は以前の記事を参考にしてもらいたい。

180ps/224Nmを発揮するSKYACTIV-XはMAZDA3の中では高性能だが、その分、値段も高い。馬力はMAZDA3で最高値となる。また、効率と走りを向上させるため、マイルドハイブリッドやスーパーチャージャーなどの新機能も取り入れている。ただ、SKYACTIV-Xが追求しているのは単なる「高性能」ではないことは、数値からも明らかだ。よれよりも、上級車を彷彿させる滑らかな走りと快適な乗り心地の両立を目指しているのだろう。同じクルマで、異なる味わいと価値を提供しようというのだ。

  • マツダの「MAZDA3」

    マツダの新エンジン「SKYACTIV-X」を登載する「MAZDA3」。「プロアクティブ」「プロアクティブ ツーリングセレクション」「Lパッケージ」の価格帯は319万8,148円~361万6,963円

燃料はハイオク指定となるが、これはエンジン特性によるものだ。もちろんレギュラーを使うこともできるが、ハイオクの方が性能も燃費も良くなるとのこと。ハイオクはレギュラーよりも値段が高いが、ハイオクの方が燃費を良くできるので、結果的にお財布の負担が増えるわけではないようだ。また排気量も2.0Lなので、2.0Lガソリン車のMAZDA3と維持費も同等である。

乗ってみると、確かにガソリン車のMAZDA3とは印象が異なる。まず静粛性が高く、車格が上のクルマのように感じられる。加速のスムーズさはMAZDA3の中で一番だ。伸びやかな加速なので、運転には心地よさが感じられる。その気持ちを盛り上げてくれるスポーティーなエンジンサウンドも加わる。この味付けは、実にマツダらしい。

マイルドハイブリッド機能には燃費改善の目的もあるが、快適性の向上にも役に立っている。ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)により、エンジン始動がスムーズになるのだ。アイドリングストップからエンジンを再始動させる際も静かで、振動も少ない。ガソリン車やクリーンディーゼル車と乗り比べてみると、その違いは誰にでも感じられる。

  • マツダの「MAZDA3」

    上質で快適な乗り心地が「SKYACTIV-X」搭載モデルの特徴だ

ベストバイは!?

私が選ぶベストバイは、ファストバックの「15S ツーリング」だ。MAZDA3の中で、最もコスパが高いというのがその理由である。基本的な装備面でも不足はない。そして、マツダ車らしい走りの楽しさも、しっかりと味わえる。実に、通好みな仕様だ。クルマ好きには、ぜひ試してほしい。

次点はクリーンディーゼル車となる。こちらも必要十分な性能を備えているし、何といっても燃費がいい。馬力はそこそこだが、最大トルクが2.5L車の性能を超えているので、ドライブで不足を感じるシーンはないはずだ。クレバーな選択といえるだろう。

新たな価値を提供してくれる注目のSKYACTIV-Xは、車格の向上を感じさせる高い走りの質感が魅力的だ。しかし、あまりにも価格が高い。欧州車のライバルを意識した価格設定だというが、MAZDA3は欧州車に比べると、比較的身近な存在だ。同じ予算で欧州車が狙えるなら、そちらになびいてしまう人もいるだろう。ガソリン車およびディーゼル車との価格差が縮まれば、より魅力的な選択肢になりうると思うのだが……。もし価格を維持するならば、従来型の2.2Lクリーンディーゼルの代役となるパワフルさを求めたい。

2.0Lガソリン車はそつのない存在といえるが、個性もない。他のエンジンと比べ、積極的に選ぶ理由が挙げにくいのが残念だ。だからこそ、ビジネスユーザーを中心に、セダンにも1.5Lを導入して欲しいという人も多いと思うのだが……。

最後にボディの違いにも触れておきたい。比較すると、セダンの方がボディ剛性の高さを感じる。もちろん、ファストバックもしっかりとした作りで、走りもいい。セダンの最大のメリットは広いトランク、そして、より静粛性の高い車内ということになる。ただ、せっかくMAZDA3を選ぶなら、個性的なファストバックの方が、周りからも注目されるし、新しいクルマを手にしたという満足感も高いだろう。